見出し画像

リピート率120%はいかにして生まれるのか

よくリピート率という言葉を聞く。

数年前の話だが、とある同業がリピート率100%と言っていて、「嘘つきの臭いがプンプンする」と直感的には感じた。好不況、担当交代、部門の統廃合、さまざまな要因からあらゆる案件がリピートすることはありえない。

ただ、どのようにリピート率を定義しているのかも分からずにそう断じるのも失礼だ。

なので、少しリピート率について考えたことがある。当時は袋小路に嵌ったのだが、今日考えてみたらスッキリ整理できたので、記事にしてみた。


リピート率とは

リピート率とは、そもそもどのように計算するのだろうか。また、リピートとはどう定義されるのか。

まず、リピート率とは、一定期間内に再取引する割合である。なので、基本的に分子は分母よりも小さいから100%になることすら難しいものだ。

しばらく当たり前の話をする。

同じ顧客が同じものを購買したらリピート

とある顧客が一度とある商品を購買した。これが初回の購買の場合は当然リピートではない。通常はこれが分母になる。※あくまで普通はと書いておく。ここを操作する手法もあるので。

その顧客が同じものを購買したら、それはリピートと呼べる。「同じ」というのもなかなか難しいが、ここでは割愛する。

違うものを購買した場合もリピートとした方が大きく見せたい人には都合が良い

まず、違うものを購買した場合はどうか。これは、会社レベルでは購買を繰り返しているが商品レベルでは購買を繰り返しているわけではない。だから、恣意的に解釈しうる。リピート率を上げたい場合、これはリピートとして扱うだろう。

実務的には期間を定めて算出するか

その顧客が同じものを購買したら、それはリピートだと書いたが、時間軸の概念がそこには存在しない。

例えば、1カ月ごとに購買すればリピートだろうが、1年ごとに需要がある商品の場合、1年以内に購買することもあれば、1年と1カ月で再購買ということもある。だから、リピートのための期間は複数年必要だ。当社でも、2年に1度の研修などがある。

では、少し極端にして、とある年に購買し、10年間購買がない場合はどうか。間の9年間の間はリピートがないが、来年受注がないとは限らない。

これも計算しようとすると、リピート率はいつまでも算出できないのだ。

繰り返すが、リピート率とは、一定期間内に再取引する割合で表される。

だから、1ヶ月以内とか1年以内にといった数字を定めるのである。

さて、当社は研修の仕事をしている。4月3日に新入社員研修を受注した。翌年はたまたま土日があったので4月4日だった。こうした場合、1年以内に収まらない。数カ月ずれることもあるのだ。

年度nの受注に対して年度n+1のリピートというやり方もあるが、それだと年内にリピートしたものがなくなってしまう。

とするとどうするか。初回導入から2年間以内のリピートを分子とすることで鮮やかに解消できるのだ。

分子が分母を越えるトリックはダブルカウント

とある会社が発注してから2年以内に「2回」実施をした。そうするとリピート率はどうなるか。

それらをダブルカウントすればなんと2/1で200%となるのだ。なんだってー!こうすれば、少々失注があっても、たまたま拡大した案件でもみ消すことができてしまうのだ。

すまなかった。確かに御社はリピート率100%です。疑って申し訳ありませんでした。

冒頭に書いたリピート率100%の会社は、年間2割の売上成長をしているという。それはすごいことだが、リピート率100%が僕たちの理解しているようなものなら、2割の売上成長には違和感がないだろうか。

もにろん、この会社がこのような算出式かどうかは分からない。

買い切りの商品のリピート率を計算する意味はないから分母から引いたりする延長で、分母から単発案件をひいていくなどの操作だってできるし、色々な方法はある。

数字があると信用されるが、このように弄れてしまうのだ。

ということで、リピート率はよく定義をみないといかんよという話でした。

いいなと思ったら応援しよう!