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EBITDAを紐解く
珍しくEBITDA関連の研修相談が来た。研修するまでのものではないと感じ、これを読んどけばざっくり分かるというものを書きたいと思ったのでつらつらと書く。多分、自分が研修の講義をするならこんな感じで説明すると思うので有料コンテンツ級かな(笑)
この単語にはなかなかの呪文ぽさがある。そのためか、あまり理解されず、重要であるにも関わらず、伝わらないもののようだ。日本人の横文字アレルギーに加えて、略語であるのが影響していると思う。
わからないものを見たときには
こうしたものを見たときは、略語をもとに戻すことと、単語の意味を考えることと、自分なりの造語をすることかなと思う。
そうすると、見たときに頭の中で思考の起点が生まれるからだ。
EBITDAはなんの略か
まず、略語をもとに戻す。すると、earning before interest,tax,depreciation,amortizationとなる。
ここで爆発する人が多いだろう。まず、後半の単語の中でわかるのがtaxのみという人も多いのではないか。
EB(x引前利益)を理解する
ただ、前半2つは多くの人がわかる。earningは稼ぎだ。beforeは前という意味である。
つまり、4つの何かを引く前の稼ぎということだ。となってくると、利益の一種という理解になるだろう。
そもそも全ての利益はEB、つまりx引前利益
さて、ここでいくつかの単語を説明したい。厳密に説明しようと思うと国際会計基準を入れて説明しなければならないが、本筋からずれるのでいくらか雑に書く。
当期純利益は、言い換えると、各種収益から売上原価と販管費と営業外費用と特別損失と税を引いたものである。
税引前当期純利益は、文字通り、当期純利益から税を引く前のものだ。がなくなったものだ。そのもっと手前の営業利益は当期純利益から税と金利を引く前の儲けと換言できる。
ここで、おやと思ってほしい。earning befroreとはこういう話なのだ。そもそも利益とは収益から何かを引いたもののことで、引くものの種類によって言葉が定まっているのである。だから、あらゆる利益はearning before something、言い換えるとx引前利益なのである。
何を何のために引いているのか
こう考えると、では4つの英単語であるinterest,tax,depreciation,amortizationがどんなもので、なんのためにこれらを引く前の状態にする必要があるのかを理解すれば謎解き完了となる。
順に見ていこう。
何を引いているのか
interest,tax,depreciation,amortizationは知らない単語だらけという人もいるだろう。
これらをざっくり説明すると、インタレストは興味という意味ではなく、金利という意味だ。タックスは税。その次の2つは合わせて減価償却費だと考えておくと良い。有形固定資産の減価償却費がdepreciatonで無形固定資産の減価償却がamortizationだ。
だから、x引き前利益にこれらを代入すると、金利/税/減価償却費引前利益となる。
漢字だらけになって難しい。ただ、「営業利益は当期純利益から税と金利を引く前の儲け」と書いた。これをEBITと呼ぶこともある。EBITDAはこの応用だ。
だから、金利/税/減価償却費引前利益にこれを代入してみよう。すると、減価償却費引前営業利益となる(厳密ではないが)。これなら「なんだ、だったらわかるよ」となるのではないか。
何のために引いているのか
言葉の意味がわかっただけでは十分ではない。そもそもなぜ金利や税、減価償却費を引かなければならないのか。
これは既存の日本の会計で税や金利を除くことがあったので、EBITまでは理解しやすいだろう。
これを考える際にはグローバル化の影響も考慮する必要がある。税率も金利も国によって異なる(もちろんそのときの政策によっても異なる)。だから、分けて管理するために利益の種類が違っていたのだ。
これを分けておけば、グローバル企業では国と国の間での利益を見やすい。税率の高い国からは逃げればよいという発想もあるだろう。
次に、DAだが、これを理解するには減価償却費とはどういうものかがわかっている必要がある。
減価償却費とは過去に購入した固定資産への投資をあとから経費化したものだ。裏を返すと当期の投資は未来に費用化される。つまり、費用化の先送りなのだ。
これは、当期の会社の実態を正しく表している面もありながら、表していないと面もあるともいえる。今の流れとしては、キャッシュに近い形で損益を見ていくのがトレンドというのもあり、一旦減価償却費、つまり過去の投資分を除く方が今期の業績を見やすい。特に、投資の影響の大きいビジネスにこれは顕著なのだ。
こうした意味合いを理解しておくと、なぜこれが大事と言われるのかもわかりやすくなる。
※なお、厳密には営業利益とEBITは違う概念だ。日本では収益が3つに分かれていたりするからだ。ただ、これらについて書くと、微細に入りすぎるのでざっくりと書いている。