変化とか、変わらないとか
2010年から「ほぼ日手帳」を使っている。13年か。保存してある2010年の手帳をめくったら、随分と働いていた。前年の2009年末はカンボジアにいた。9月はギリシアとキプロスへ行っていた。その間に日本を行ったり来たり。海外への添乗は必要最低限にして、自分はオルガナイザー(旅行を依頼してくれる団体など)との商談・立案・集客に忙殺されていた様子。所々に会社の人たちとのコミュニケーションに悩む様子が見て取れる。相方も東京での仕事を辞め、群馬へ移住するタイミング。そういう意味では2010年も激動だった。
2023年の手帳から、2024年の手帳に必要なスケジュールなどを書き写す。毎年行っている作業だが、2023年の手帳は月間予定はパンパンに溢れていたが、日毎に記す欄はスカスカだった。日々の雑感を記す暇も無いほど、充実していたのだろうか。SNSは大概毎日何かしら更新していたので、「書く」ことがおざなりになっていたようにも思う。
2023年1月1日。大学を卒業後、初めて会社員でなくなった。雇われて働くことが当たり前だったのに、自分で事業を起こすチャレンジをすることになった。しかし政党所属で議会議員になるため、党からの援助は受けた。なので選挙までは党に雇われていたとも言える。実態は事務所勤務したわけではないので、感覚としてはやはり脱サラだった。
起業には悩みもあったし、家族にもタイミングが悪いと言われた。しかし、やりたかった。動いていないと不安だった。旅行業と出版・小売業、共に衰退産業と称されることも多い。確かに、従来型の地域収奪を基礎に成り立ってきた旅行業。「売る・売れる」ことが至上命題の出版・小売業に未来がないことははっきりしている。しかしこれまでにないやり方で、未来につなぐ旅や本が各地で作られている。そのことを実感しているし、自分も脈としてその胎動を大きくしていきたい。そのために「機が熟すのを待つ」という選択肢はなかった。45歳。運良く元気に働き続けれる月日は、そんなには長くはない。
選挙では、自分とまわりの人々、そして地域との関わりが今の自分に強く影響していることを改めて意識した。人々が作っている生活が、この町の景色をつくっている。選挙のために地域をまわる度に、「この景色を守りたい」との思いを強くする一方だった。農業も林業も、担い手が減っていく。観光業も商業も、次世代の担い手不足が止まらない。生業が続けていけるように、政治や行政にできることはまだまだある。諦めたらそこで止まってしまう。
選挙後、議員としての仕事が始まった。こちらは雇い主が町民のみなさんだ。少しでも「この町に住んでいてよかった」と一緒に思えるように、住民の声を大切に仕事に取り組んでいきたい。
年末に、一年ぶりに友人家族と泊まりに出かけた。親戚のおじさんおばさんのように、我が家の子の一年の成長を喜んでくれた。ずっと一緒にいると、当たり前になってしまう家族との時間。決して当たり前なんかではなく、自分たちで選んでつくっている家族の形である。成長を喜びあえるように、一緒に更に楽しんでいきたい。