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Uターン日記 2019年11月

4(月)
朝4時に神奈川を出発して掛川へ。
朝着いて、すぐに借りた田んぼへ。
小さなクローバーの芽が沢山出ていて嬉しい。俺が演劇で一週間東京に行っていた間もちゃんと裏切らずに芽を出していた。条件が揃えば、太陽と雨と土で裏切らずに勝手に育ってくれることに喜びと誠実さを感じる。これが良い。
ただ、この前、日暮れに追われてクローバーの種を撒いたから、生えているところといないところのムラがひどい。そして草も復活していた。とりあえず、クローバーが負けないように草を刈り、隙間にはレンゲを撒く。4分の1、一畝分に麦を撒き、枯れ草で覆って鳥よけ、草防除をしたところで日暮れ。自分の土地の草だけでは足りず、隣の放棄地の草を勝手に拝借した。自分の価値観では全然悪いことじゃないと思うけど、許可をもらわずにやるのはちょっと気が引けるが、そうしなければ日暮れに間に合わず、明日の早朝に、愛媛でもらった大切な麦が鳥に食べられちゃうかもしれないから、やむを得ず、迷わずやる。
途中、近所の人に挨拶されたけど、昨日の本番で「枯らせ!枯らせー!」と叫びすぎて、全く声がでない。こんなことは初めてだ。そんなに困らないと思っていたけど、自分がよそ者の土地で、声を出して挨拶が出来ないのはすごく困った。
午後に罠を仕掛けに行けなかったのが残念。猟期ははじまってるのに!
夜、母親が玄米食をまた始めると言っている。前回やっていた時に、俺がネットの情報で母の病気に玄米良くないみたいよと言ったことできっぱりやめてしまっていたから、軽はずみに言ってしまったことを後悔していたから良かったけど、良く洗って長く水に浸すことを勧めた。母が信じる力を信じたい。けど、それをサポートする為にも自然農法で無農薬のお米を成功させたい。そして、愛媛で農業研修受けてから、ほんとよく米を食べる様になった。本当に「雨にも負けず」のように1日に玄米四合食べたい。夢は膨らむし、今の夢は自分が動きさえすれば全て手の届くところにある。幸せだ。
5(火)
朝〜昼過ぎ。
麦播き、残りの3畝分。
S叔父さんが取っておいてくれた藁を納屋から一輪車で4往復して田んぼに運ぶ。マニュアルの免許を取り直さなきゃ軽トラの運転できないからいつ行こうか。道に落とした藁を拾うべきかそのままでOKなのか、ノリがわからなくて迷う。俺は全然そのままでOKだと思うけど、親戚に迷惑を掛けれないから拾ってきれいに掃除する。ついでに納屋も掃除。
全然藁が足りなかったから、隣の放棄地から刈り取られて枯れている草を一輪車で運ぶ。
昨日、叔母さんがお隣の放棄地の持ち主に確認してくれていたお陰で気持ち良くもらって使った。

午後
罠を仕掛けに山へ。
3つ仕掛ける。


母方の親戚のうちへ山に罠を仕掛けさせてもらうのと、バイトの挨拶へ。
その後、お世話になっている猟師さんA一さんの家に酒を持って挨拶。
名産の次郎柿の時期の様で、柿の重さを測って仕分けていた。「飲んでくんだろ?」と言われて、挨拶だけのつもりだけだったけれど飲むことにした。拍子抜けするくらいフレンドリーだった。奥さんはすぐお茶を出してくれて、猟師さんに「柿の仕分けをやってるから先に飲んでろ」と言われて、お土産で持ってきた日本酒を自分で飲みはじめた。「なんかつまみ出してやれ」って出てきたのがバターピーナッツなところとか、出てきたコップが汚れてるのとか、すごく良い。一緒に飲み始めてから、去年、初めての罠猟で五匹獲ったことをとても褒めてくれた。そして、「小さくても大きくても猪でも鹿でも罠に掛かったら鉄砲の衆を呼ぶから俺に電話すればいい、怪我したら何にもならねえぞ」と言ってくれた(今年の初めに、挨拶行った時は「もう一人でできるだろ」って距離を置かれたと思っていた)。それから農業と猟と日本酒の話をたくさんして、母親にお迎えを頼んで帰宅。お土産に次郎柿を持たせてもらった。挨拶に行ったのに自分でお土産の酒をのんで、柿のお土産までもらってしまった。適当なところも大いにあるけど、言うこと言うこと納得してしまう。「金があっても心が貧乏じゃしょうがない、俺は金は無いけど心の貧乏じゃねえぞ。」ってよく聞く言葉だけど、本当に実践してると「そっすねえ」と強く同意する。玄関の窓ガラス破れっぱなしだけど、苦労はしてるだろうけど幸せそう。
お土産の初物の次郎柿のありがたみ、豊かさ。ほんと、こういうこと一つ一つに豊かさがつまってる。良い挨拶になってほっとしたし、親戚と猟師さんに挨拶もできて、これで今期、気持ちよく猟ができる。

6(水)
朝から午後まで、罠仕掛け。朝、通りがけに猟師A一さんが家の前で柿を軽トラに積んでいたので、挨拶。「仕掛けに行くのか」と言われて「仕掛けないと掛からないんで」と言ったら、「そりゃそうだわな」と笑っていた。こういうのが好きなんだよなあってしみじみ思う。去年仕掛けたところを重点的に7つ仕掛ける。
帰宅後、畑に種まき。ほうれん草、小松菜、正月菜、レタス、、緑肥として庭にクリムゾンクローバー。ニンニクの芽が出てきた。去年自家採取のニンニクを植えたやつだから、上手く行ってよかった。

市役所へ転入手続きとバイクのナンバー変更に行く。ナンバーは、お茶のまち掛川と書いてあるご当地ナンバーにした。かわいい。川崎ナンバーをつけて山で猟をしていると目立ってなにかと面倒なので(思い過ごしかもしれないけど)、一安心。
帰り際に、去年今年と賞をもらった朝顔とゴーヤのグリーンカーテンコンテストの展示をやっていたのでグランプリ作品をチェック。来年はグランプリを狙う。

7(木)
朝〜午後まで、罠仕掛け。初おむすび持参。外で食べるおむすびは美味しい!
ふと、杉の木に絡みついているツタが自然薯かなと思って確認にしに行ったら、むかごが付いていた。今年は自然薯掘りもしたかったから、見分けられる様になってよかった。むかごも植えてみたかったから採って帰った。獣道に沿って歩きながらむかごも見つけたら集めてポケットへ。家に帰ってバケツに入れておいたら母親が見つけた様で、「むかごご飯にしたいからもっと採ってきて」と頼まれる。母親がむかご好きということを初めて知る。
夕方、田んぼの畔の草刈り。両隣は放棄地なので、ネコジャラシとか、種が自分の田んぼに入らない様に最低限鎌で刈る。
夜、ヤリ作り。いつ罠に掛かるかわからないから止め刺しの準備は猟を始める前に終えたかったけど間に合わなかった。
もし掛かっていたら、木を切ってそれで殴って、ナイフで刺す予定だけど、でかいやつだと近づくのが怖いから。
刺身包丁を削って、テーブルの足用の金具を切って穴を開けて、樫の木の棒にボルトで留められる様にした。上手くできた。あとは実践で使ってどうか。

8(金)
朝、罠の見回り。
猪が掛かっていて、他の木にワイヤーが絡んだりしてなくて、動ける範囲が広くて、久しぶりに面と向かったこともあり怖すぎて、猟師さんに鉄砲をお願いしようと電話したものの、留守で2時間後に帰宅ということだったので、冷静になって自分で仕留めることに決める。持っていた槍、兼、保定用の棒が1.5mくらいでその距離まで近づくのが危なそうだったから、長い竹を切って3mくらいの保定具を作りなんとか保定した。
槍で心臓を1突きで仕留めたかったが2突きになってしまった。
昨日作った槍が上手くできていて良かった。
何とかバイクに積み込み、途中、親戚の仕出し宴会場の魚金に寄って猪が獲れたと報告したら、みんな引いたり、「リアルー!」って言ったりしてバイクに積んだイノシシを見ていた。
川まで持って行き、水に漬ける。猟師さんの母屋の解体場と水汲み上げポンプを借りていいか聞きに行く。
ちょうど家の前に奥さんといて、知らないおばさんが堆肥を袋に詰めているのを眺めながら話をしていた。巨大なカブトムシの幼虫をいくつも堆肥から取り出していた。猟師さんに「これどうするんですか?」と聞いたら、「焼いて食えば?」と何度も言われて、なかなか冗談か本気かわからなかった。
一度家に帰って、ご飯を食べ、解体用具を持って川へ。
猪を引き上げて、1.5cmくらいのダニをいくつも引き剥がした。毛が生えていないピンクのお腹や脇についていて、痒いだろうに、四つ足じゃ自分で取れないし、大変だなあ、タフだよなあ、良く我慢できるなあ、するしか無いけど、野生って改めて強いなって思う。罠に掛かってた前足は肩?が脱臼しててグラグラだったのに、あれだけ向かって来てたし、野生の命懸けの強さ。
久々で腹抜きにてこずる。雄か雌かよくわかんなくて、金玉っぽいのを触ってコリコリ2つ入ってたから、ああやっぱりオスかって思った。
本当は胃の周りの網脂を食べてみたかったけれど、砂利が沢山ついてしまったから諦めて、膵臓をお供えして、腹抜きのイノシシを解体場に運ぶ。
今期の初が僕だったようで、解体場は久々で荒れていた。なんとか日暮れまでに解体が終わり(外で、電気も通ってないから日暮れがタイムリミット)、皮や骨を穴に放って、家に帰る。
家に帰って、部位毎に小分けパックして冷凍。
朝7:00〜21:00まで。血肉(傷んで血が回ってブヨブヨになっちゃってる部分)は槍で刺したところくらいで、罠に掛かっていた前足は大丈夫だった。良かった。山の動物が処理してくれるけど捨てる部分が増えるのは忍びないから。肉は全部で22kgあった。
この大変さをお金の価値、費用対効果で考えてしまったらほんと非効率的で割に合わないと思う。

9(土)
朝罠の見回り、仕掛け。
14:30〜15:50
友人Kちゃんとデニーズでお茶。11/20から完全禁煙になるらしい。俺の憩いのお茶&喫煙スペースがなくなる寂しさ。15:00〜喫煙可になるから、それまで我慢して、口にタバコを加えた状態で15:00を迎える。
周りのママさんはすぐ禁煙席に移動。それを2人で横目にしつつ、時代の流れはわかってるけどやめられないっていう間。
足場の親方の友達Mっちが、仕事終わりで来てくれてて、超動けそうな身体と靴でかっこよかった。
16:30からのバイトが嫌すぎてうだうだ言った。思えば最後にバイトしたのは7月。嫌だなあ。
16:30〜23:00
いとこH君の店でバイト。働き出したらそんなに嫌じゃなかったけど、いとこの仕事のペースの速さに驚く。「良くそのペースで毎日働けるね」と言ったら土日だけらしい。なら良かった。俺がお世話になってる猟師さんはもとヤクザらしいよって話を聞く。

10(日)
お向かいの家に挨拶に行き、畑の土の流出の現状を見せてもらって対応する。
境の土を掘り起こすと、父親が何を考えて、どう土を留めようと考えてやったのかわかって面白い。プラのゴミが沢山出てくる。プラが20年以上たっても全く分解されないこと、そしてそれらを適当に埋めていた父、時代を感じる。
思っていたより重労働で、土を掘り起こして、土留めに使われていた雨戸とお風呂の蓋とを外すだけで日が暮れた。
お隣さんが来て、「大雨の時に雨水がうちから流れこんで困っている」と動画を見せてもらった。申し訳ない。そのおじさんのお腹が出ていて、「すっごい働いてるのに、そのお腹、、現代社会、歪み、、」と思った。

11(月)
6:00〜7:30
罠見回り。空弾き2ヶ所。
7:30
朝食。
その後、お隣さんに言われた雨水の対応の為に、側溝のパイプの掃除。「結局、うちも上のお隣さんからの雨水が流れこんで来ているから、大雨の時はしょうがないと思ってほしい」と伝える。

別の正面向かいのお宅への泥の流出を留める作業の続き。土囊袋に砂を詰めて敷き詰める。
大雨が降ってきたので、家に帰って、「福岡正信・緑の哲学」を読む。百姓は石油エネルギーを使い出してから工業製品の生産者に落ちた、昔は神(自然)に遣える者たちで、それだけで日々幸せだったのにとあり、強く納得しつつ、読んでいるうちに昼寝。
起きて、雨が止んでいたから、土囊袋詰め。
「あ、晴耕雨読だ」と思う。

夕食時、母親が俺が引っ越してくるからと部屋の押し入れの整理をしていて自分の結婚式のカセットテープを見つけたということでその音声を聞かせてくれた。27歳の父の声は若くとても早口で何を言っているか所々分からず、24歳の母親の涙ながらの声もものすごく若く、面白かった。大人ばかりで話していて3歳の姪っ子が怒ってカセットデッキを落としたから叱った。あとで謝ってきた。叱り方は難しい。ましてや人の子、気を使う。

夜、お風呂に入る前に脇腹が痒くて見てみると黒い点がついていた。よーく見るとダニが噛み付いていた。無理矢理取ると頭が皮膚にのこってとれなくなるみたいだから、指先でピロピロ転がしてからプチっととる。うまくとれた。

12(火)
6:30〜8:30罠の見回りをする。空弾き二ヶ所。去年は空弾きが多く、バネが途中で引っかかって止まっていることが多かったから、バネを細いものに変えてから、引っかかることは減ったけど、空弾きが多いことは変わらない。何が悪いのか?カモフラージュの土が重いのかと思い、落ち葉だけで隠すようにしたら昨日の大雨で結構流されてワイヤーが剥き出しでバレてるところが多かった。大雨の翌日で匂いも消えて、罠も落ち着いて掛かってるんじゃと期待してたから残念。
演劇仲間のK藤くんとS田が遊びに来る前に鹿も獲れたら、猪と鹿をご馳走出来ると思って、帰りたかったけど、気を取り直して、去年牝鹿が獲れたところに罠を仕掛けて帰る。

帰宅後、畑の土の流出を留める作業の続き。土囊袋に土と砂を入れて、一番下の隙間埋め。
そのあとうちの流れた土で生えた草を刈り、土も回収。高所作業で「素人ですから」といつも言うけれど、側から見たらプロだよな。足袋履いてると更に職人感が増す。
昼前にあらかた終わったので、畑に面したBさんちに流れた土の回収を集めにいこうと行ったら留守。
12:20〜12:40
昼食、姉が作った焼きそばを食べる。美味しかったけど、いちいち美味しいというのもどうなんだろうと思って食べた。
12:40〜13:00
お隣さんが大雨の時にうちから流れる水が跳ねるってことだったから、パイプを取り付ける為にジャンボエンチョーへ塩ビ菅を買いに行く。
13:00〜
Bさんを訪ねるがまた不在の為、塩ビ菅を取り付けるためにお隣さんに挨拶して付ける。
コンクリートを削ってパイプが入るサイズにしてうまく取り付けられた。
この作業中も側から見たら業者さんだよなとつくづく思う。
13:30〜15:00
Bさんを何度も訪ねるものの不在。畑の水捌けを良くしつつ、土が流れないように傾斜をつけたり、ブルーベリーの生育が悪いから、土に酸性を強くするためピートモスを大量に入れて植え替え。
15:00〜15:10
親戚の魚金の叔父さん叔母さんが浜松餃子のお土産をもってくる。
15:10〜16:00
昔から父親が借りていた畑を再び借りる為にそこの地主M本さんに挨拶にいく。自宅の何となくの場所だけ母親から聞いて行ったら、意外と難しかったけど、軽トラが止まっている大きめの家を何軒か回って見つける。
「自然農法にトライしたい」といったら快く貸してくれた。自然農法という言葉が通じたことが驚きだった。「ただ大変だと思うよ、まあ、若いから頑張れば」と言われた。
M本さんはずっと農家をやっている地主のお婆さんだが、足を悪くして今は全く農作業ができないらしい。
「良い水がある田んぼも使って欲しい」と言われたが、まだトライしてるところだからお断りした。ちなみにM本さんのお米は無農薬らしい。化学肥料にも否定的で初めて意識高い系の農家さんに地元で出会って驚きと喜び、しかもご高齢なのに、これが最近の流行とかじゃなくこの地と人に普通に根付いてここに存在していることが嬉しかった。
「養蜂もやりたいんですよね」と伝えたら、親戚がやってるということで、隣町で採れた蜂蜜を頂いた。畑を借りに来たのにお土産まで頂いた。
ちょっと顔出すつもりで汚い格好で行ったものの玄関で30分くらい話をした。
そこに生えているお茶も放置らしくて、落ち着いたらお茶もやらせてもらおう。思いがけず、お茶も手掛けられそうでうれしい!
16:00〜17:00
早速畑の草刈りを始める。思い立って1時間後に借りた畑で作業ができている、ここは豊かだ。切り株があって、ここで休憩したら最高だと思い嬉しい。父の畑仕事について行ってた頃は、まだ生えていた木だと思う。ススキっぽい草の地下茎が張りまくりでこれは一度取らないと野菜が勝てないかもだから、不耕起で無除草でやりたかったけれど最初はやらないとダメかも。とりあえず、根を残してギリギリ死ぬだろうところから草を刈る。
帰り際にみかんを2つ取る。
Bさんがやっと帰宅してたので、「明日の朝、また来ます」と挨拶して帰る。
18:00〜18:40
夕ご飯。姉と母にコミュ力の高さと行動力に驚かれる。「畑を借りに行って蜂蜜をもらってくる感じとか、もうこーじに任せとけばいいよ、そこに私たちが気を遣ってお礼やら何やら関わるとややこしくなるから。末っ子だから甘え上手なのかな」と言われる。
夜、快快ラインをチェックして、未読の多さとスピード感に目眩はしないものの、ちょっとやられるが、気を引き締めて全て既読。日記を書くことになりノートを買いに行こうと思ったけど、あとでみんなが面倒かなと思ってスマホに残すことにした。
スマホで日記を書いていたら、母親がつけっぱなしにしていったテレビから阿部寛のドラマが始まって、出演者に『美音』って出て、「なんて読むんだっけ?あ、みにおんか!あ、あの子だ、懐かしいな、そのまま頑張ってるんだなあ、俺はあの松本でのシアターキャンプで俳優で食わないことに踏ん切りがついたわ」って思い出して、「ほんと人ってどこに向かうかだよなあ」って思った。「俺は静岡で第一次産業やってるよー。」

13(水)
朝、罠の見回り。から弾きなし。今日はやりたいことが目白押しだから、仕掛け直しも解体もなくてほっとする。

帰宅後、Bさんちの泥掻きをするため、約束した8時に伺う。「誰もいなくなるけど勝手にやっていいよ」ってことだったから、勝手にやる。
昨日借りた畑を使えるようにしたいから午前中には終えたいと考えて全力でやったものの14時まで掛かる。
土囊袋に泥を詰めては、車で家の畑に運びを繰り返す。雨に濡れた泥は重い。20年分の泥。側溝は完全に埋まっていて、30kg×40袋は運んだと思う。台風の泥掻きは大変すぎて気が遠くなる作業だろうなと思う。俺は彼女のAちゃんが郡山で泥掻きをしてるときに農業研修を存分に満喫していた。農場主さんに、「ここの手伝いはほんと助かるけど、郡山に行ってあげたら?」と男気あふれる感じで勧められても残ってやっていた。(向こうのご家族に聞いたものの時すでに遅しって感じで)
どこまで泥掻きするか迷ったものの、全て取り除いて、水洗いをして驚くくらい綺麗になった。
母親が何度も「業者に頼むべきだった」と言ってくることに腹を立ててしまって良くなかった。
家に帰るとお隣さんの旦那さんがちょうどお出かけするところで、「こんにちは」と言われたが、「俺が昨日取り付けた排水のパイプへのお礼の言葉はないのか」と思ってしまった。

その後、畑の草刈りの続き。
自分がどれだけ使うか決められる感じだから、どこまで畑にするか迷うがとりあえず測って一畝分くらいに範囲を決めた。開墾した分だけ使えるっていつかの時代みたいでいいなって思った。時間に追われていたので草刈機を導入してみた。
農機具は大体同じシンプルな仕組みということを研修で習っていたから、久しぶりの草刈機も稼働させることができて、小さなことだけど研修に行って本当に良かったと思った。
もう17時で日が暮れる。なんとか草刈りを終えて、明日は耕してススキの地下茎を全て取り除く。
帰宅後夕食。

夕食後、福岡正信自然農園のY戸くんから「種籾はもう干さずに冷蔵庫保存でいいみたい」と連絡がきた。あちらでは温州ミカンの収穫が始まったらしい。
早速頂いて干していたハッピーヒルの稲穂から種籾を外す。姪のT子も手伝ってた一つ取ってくれた。「とにかく大切なものだから一粒も落とさないでね」と言ったら本当に一粒も落とさず取ってくれて、3歳児を侮ってはいけないと思った。4〜5時間掛かった。今夜から明日の早朝に掛けて雨予報。明日は鹿が獲れるんじゃないか。S田がくる16までに鹿肉がほしい。

14(木)
雨。
夜大雨だったので、畑の土流出を直したものの現状どうなってるか?
大丈夫だった。いい感じ。
自然農法の堆肥づくりを調べる。米糠があれば簡単にできるみたいで良かった。
ゴミ出しに行ったらBさんに会って、泥掻きのお礼を言われた。お礼大事。
雨が止むのを待って罠の見回り。空弾き二つ。最初の頃、よく空弾きしていたところがあまり反応が無いからもう一度チェックしたら、やはり雨でワイヤーが出ていた。
帰りに田んぼを見に行く。麦が芽を出していた。クローバーも本葉が出てきていた。足して撒いたレンゲも根が出てきていた。草マルチの下で順調に育っていて嬉しい。
無人販売でニンニクが売っていて、間に合うようならそれを種に新しい畑に植えたい。S叔父さんを訪ねて、お茶の一年の流れ、燻炭器をもっているか、籾殻があるか聞く。
「ちょうど焼いた草があるから、肥料に欲しかったら持って行ってくれ」と頼まれる。調べてまた連絡することにする。
帰ってきて、中国で買ってきた種のチェック。何かもわからず色々買ってきたので、何でいつ植えられるかチェック。
新しい畑の地下茎取り。びっしり生えていて大変だが思ったより楽。
スコップで掘り返して、クワで土を崩して取るのと、耕運機で耕してから取るのどちらが楽か?耕運機で無理矢理耕すと地下茎が細かくなって集めるのが大変だから、地道に人力で少しずつやることにする。
途中通りがかりの人に「お仕事中すみません」と道を尋ねられた。
良く俺のやっていることは趣味ととらわれるけど、自分では働いているつもり。
お仕事と捉えてくれてありがとうと思った。
みかんを一つ取って、水筒のお茶で切り株に座って一服。この切り株の周りに四葉のクローバーとか植えて、ピクニックの様ないい場所にしたい。夢は広がる。
夕方まで続けて、半分弱が終わる。土が黒くてふっかふかで驚く。肥料を入れたりして耕してやってるうちの前の畑よりいい土。借りた松本さんに報告したい。綺麗に畑が生き返ったらM本さんに見てもらいたい。
耕すだけ自分の畑になるということで、欲がでてもっと広くやりたくなった。貧乏性か。でも綺麗になったらみんな驚くだろうな。本当にやりがいがある。「息子さんが売りたがっているがM本さんが亡くなるまではやめてくれ」と言っていた。いい畑になりそう、M本さん長生きしてください。
明日のうちに、地下茎取りを終わりたいから明日は日の出前に罠の見回りに行こう。

夜、カインズホームへ堆肥を買いに行く。ついでにそら豆とライ麦の種もかう。ポイントカードを作る際、「農業とかやってますか?そしたらプロカードがいいですよ」と勧められてそちらに。プロカード嬉しい。プロ。やはり言葉に弱いな。栽培品種を書く欄があって、「ハッピーヒル」と書けることに喜び。

15(金)
朝、罠見回り。ちゃんと日の出前に行けた。空弾き3カ所。一カ所は、罠の踏み板が折れていたから大物か、とりたかった。
帰りに堆肥を作る用に米糠を精米所でもらってきた。そばにいた農協の方に「猪か何かにあげるのか?」と聞かれたけど畑だと答えた。

帰宅して、耕作放棄地のチガヤの根をずっと取る。ものすごい量。S叔父さんが焼いた草の灰を軽トラで届けてくれたので、牛糞堆肥とそれを撒いてすき込み、少し畝を立て出す。月曜が雨なのでそれまでにタネをまきたい。

16(土)
演劇仲間S田が遊びにくる予定だから、畑の作業をする為に、夜明け前から罠の見回り。掛かってない。残念。S田に色々狩猟を体験させたかったけど、、
帰ってきて畑の畝立て。間に合わなかった。
月一で開かれている軽トラ市に行く。掛川の駅前を歩行者天国にして軽トラでそれぞれが商品を持ち寄り売るというもの。
参加してもいいかも。畑が広くなったから、野菜を売ったら軽トラの維持費になるかもしれないし、掛川のことを知りたいから。
牡丹鍋の具材と苺の苗を買う。
帰って再び畑をS田が来るギリギリまでやり、鍋の準備も済ます。
S田を東名掛川まで迎えに行き、帰ってきて鍋、サラダ、猪のベーコンを焼いて食べる。
俺の新しい畑へ案内。そこで切り株に座ってお茶するという、お茶好きの俺の構想を語る為にヤクルトと缶コーヒーでお茶。S田はみかんとゆずをお土産に持っていった。
その後、山を見たいということで車で山へ。途中、親戚の魚金でお刺身をお願いした。魚金の目の前の畑が大学教授の自然農法の畑という話をそこで聞く。知り合いたい。
山へ行き、案内。
いつも話しかけてくる農家のおじさんと罠のことを話したり、タケノコの話を聞いたりした。「春、タケノコ掘りのバイトをしにおいで」と言ってもらう。
その後、別の罠場を見に行き、猪が歩いているのを見てS田が満足したので、お刺身を受け取りに魚金へ。
刺身は忙しさの中で忘れられていたので、受け取れず。そのまま、俺の田んぼへ行く。行く途中に無人販売で、ニンニクとキウイを買う。ニンニクは新しい畑に植える種にする為。
田んぼに行くと麦が成長して、草マルチから顔を出していた。喜び。
家に帰り、家族とS田が話をしていた。
その後、S田をバス停まで送る。
家に帰ると、姉が、「笑えるわー自分がある子だわー」、母が、「気さくな子だわー」と言っていた。

17(日)
今日も10〜22時魚金でバイトなので、日の出前に罠の見回り。掛かっていない。
帰宅後、畑。
野菜の種をまいたり、玉ねぎやニンニクを植える。あとは緑肥として、クリムゾンクローバーとライ麦もばらまく。草マルチまでしたかったが間に合わずバイトへ。
ともかくフルスピードで宴会をこなす。お酒のオーダーを小分けにする人達、とにかくずっと飲みまくっている人達、どんどん食べてくれて片付けが楽な人たち。
甥っ子の先生がいて、「似ている」と言われる。そしてカッコいいと褒められる。単純にうれしい。

ゴッドタンの放送のことをチェックするものの、お芝居が下手なこともありあまり見る気がせず、宣伝だけする。みんな喜んでくれたらそれだけでいい。というか、大してお金ももらえないだろうし、それだけのためにやった。
家族や地元の友達に直接LINEで見逃し放送のことを連絡する。皆喜んでくれてやって良かった。久々にボクシングやって、腰やっちゃったけど、やった甲斐があった。

18(月)
今日こそ雨が降る前に畑を終わらす為に夜明け前から罠の見回り。8日以降、から弾きばかりで罠に掛からないから、すこし仕掛け方を変えながら見回り。
最後の罠場に言ったら白いお尻が見えて鹿が掛かっていた。愛媛でお世話になった人に送りたかったのと、鹿の肉がなかったのでうれしい。携帯で写真や動画を撮ってみたけれど、苦しんで怖がっているのはかわいそうと思い、早いとこ仕留めないとダメだと思い立つ。俺がどう仕留めようか考えてるうちに勝手に木に絡まって動きが小さくなったので槍で仕留める。一発で仕留められた。冷静さと思い切りは大事。
バイクに足の長い鹿を乗せるのは大変だった。野生動物が死ぬと虫がたくさん寄ってくる。刺されているのがわかっていても手が離せない時がある。まぶたをブヨに刺されて痒いし血が出る。
川に持って行って、内臓を抜いて洗い終わった時に、ふと、「恨むなら俺を恨め」って思った。「何それ、そのまんまじゃん」って思ったけど、そういう風に引き受けたくて狩猟をしているんだよな。
家に一度帰り、朝ごはんを食べてから鹿を解体しに行く。
鹿は首を吊って解体しようと思って、解体場をそうできるように片付ける。掃除に夢中になっていることに気付き、それはそれで今度やろうと適当なところでやめた。でも石鹸が出てきたのは収穫だ。
思えば、猟を始めて初めての獲物も鹿でその時はおんぶに抱っこで全て猟師さんのお世話になったけれど、今は全て一人で出来ている。成長したな。鹿を解体している時、毛の生えた頭に肌が無意識で触れた時、「あ、動物」って、なんか動物を愛でる気持ちに反射で一瞬なってしまうが、すぐ鹿の死体と気付く。動物が好きだ。
5時間くらいかけて、解体と片付けも終わり、雨が降る前に畑が裸なので(土が丸裸ってことで、自然農法的には生物が生活出来ないからNG)、急いで畑に草で被せて朽ちやすくする為米糠も少し振りかける。
雨も降り出したけれど、何とか間に合った、良かった。
明日は、もっと畑を広げて、ピクニック気分も楽しめる感じに整えて行って俺の楽園にする。山崎自然農園。

夕食前、左腕を見たらダニが二匹付いていた。家にダニを持ち込まないように気をつけているけど連れてきてしまった。
夕ご飯を食べる。用意してくれるのほんとありがたい。

夕食後、SNSやって、鹿の精肉。この作業も余裕が出てきて丁寧にスジをとる。モモの部位の名称、適した料理法がよくわからないので、次までにおさらいしとこう。次が明日かもしれないってことで先延ばしに出来ない。掛川に戻ってから先延ばしにして良いことが少ない気がする。
ブヨに刺された右瞼が腫れている。姉が強い薬をくれる。ほんと優しい。

先延ばしのことを考えていたら。イノシシのバラ肉を料理するため出しているのを忘れていたので角煮を作り出す。椎茸の軸を食べる俺、家族との生活の違いを感じる、お金のある無しじゃなく。

解体に使った洋服とタオルを洗濯機へ。洗ったら、ダニや肉片を心配していたが思いがけずムカデの死骸が出てきた。ムカデ、あまり今まで関わりなかったから刺された時の痛みを知らないけど刺されたくない。

19(火)
朝、罠の見回り。
珍しく空弾きもなく、さくっと帰ってきた。
畑の開拓。トラックのシートで雑草除けにしてあったのを剥がして、畝も作らない自然農法専用のところにする。
使っている隣の畑を見たら、ゴボウ、ジャガイモ、大根が雑草に混じって自生していた。今まで気付かなかっただけで、すでに自生している野菜がある。

眠いから早く寝る。

20(水)
畑作りがやりたいから夜明け前から罠の見回り。狙い通りの場所で、すごく大きな鹿。
木に牡鹿が俺のテリトリーだって擦った傷があったから嬉しかったけど、角が立派で少しびびる。先に他の場所もかかっていないか罠を全て見回る。
戻ってきて状況を確認するとまだ自由に動ける感じでいる。
俺が角を抑える準備をしている間に罠に掛かった右前足と後ろ足が絡まって動きが不自由になっていたから、そのまま槍で仕留めることに。
槍で刺したものの、大きいのと姿勢が捻れていて心臓を外す。血は出るものの弱らないから、もう一度刺そうとするが動いて肩甲骨に当たって槍がパキンと折れた。
仕方ないので木の枝で殴って気絶させてからナイフで仕留め様と思うが、躊躇してしまう。落ちていた太い枝でいこうとしたけれど、その前に一度木の強度を確かめる為に地面を殴ったら朽ちていて折れる。別の木の枝に変え、強度もあったから行こうと思ったら、倒れ込んでいたので、角を掴んで、足で押さえ込んで、首の頸動脈を狙ってナイフで刺す。
鳴き声をあげ、血も流れ仕留めたと思ったがなかなか弱らない。今期仕留めた猪も鹿も一発ですぐ足を伸ばして痙攣していたのに、こいつはまだ立ち上がる。大きい牡鹿だからタフで強いのか、俺の刺しどころが悪いのか。
苦しめない為にもう一度刺すか、それともこのまま失血死させるか迷う。頸動脈だと10分は掛かるらしい。 
迷いつつ、美味しくいただく為に頸動脈で心臓を動かしたまま血を抜くのもいいだろうという肯定の仕方もあるし、早く仕留めてあげたほうがといいというのもあるし、首を刺したものの暴れて肉が痛んでしまうというのもあるし、ともう一度刺すべきか迷っている間に15分が過ぎ、鹿の寝転がり呼吸も弱くゆっくりになり、目を閉じてきていた。そのまま事切れた。
苦しめてしまった。
次は運び出さないといけないが引きずるので精一杯。バイクの側まで持ってきたもののバイクと同じサイズだし、とても持ち上がらず諦める。知り合いの猟師さんに電話するものの「出かけないといけないからだめ」ということ。結局母親に来てもらい、トロ舟、ブルーシート、車の後ろ開けっぱなしの状態でなんとか運び出す。足も角も寝かせて入れようとすると乗用車では引っかかるサイズ。
川で腹を抜き、解体場に持ち込み、母親に手伝ってもらいなんとか軒下の柱に、首を吊るが完璧に浮かすことは重さと大きさで無理だった。
解体すると、前回の鹿ではほとんどとるところがなかった首やあばらにたっぷり肉が付いていた。そして筋肉の膜が一つ一つしっかりしていてものすごく解体に時間が掛かる。解体した肉を持ち上げるだけで精一杯くらい。角が立派なのでトロフィーを作るために頭も持ち帰る。
家に帰って重さを測ると36kg。歩留まり率から計算すると120〜130kgの鹿だ。
精肉し部位ごとにラップして冷凍しようとしたがとても冷凍庫に収まらなかった。
夜明け前の罠の見回りから0時まで掛かった。疲れた。
もう目標通り、猪一匹、鹿二匹が獲れたので明日、罠の撤去をすることに決める。二週間で三匹、腕が上がった。

21(木)
朝罠の見回り&撤去。鹿が掛かりそうなところは撤去して、猪が掛かりそうなところは12月に脂がもっとのった猪を獲るために作動しない様にしてそのまま寝かすことに。掛かっていないでくれと願いながら見回って、掛かっていなくてほっとした。キャパオーバーだ。

友人N仁のダクト屋に仕事を頼まれていたので行く。
今日からは現金を得る仕事と野菜と穀物を得る仕事に切り替える。
久々にN仁に会って嬉しかった。今はレギュラーで1人社員をお試しで入れている。俺の仕事頻度減っちゃうかもなと心配になる。けど、けっこう合わなそうだから、すぐ辞めちゃうかも。なんて期待してる俺は聖者ではない。
結構やんちゃそうなタメの子だ。
結局、N仁の父親の方の現場を手伝うため小田原に行くことになる。
父親の Tさんと、積もる話をしながら、村おこしをしたいことや母親が陰陽師で式神を使ったりすることを聞きおもしろかった。母親の癌が今は小康状態だけど、やばくなったら相談したい、とは言わずに心にしまっておく。 Tさんは俺に村おこしに参加してほしそうだが、僕は地元が掛川なので、掛川を盛り上げたい。
仕事はさくっと終わって、19時には自宅に。
冷凍庫整理のために、鹿を欲しがっていた人に一気に冷凍で郵送する。
帰って、友人の犬に送る為の骨の掃除。並行して鹿トロフィーのために鹿の頭を煮込む。鍋におさまらなかったし、角がキッチンの色んなところに当たって作業しづらい。とりあえす、茹でて肉をあらかた外し、外に放置。ハクビシンを呼ばないために気をつけないと。

大阪に遊びに行っていた姉を終電の時間に駅に迎えに行く。いい加減俺と家が血生くさくて怒られるかもしれないから早く肉の整理を終えないと。

罠を掛けていた間は、香料で体に香りがつかない様にお湯だけで髪や体を洗っていたが、今日からは石鹸とかシャンプーが使えるんだけれど、なんか使わないことに慣れたら面倒だし、環境に良くないし結局使わなかった。彼女がそばにいたら、距離が近いから気遣うから使ったろうけど、掛川でそこまで人と近寄ることはないからだろうと思った。
結局寝るのは一時すぎだ。

22(金)
朝、狩猟のものを片付ける。
N仁が迎えに来て、朝から名古屋の現場。車で移動している間に肉を送った友人にいつ着か連絡したり、会いたい人に連絡したり、ギャラの請求したり、ほんとに色々はかどってありがたい。

社員お試し中の Kくんは、キャンプが好きらしく、俺が中学の時、毎日くらいの勢いで遊んでいた友達と仲が良いらしい。2人の馴れ初めを聞いていたら、俺とKくんはサッカークラブが一緒だったことがわかる。俺を聞いたら一気に、小学生の頃のKくんのビジュアルが浮かんで繋がった。直毛で緑のユニフォームに白い短パンを履いていた。仲良くなかったけれどすごくビジュアルを覚えている。この傷とか知ってる?と頭の大きな傷を見せられて、さらに思い出す。当時からやんちゃそうだった。さらに中学時代、一度中学同士でサッカーの試合をして、その当時一番荒れていた東中で、試合中に服引っ張られて「殺すぞ!」と言われたことまで思い出した。グラウンドのどの場所かまで記憶に残っている。
名古屋までの道中、することは会話しかないから、一気に打ち解けた。最終的には、山にキャンプもできて、自然農法で果樹や野菜も植えて、ツリーハウスやイワナやヤマメの養殖や山葵とかも作ったり、小屋作ったり、みんなの楽園を作ろうってところまで3人で盛り上がった。
そして仕事も色んな仕事を転々としていて、溶接や金属の加工もしていたらしく、早い。
一緒に仕事をするとさらに色々わかる。お互い用事がありどうしても21時前には家に帰りたいという今日の目標も一致して、協力してがんばり、なんとか目標達成。
俺はTORIOのYくんに犬用の骨と肉と人用の肉を、冷凍便で21時までに送って、冷凍庫の整理をしたくて、それもなんとかできた。殺して獲った肉をダメにして無駄にすることなく済んで良かった。
なんとか0時前には寝れそうで嬉しい。
明日は、仕事前に畑をやりたい。天気も晴れだ。

23(土)
朝、鹿トロフィー作り続き、里芋収穫。 
N仁が仕事に迎えに来て午前中だけ工場で働く。
アルゴン溶接を出来たら良いということで、親方Tさんの仕事をじっくり見る。ステンレスの溶接。
バイクの細々壊れたところの相談。
家に帰り、里芋収穫続きと青虫駆除と苺の苗植え付け。素手で青虫を潰せるようになっている。
長姉の姪っ子たちが遊びに来ている。
昼食。
午後、畑の開拓。
その後、図書館、ホームセンター、ダイソーへ。
猟師A一さんに挨拶しに行くが会えず、そのまま16:30〜、親戚のうちでバイト。
帰宅後、鹿トロフィー作り続き。土に埋めた方が楽だ

24(日)
朝から日暮れまで畑仕事。
隣の畑の方がサツマイモの収穫をしているのを見せてもらう。とても大きい。
昼ごはんを食べて畑に帰るとサツマイモが4本置き土産してあった。うちのサツマイモはまだ収穫していないからありがたい。
明日雨だから何とか今日畑仕事を終わらせたくて急いでやっているなか、お隣さんが雨水のことで夫婦揃って畑にくる。クレーム。俺が排水用のパイプを好意で取り付けてあげたのに、そのお礼の挨拶は顔を何度も合わせていたのにずっとせず、苦情を言う神経が信じられない。まあ、こじらせないように対処するけど。
急いでるのに話が長いから、「忙しいのでまた」って言っても止まらない。隣で畑仕事を手伝ってくれていた母が精神的にダメージを受けていて、病気に悪いからほんと許せない。

結局、畑は終わらなかった。

シャワーを浴びて、友達の酒屋Mちゃんに獲れた猪と鹿を持っていく。山登りに連れて行ってくれたお礼に持って行ったが、逆にボジョレーヌーボーとビールを頂く。
ジャンボエンチョーに買い物にいって帰宅。

久々に夜のんびり出来そうだから、友達2人に連絡したが空いていなかった。

TORIOのYくんが送ってくれたパンツが届く。かわいい。嬉しい。ありがたい。新しいパンツはいい。

25(月)
朝、天気予報が外れて曇りだったから畑の整地へ。
切り株の周りにうちの庭から四葉のクローバーを移植。
畑に種を撒いて、刈り草を撒いて、堆肥作り、ゴミ集め、終わり。

劇団のK藤くんが10時にくる。
山、畑、田んぼを案内して、爽やかで昼食。
昼食後、会議。
会議後、田んぼで採取してきたラジノクローバーを畑の草除け、緑肥用に移植。
あとはゴミ捨てと、大量に出た雑草の根っこを燃やすか捨てれば山崎自然農園の完成。
畑のお隣さんM浦さんが紫芋を、「天ぷらにしたら」とくれた。あと、モロヘイヤの種も。M浦さんの畑は、大根、人参、里芋、ゴボウ等色々自生していて参考にしたい。俺が立てた畝は高すぎてダメだと言われた。俺は北側の畑で、南側の畑の土はこちらと違い茶色でサラサラしてるからもとから違うと思っていたけれど、M浦さん曰くずっと堆肥等を入れてきたかららしい。俺の畑の土は黒くて粘土質っぽいから畝を高めにしている。吉と出るか凶と出るか、俺は自分を信じて吉と出ると思っている。
K藤くんに夕食にボタン鍋と焼肉。背ロースが今日は噛み切りにくいと姉に言われて、なかなか難しいがこれも数をこなせば安定するだろう。
K藤くんを駅に送り、帰宅後鹿トロフィー作り。一斗缶を魚金でもらってきたから、それで鹿の頭を煮込む。
粗方肉を取る作業は終わったが、鼻の中は取りづらいので、土に埋めることにする。
これで、悪臭を放つこともなくなるからほっとする。

26(火)
朝、鹿を畑に埋める。掃除済みのものだからハクビシンを呼んでしまうことはないと思う。動物の盗掘を防ぐのと、歯を無くさないため、土嚢袋に詰めて埋めた。

N仁が迎えに来て、ダクト設置へ大阪の堺に向かう。
6時間掛けて現場へ。仕事があるのは良いことだけど、農産物だけではなく仕事も地産地消になるとガソリンの消費が減るし、皆の移動時間も減りいいんじゃないだろうか。
現場の仕事は問題なく終わり、ホテルで風呂に入ってから夕食兼飲みへ。
N仁が全て奢ってくれる。「これが俺の会社のルールだから」と、基本食事は全て奢り。この恩は、何か自分の出来ることで返しますと思う。
ずっと大阪のパンツ会社TORIO社長のYくんの家に行って犬に会いたかったのと話をしたかったから、その後Yくんの家に向かう。

なんばのコンビニでタバコを買いに寄ったら、たまたまそこにいたYくんにけつを叩かれる。元気そうだ。友達のKくんも。
家にお邪魔して、犬のラム、ペロンチョにやっと会えた。直接鹿肉をあげれて良かった「鹿とってくれたおじさんだよー」と紹介される。
Yくんと色々話す。
淡路島のニンニクの話(地元のおじいさんが勝手に育ててくれるオートメーション栽培、キャッチコピー『ニンニク2万個鍬1本』)、経営してふ宮古島のゲストハウスのこと、電動チャリ乗ってジムに行ってるやつはバグってる!って一度立ち止まって考えてって話、ベーシックインカム、ジャマイカのスラム街の話(ちっちゃい子も「ええやろ」ってナイフ持ってる、マフィアのボスが捕まると街の電気が全て消える、マフィアをあがめて権力者をバカにする、猿の集まり感、動物感)、沖縄では物々交換、優しさがすごい話、神風の突撃錠、み號剤の話、アメリカの勃起薬タダライズ、作家になるって話(今は書けたらラッキーくらい)、パンツを買ってるのはセレブだけどその金を俺たちがどう使うかでしょだから稼ぐって話、戦争したら被害額がやばすぎるから平和に向かうけどそのスピードアップを計るのが俺たち、ユーモアを持ってカッコ良く行かないと、政治に行ったら金持ちの世界だから勝てないしダサいし、白人、黒人、アイヌや琉球、俺ら黄色いついくねん?って話、執行猶予はボーナストラック、ムツゴロウさんに書きかけの小説持っていって怒鳴られたこと、自叙伝を自分で書くのはつまんないから小説、飛田新地の子と結婚した話、飛田新地の子たちは俺らと同じ感じで、なんやねんって感じだからけっこう話合う子いる、資本主義はいらんもん作っていらんもん買う、その為に皆人一倍働く、結婚の時親から金貰うんじゃなくて手切金としてこっちから払う、ともかくあえて良かった。
帰りはKくんが車で送ってくれた。高速が通行止めで小一時間。コンビニでデザート買って、コジコジを見ながら寝る。飛田新地の話をたくさんしたから飛田新地に行きたかった。

27(水)
ホテルで朝食を食べて現場へ。

15時に現場終わり。
21時帰宅。帰宅直前に車内で、N仁とソーラー発電のパネルを作って太陽光発電するのは、パネルを作る地球の負担とそこから生まれるエネルギーのことを考えると地球の負担的には良いのか悪いのかという話になったら、「それは良く原発推進者が使う論法で経済的には〜」とか言い出して、「そういう話じゃない!」と言い争いっぽくなったところをKくんに諫められて終わった。

28(木)
朝、土に埋まっていた雨戸を鉄くず屋に持っていき、そのまま鹿肉の発送にヤマト運輸へ。
帰宅後、姉と姪っ子を車でイベントまで送り、迎えに行くまでの間に、環境資源ギャラリーに畑で出た粗大ゴミ捨て、まだ挨拶に行っていなかった猟師さんに挨拶しちゃんとやっていることを褒めてもらう。公園に期間限定で来ているコンテナへ伐採木を捨て、畑を借りているM本さんに高速インターで買ったお土産を持って挨拶とお隣さんが借りていた農機具を返すと、家を建てなきゃ好きにしていいよと言ってもらう。
姉と姪っ子を迎えに行って、レタスとキャベツの苗の植え替え。
昼食後、この間折れた槍を直す作業。
スパックの制作さんから、「芸術監督の宮城さんがぜひオーディションを受けてほしいとのこと」とメールを頂き、ぜひ!と返信する。宮城さんが一応僕の顔と名前認識してくれてたとわかり、観劇時にエントランスでアルカイックスマイルの宮城さんに挨拶するたびに「どーもー、ありがとうございます」と言われていたのが、「俺と認識してなのかお客さんとしてなのかどっち?」ともやもやしていたがすっきりした。作・演出フランス人の妖怪もので県内の中高生向けのツアー。
畑作業を色々する。
夕食後、ポテトタイム@VACANTについてスカイプ会議。使う頭が全然違ってちょっと戸惑う。

29(金)
天気が雨予報なので、朝一に畑への道づくり。愛媛で山に機械を走らせる為に道づくりをした経験が役にたった。
N仁が迎えにきて、仕事へ。工場予定から現場予定になり、現場へ。
滞りなく終わり、元請さんと話していたら、バンドマンらしく、最近は付き合いで浜松で演劇にも出たらしい。思い掛けず共通の役者の知り合いがいて、出逢いに感謝。

30(土)
朝、罠の道具を倉庫にかたづける。
魚金に行って終日働く。酔った客のおじさんに「顔が酔って赤いやつはいいやつだけど、顔色が変わらないやつは怖いから接する時の態度に気を付けろよ」とアドバイスを受ける。基本ある地域の人が使うことが多い店だから、母親の知り合いが多く、今日は母の同級生が居て、「父親にそっくりだ」と言われる。父のことを尊敬しているから嬉しい。

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