初期設定の愛 32. 明晰夢
筆者には、頭にこびりついてどうしてもとれないイメージが2つある。
それぞれ別のタイミングで見た明晰夢だ。
筆者の明晰夢には2種類ある。メモをしっかりとらないと、徐々に忘れてしまう明晰夢。
もうひとつは、メモに残すことなく、完全に頭の中に張り付いて取れない、イメージとなっている明晰夢だ。この2つは後者の方だ。
40代前半から中盤くらいだったと記憶している。
(一つ目)
宇宙空間だろうか、遠くに小さな光たち、星のようなものが瞬く。
小さな銀河系のようなもの、渦を巻いている。
少し離れた場所から客観的にみている視点がある。
次の瞬間、その意識が、この小さな渦を巻いたものの中心あたりに移動した。
これは自分自身らしい。自らの意識を内包するエネルギー体のようだ。
すっと、視線を横に移すと、自分と寸分たがわず同じもの、やはり小さな銀河系のような渦を巻いているものがある。
お互いがお互いを慈しむ。絶対的な信頼感で結ばれている。そんな実感がある。相手がいて当たり前、これが普通の状態、自然な感じだ。違和感がない。
何かに備えてスタンバイしているようだ。順番待ちだろうか。
地球での次の転生に備えているのだろうか、そんな感じがした。
(2つめ)
乾いた草の生い茂る大地、アップダウンがかなり激しい。
目の前の丘を一気に駆け上がる。頂上で少しスピードを緩め、そのままの勢いで、またいっきに風を切りながら、駆け下る。すごいスピードだ。爽快感が全身にみなぎる。
どれくらい走ったろうか。丘の上で、しばし休憩だ。
見晴らしの良い丘だ。ただし、一面すべて草原しかない。すべて枯草のような黄土色の景色、人工物や他の生物は見当たらない。
はーっ、ふー。はーっ。 自分の息つかいが聞こえる、次のランに備えているようだ。
ふっと、横を向く、右側だ。 獅子丸(注1)と 麒麟(注2) を足して2で割ったような外見だ。獅子舞の獅子とか狛犬と言われればそのようにも見える。 エネルギー体のようだ。キラキラ光っているようにも見える。
前を向き、息を整えているようだ、かすかに身体が上下に揺れている。
あー、自分も同じ姿だ、そう理解した。
息がピタッとあっている、寸分違わぬ息使いだ。
相方だろう。 相方はこちらを見ていない、こちらが気にならないようだ。まっすぐ前だけを見据えて,息を整えている。真面目そうだ。
この相方が愛おしい。 最大級の愛おしさだ。この相方と自分で一つだ。
一体となっている感覚がある。一対で共同作業のようだ。
大地にエネルギーを与える、活性化するような作業だろうか。土地のエネルギー調整のような作業か?
これは、推測だが、文明が始まる前の地鎮のような作業ではないか。そんな気がする。
脚は見えない。地面のやや上を浮きながら走る。土地の上面を滑るような感じだ。ホバークラフトのようにやや浮いているような感じだが、しっかりと地面をとらえている感じもする。
物心ついたころより、神社の狛犬が妙に気になる。子供の頃は良く、狛犬をさわっていた。
大人になり、中国へ出張する機会が増えた。あちらの社屋や工場、ホテルなどでもそうだが、かなりの確率で入口の両側に石の獅子像が鎮座している。
形や色は様々だ。非常に気になり、良く記念写真を撮っている。
注1:漫画『忍者ハットリくん』に登場する忍犬
注2:中国神話に現れる伝説上の動物(瑞獣)の一種。 「麒」が雄で「麟」が雌を表すとされるが、通常は「麒麟」と雌雄同体で表記される。
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