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こだわりを持ちたい

こだわりを持つ男になりたいと思っている。

先日サウナで、憧れの男に出会った。彼は浴場から出た後、体を拭いて下着を履くと、カバンから2つの小瓶を取り出した。小瓶に入っていたのは、化粧水と乳液だった。

鏡の前に立ち、まずは入念に化粧水を顔全体に塗っていく。他の男たちのように、荒々しく塗りたくることはない。優しくていねいに、化粧水を肌に染み込ませる。

続いて、乳液だ。塗ったばかりの化粧水の上にかぶせるように塗っていく。鏡を二、三度見つめ、肌のうるおい具合を確認すると、小瓶のキャップをていねいに締める。

3分ほどだろうか。僕は全裸のまま、彼の一挙手一投足に見惚れていた。こんな男になりたいと思った。

このサウナでは、化粧水も乳液も備え付けで、使い放題だ。ありがたい。彼以外の男たちは、備え付けられている化粧水と乳液を塗っていた。

もちろん僕も。使えるものは使う。もらえるものはもらうの精神だ。けっこうな高い料金を払ってサウナに来ている。入場料には化粧水の料金も含まれているのだから、使わなければ損だ。

僕は普段ドライヤーをほとんど使わないのだが、イケてるドライヤーがあったので、思わず使ってみた。ドライヤー代も料金に含まれているのだから、使わないと損だからだ。

ところが、あの男は違った。無料で使い放題の化粧水には目もくれず、小さな小瓶を取り出した。いつどこに行く時にも、あの小瓶を持ち歩いているのだろう。

あの化粧水は高級なのだろうか。それとも自分の肌の質に最も合っているのか。いずれにしても、常にあの化粧水を使うことが、彼の流儀なのだろう。美しく、かっこいい。

ああ僕も、自分の流儀を持つ男に、なりたい。

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岡村幸治(コージー)
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