創業70年の建設会社で業界特化スタートアップ投資事業を立ち上げた訳
先日、「JAPAN CON-TECH FUND」という建設業界特化のスタートアップ投資の取り組みを創業70年の建設会社 カシワバラコーポレーションの中で開始してプロジェクトマネージャーに就任しました。
建設テック向けに投資枠50億円、JAPAN CON-TECH FUNDが始動
https://jp.techcrunch.com/2019/02/21/japan-con-tech-fund/
マンション大規模修繕等を手がけるトータル・リノベーション・カンパニー、株式会社カシワバラ・コーポレーションは、建設分野における技術革新の推進を目的として、建設系ITスタートアップに投資する「JAPAN CON-TECH FUND」を、3月より当初投資枠50億円で開始いたします。
昨年から色々と準備してきたので、なぜここに至ったか含めて頭の中をメモに書きたいと思います。
建設業という巨大なマーケット
実は、日本において建設業界は自動車業界に次ぐ第2位の50兆円を超える市場規模です。建設業関連人口も400万人を超えると言われており、裾野がめちゃくちゃ広い。
一方で、多くの問題を抱える業界でもあります。
・他の産業と比べると著しく低いと言われる労働生産性
・高齢化にともなう就労人口の減少
といった多く語られる話や、安全面や談合といった政治面での話まで。
アメリカを中心に盛り上がるCon-Tech(建設テック)
孫さん率いるソフトバンク・ビジョン・ファンドが1000億近くを投資した建設業界のSPAを目指す KaterraやCADメーカー Autodeskに1000億近くで買収されたPlanGridなど多くの投資や大型買収という動きがあります。
下記はCon-Tech領域での投資状況
日本でも、施工管理のANDPAD、職人マッチングのツクリンク、助太刀、内装工事マッチングのSHELFY 、建機売買のALLSTOCKERなど多くの有望なスタートアップが生まれています。
また、設立20年ながら新体制で先日10億円を調達したユニオンテックなど新たに攻める会社もあります。
しかし、50兆円を超える市場規模を考えると、まだまだスタートアップのプレイヤーは少ないといえます。
なぜ?建設業界にスタートアップが少ないのか?
建設業界でスタートアップ参入の障壁となっている問題は様々あります。
ゼネコンを頂点とした多重下請け構造による最終作業者と施主との距離が離れており
職人のスキルが細分化されている
独特の商慣習
高齢化
ITリテラシーの低さ
などなど、上げると問題は山積みです。
業界に長い方などにお話を聞くと、建設業界は業務を効率化するのではなく「人手を増やす」ことで解決してきた歴史があったそうです。
雑な表現をすると「工期おくれそう?人突っ込んで残業して、とにかく納期間に合わせるぞーー!」というノリです。
しかし、現在、現場での労働力不足は待ったなしの状況です。
マーケットに変化があるときは業界構造が変わるチャンス、巨大市場をねらって今後も多くのCon-Techスタートアップが生まれてくると我々は考えています。
JAPAN CON-TECH FUNDが目指す役割
「JAPAN CON-TECH FUND」を運営するカシワバラコーポレーションはマンション大規模修繕やプラントメンテナンスといった事業を柱にマンション管理会社、住宅施工、住宅ローンなど多くの業務をグループに保持しています。
非上場で売上高 約720億と1兆円を超えるスーパーゼネコンと比べると圧倒的に小さいが、その分、意思決定を機動力をもってすることができると考えています。
今回こだわったのも社長直轄でシンプルに判断できるチームづくり。スタートアップと並走するにはその意思決定速度と同じである必要があると思っています。
出資による資金面に加え、建設業界×テクノロジーに対する水先案内人の役割を果たしていきたいと思っています。
投資比率やキャピタルゲインを追求するというよりも、双方が事業にコミットし拡大を目指す関係性を目指しています。
特に、カシワバラの現場を活用することでのプロダクト開発支援、顧客基盤を用いたマーケティング支援など。
参入障壁がどうしてもある業界だからこそ、業界内で中から引っ張っていく存在とし価値を出したい。
結果として、建設業のテクノロジー化が進み、働いている人の安心安全が担保され、負荷をへらす一助になっていきたいと思っています。
レガシー業界はブルーオーシャン?
今回社外からJAPAN CON-TECH FUNDに参画しましたが、会社経営をする中で、最近特に思っていたのは、ピュアなインターネットサービスだけで解決できる問題が少なくなってきているという感覚です。
話題になったWEBサービスが暫くすると閉じてしまうなどよくあります。
インターネットだけの領域は、ユーザーの関心の奪い合いというとても厳しい戦場だと思っています。
弊社(boundary spanner,inc)では本件とは別に、歴史ある会社さんと新事業開発の取り組みをさせて頂く機会もあり、建設業界を含むレガシー業界において、新サービスの競合は紙や商慣習と実感することが多くありました。
正しく業界理解をし、PMFさえできれば、ユーザーがファンになってくれ、応援してくれます。
正直、起業家としてレバレッジが効きやすいマーケットだと思います。
「JAPAN CON-TECH FUND」自体も投資だけでなく、様々な起業家と組んで、主体的なサービス開発も進めていきます。
また、そのノウハウなども幅広く発信していくつもりです。
スタートアップ×レガシー業界で化学反応が起きることで、日本はもっともっと変われると信じています。
お気軽にご相談ください。
JAPAN CON-TECH FUND 問い合わせ先
https://fund.contech.jp/
山田個人の連絡先
https://www.facebook.com/kojiyamada
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参照
https://stat.visualizing.info/msm
https://www.nikkenren.com/publication/handbook.html
https://www.cbinsights.com/research/construction-tech-financing/