初めての鬼【毎週ショートショートnote】
二月二日の鬼の日、ぼくは鬼いちゃんになった。
そもそも何で鬼の日かと言うと、数字で書いたら0202で、節分の前だから『鬼は内』らしい。とにかくぼくたち鬼に縁の深い日、ぼくにはきょうだいができたんだ。
短い鬼歯とたんこぶくらいの角、にぃにぃ泣き虫のきょうだいは、赤鬼父さんより真っ赤な顔で、おしりは青鬼母さんみたいで、なのに『みどりご』で、いまいち何鬼か分からない。
分からないけど、ぼくは鬼いちゃんだから、鬼学校の鬼あそび(本物の鬼はごっこじゃないもんね)を教えてあげる。
将来りっぱな成鬼になって、地ごく会社やお話の中で働く練習なんだ。駆け鬼もドッジ鬼も今までびりっけつだったけど、次は一等賞を取るぞ。何しろ鬼いちゃんには『いち』が入ってるんだからね。
――と、とらンクスのゴムを引きしめてたら、
「にぃに」
きょうだいがぼくの指をにぎって、にぃっと笑った。
うん。手つなぎ鬼だけは、ふたりで二等賞でいいや。
副題:鬼いちゃんできるもん!