玉響の鈴~ねこの日ショートショート
太陽にシャッターを切った時、りぃんと澄んだ音を聞くと、あぁ居るなと思う。
現像した写真に、目には見えなかった光の玉が映っている。オーブ、あるいは玉響現象。空中の微粒子、もしくはカメラの内部で光が反射しただけの光学現象。理屈で説明はつくけど、この音は違うんだ。
ころんと丸い光が、よく見ると鈴の形をしている。
りぃん、ちりん、りりぃぃん。連続写真を転がっていく光の鈴を、決まって追い掛ける雲がいる。
結ぶ度に引っかき落として、前肢で弾くのが好きだった。
ねぇタマ。そこは居心地が良いかい?
鳴き声の届かない上空から、鈴音だけが降って来る。
遊び好きで気まぐれなお前に、天国は物足りなかったんだろう。そのうち天の猫窓が閉まって、帰れなくなったんじゃないか。
ねぇタマ、どうせなら、降りて来て遊ばないか?
お前の鈴はまだここにあるよ。
――ねぇ、
今日も返事はないまま、快晴にりぃんと鈴音が渡る。