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執念第一【毎週ショートショートnote】

このままでは日本が孤独死する!
ゆとり、さとり、ひとりと続く、無欲無気力無関心の三無さんない世代に危機感を募らせた政府は、『執念第一』を標語に掲げた超大型経済政策を打ち出した。
ディザイアー・インカム。希望申請者の夢を叶える資金を、国が全面提供するものだ。
期限は一年。夢の種類や大小、かかる金額は問わない。その人の『やりたい』を満たす為なら、犯罪以外は何でも融通が利く、それ自体が夢の様な制度なのだ。

もちろんリスクもある。万が一夢破れ、申請目標に到達しなかった場合、かかる費用は本人が一括返済せねばならない。それも、期限翌日に即金である。
大規模なプロジェクトを立ち上げ、巨額が動く程にプレッシャーも増す。死に物狂いで夢を叶えるべく奔走する、まさに執念第一の年となるだろう。


日本最大の博打に、三無と叩かれ続けた国民は応えた。
進退かけて夢に挑んだのは延べ五千万人。景気はV字回復を果たし、新たにビクトリー世代と呼ばれた。



副題:ドリームジャンボ・インカム