【ダメカノ】Ep3:会長の妄想

「ダメ会長とツンデレ彼女」Ep:3 会長の妄想

〇放課後 体育倉庫 (Ep2後)
体育祭練習後、何かを探している唯葉と春樹

唯葉「そっちどう?」
春樹「全然。」
唯葉「えー、てかリレーのバトンなんて、こんな所にあるのかなぁ」
春樹「…これさ、片付けながら探したらいいんじゃない?」
唯葉「え?」
春樹「だってほら」

かなり散らかった体育倉庫を見渡す。

春樹「これじゃ見つかるもんもさ…」
唯葉「んううう、もー!余計な仕事増やしやがってええ!!」
春樹「まぁでもこれも、生徒会の仕事だよ、ほら。」
唯葉「はーい。」

春樹、片付け始める。それを見て唯葉も渋々動き始める。

唯葉「てか、なんで体育委員帰しちゃったの?これ絶対みんなでやった方が早かったって。」
春樹「だって相当疲れてたよ?あの状態でここからリレーのバトン探して欲しいなんて言うのはちょっとなーって。」
唯葉「優しすぎるよ春樹は。ツケが回ってくるんだよ自分に!そしてあたしに!」
春樹「それは悪かったと思ってる。」
唯葉「はぁ、まぁいいけど。帰ってもやることないし。」

黙々と作業を続ける。
春樹がチラチラと唯葉の様子を気にし、よそよそしい態度を取る。

春樹「あ、あのさぁ唯葉、」
唯葉「あ、ねぇまだ島ちゃん達いるかな?生徒会室。」
春樹「え?」
唯葉「呼んでみようよ!4人いたほうが早く済むし。」
春樹「いや、」
唯葉「いや?」
春樹「…た、頼まれたのは俺たちだしさ、その、後輩は巻き込まないどこう今日は。…可哀想!」
唯葉「後輩は使ってナンボだよ?」
春樹(それを平気な顔して言うのが生徒会長なのほんと怖いこの学校)
唯葉「あーあ、ここに島ちゃんがいたらなぁ…」

〇〇以下、唯葉の妄想〇〇

咲久「ていうか、たかがリレーのバトン1本に私たちこんな体張る必要あるのかなぁ。絶対どこかに予備とかあると思うんだけど、、。」
春樹「ないからこうなってるんじゃないかな」
咲久「いや、そうなんですけどね。」
藤田「生徒会は何でも係じゃねーのになぁー」
唯葉「だったらこんなのはどう?」
咲久「結構です。」
唯葉「いや最後まで話させてー。」
咲久「どうせろくな事がない。」
藤田「俺好きっすよ!会長のろくでもない話!」
春樹「それ傷抉ってんのか褒めてんのか全然わかんないな。」
唯葉「じゃあ藤くんにはーなそー。これさ、もしバトン見つからなかったらさ、全員あのリレーのバトン使わずに、なんかそのチームの象徴的なものを持って走るのはどうよ??」
咲久「まーた訳のわからんことを。」
藤田「象徴って例えば、あれすか、俺とか吹部だったら、ドラムスティック!とか?」
唯葉「そうそう!あーでも軽音部もスティック持ちそうだから、吹部はあれ、マラカスとか無難かもね」
藤田「それいいっすね!走りながら演奏もできる」
春樹「でもそれ後ろから迫られたらちょっと怖いかも」
咲久「わかります、シャカシャカの恐怖というか」
唯葉「シャカシャカの恐怖」
春樹「生徒会だったら何持つの?」
唯葉「生徒会だったら…。」
咲久「…日誌ですかね。」春樹「…日誌が無難か。」藤田「…日誌じゃないっすか。」唯葉「…私じゃないかな。」

咲久、藤田、春樹、一斉に唯葉を見る。

唯葉「日誌だよね。…よし!」
咲久「待ちなさい。」

〇〇〇〇

唯葉「なんかいいよねー、生徒会って、バランスがいいよねー。あたしこの代の会長になれて超ラッキーだったよーふふ。」
春樹「唯葉はほんと、島根がお気に入りだよね。」
唯葉「ん?なんで?」
春樹「いや、だって今、「島ちゃんがいたらなー」って」
唯葉「あー。確かに言ったわ。でもその後考えてたのは、生徒会4人がここに揃ってたらの妄想をしてたよ。」
春樹「どんな?」
唯葉「んー、くだらんこと?」
春樹「まぁ、唯葉が考えることなんてそんなもんか。」
唯葉「ええ、春樹までそんなこと言うようになっちゃった!?ちょっとやめてよー、幼馴染ー。優しくしてよー。春樹だけじゃん生徒会で私に優しくしてくれるの。」
春樹「そうかな。」
唯葉「そうだよ!これからも優しくしてね、幼馴染っ。」
春樹「幼馴染ねぇ。」
唯葉「なに、嫌だった?」
春樹「いや。…あ、唯葉足元。」
唯葉「あ、あった!」

唯葉の足元に、赤いバトンリレーが転がってくる。

〇体育倉庫の前 
春樹、体育倉庫の鍵を閉める。

唯葉「よし!ありがと春樹」
春樹「バトンもついでに渡してくるね。」
唯葉「助かるー。昇降口で待ってるよ。」
春樹「おう。」

春樹、職員室へ。唯葉、昇降口へ向かおうとする。
しかし、生徒会室の電気が付いていることに気づく。

唯葉(まだいるのかな、島ちゃん)

後ろを振り向き、体育倉庫を見る。

唯葉(もしあそこに島ちゃんと二人きりだったら…。)

唯葉、頭の中で色々な妄想が繰り広げられる。

唯葉(あ、だめ、ハレンチ!)

唯葉、生徒会室に向かう。

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