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【漫画】第五回「キャンプが教えてくれたこと」

(この作品は、雑誌『ガルビー』にて連載されていた漫画の再編集版です)

参考文献:「植物は知性を持っている 20の感覚で思考する生命システム」


仕事柄、いろいろなキャンプ場に見学させてもらうことが度々ある。

とある地方の役場の人から、
「上手機能されていないキャンプ場?があるので一度見てほしい」
と頼まれたことがあった。

足を運んで愕然とした。

鬱蒼とした木々、よくわからない金属の網、しかし管理棟?と呼ばれる建物だけは立派で、豪華な一軒家になんと防音部屋まで備え付けられていた。

あまり細かいことは言えないのだけれども、
某企業の元代表取締役アドバイスによって、言われるがまま収録部屋付きの建物を建設したそうだ。

反吐がでるかと思った。

キャンプ場を上手に運営させたい→じゃあ、立派な建物を作ろう

何故、この考えに至ったのか、何も考えていないのか、想像するのも煩わしい。
今も時々、あのかわいそうな建物とかわいそうな木々たちを思い出して悲しくなる。

キャンプブームを経て、新しいキャンプ場が増えた。

以前のように、息を止めながら我慢して入るトイレしかないキャンプ場は激減し、トイレも、水場もきれいで、夜も多少の明かりがあって、しっかり管理されているからこそ安心して過ごせる場所が増えたし、それがスタンダードになった(特に関東では)

建物を立てることが悪いわけではない。
誰も使う予定もないのに、収録部屋をつくる例もなかなかないと思う。

急に森に放りだされるキャンプはあまりにも人を選びすぎるから、
全体的な快適さは上がっても、困る人はいない。


でも、時々思い出すんだ。
昔ながらの優しい自然があるキャンプ場を。

森、湖、川、海、高原、
真っ暗な中、小さな焚き火
降ってくるような星たち。

木漏れ日のなか、芝生に寝っ転がってみたり
朝露が太陽でキラキラしている木々と
うるさいくらいの鳥の声だったり。

そんな場所に出会うとうれしくなる。

そんな場所にいるとわたしは勝手に、
優しい自然の場所には、優しい人がいるんだと思っていた。

その土地の自然は人に応えようとしてくれる、ってまるでメルヘンみたいなことを本気で信じていたら

この本(「植物は知性を持っている 20の感覚で思考する生命システム」)に出会った。

「やっぱり!」とちょっとうれしくなった。

キャンプ場の管理者は、
みんなが気持ちよく過ごしてほしいという気持ちで
丁寧に土を掘り、葉っぱを集め、芝を刈り、時には弱った木を切る。

そんな人の気持ちに応えるように、育つ自然は優しい。

それはどんな高価な建物でも素敵なライトでも、どんなおしゃれな装飾でも作ることができない空間。

キャンプ場は、人が管理しているもの。

だからこそ、あなたにとって優しくて、「気持ちがいい場所」をしっかり見極めて、好きになってほしい。

写真にも動画にも映せない、”優しいキャンプ場”って、いくつあるんだろう?





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