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SIer脱出のための「社内転職」という選択
過去にSIerのSEとして働いていた筆者が、未経験から社内転職を経てデータサイエンティストにキャリアチェンジし、その後自社開発企業に転職した体験談についての記事です。
同じくSIerやSESの企業で、悩みを抱えながら働いてる人の参考になればという思いで書き綴ります。
私の経歴
まず簡単に私のこれまでの経歴を紹介します。
大学院の修士課程を卒業したあと、大手の日経SIerに新卒で入社
SIerにて、SEやプロジェクトマネージャーとして4年ほど働く
社内異動でデータサイエンティストにキャリアチェンジ。2年ほど働く
転職し、現在は自社開発企業でデータサイエンティストとして働く
SIer SE時代の悩み
SIerのSEとして働いているときは、主に会社が担いでいる海外パッケージ製品を、顧客が導入する支援を行っていました。
そのパッケージについては社内で1番か2番くらいに詳しくなれて、ありがたいことに社内や顧客から一定の評価をもらうことができました。
しかし、比較的ニッチな製品であったこともあり、「この製品に詳しくなったとて、将来一体自分は何になれるのか?」「外に出たとき、自分に市場価値はあるのだろうか?」といった漠然とした不安を抱えながら仕事をしていました。
そんな折、ある出来事がきっかけで、データ分析やデータサイエンスの領域に興味を持つようになり、趣味で勉強を始めました。勉強を進めるうちに、「仕事としてデータサイエンスに取り組みたい」という想いが強まり、現職を離れることを決めました。
特にデータサイエンスが事業やプロダクトの成長に直結するような、自社開発系の企業で働くことが目標になりました。
うまくいかない転職活動
そんな想いで転職活動を始めたのですが、結論から言うと転職活動は全くうまくいきませんでした。
いま思えば当然なのですが、データサイエンティストの実務経験は全くない状態にも関わらず、中途採用という基本的には即戦力が求められるポジションに応募し、結果として内定は1つも取れませんでした。
記憶がおぼろげですが、7, 8社に応募し、うちほとんどが書類選考でNG、残りは1次面接でNGという、散々な結果でした。このときに、自分のやりたいことを実現するには戦略が必要であると考えました。
社内転職という選択
ある日社内のポータルサイトで、社内公募が出ていることを知りました。社内公募とは、人を補充したい部署が募集を出し、社内からの異動希望者がそれに応募し、異動できるという制度です。
制度の存在は知っていましたが、それまでの自分は「他にやりたいことがある=転職」という思考回路になっており、見向きもしていませんでした。しかし前述の通り転職活動がうまくいかず、社内異動もありかなと考えるようになりました。
いま振り返ってみると、当時の自分は転職によって、「働く会社」と「仕事の内容」の2つを一度に変えようとしていました。このアプローチでは、「その会社のカルチャーや価値観とマッチするか?」「仕事で成果を出すことができるか?」という2つの不確実性を抱えることになり、自分と自分を採用する企業は大きなリスクを抱えることになります。
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それに対して社内転職という選択肢は、「仕事の内容」は変わりますが、「働く会社」は変わりません。そのため、会社も業務も変わる転職に比べると、不確実性が抑えられます。
当時ここまで考えてこの選択をしたかは微妙ですが、結果として自分はこの社内異動の制度を使って、データ活用の顧客支援を行う部署に異動し、データサイエンティストとしてのキャリアを始めることに成功しました。
社内転職のその後
社内転職をしたあとは、新しい部署でデータサイエンティストとして実務経験を積みながら、スキルを獲得していきました。
部署が変わり、働き方が多少違ったものの、同じ会社なので大きくカルチャーが異なるなどはなく、慣れない業務であっても仕事のしづらさなどは感じませんでした。
また、社内に知り合いがいるというアドバンテージもありました。部署をまたぐ仕事で何かあったときに、「前の部署で一緒に働いたことあるから、ちょっと聞いてみます」といったムーブが取りやすく、仕事が進めやすく成果が出しやすい環境だったと振り返って感じます。
こうして新しい部署でデータサイエンティストとしての経験やスキルを獲得したのち、元々の目標であった自社開発企業への転職を実現しました。
まとめ
本記事では、SIerのSEからデータサイエンティストへキャリアチェンジし、その後自社開発企業へ転職した筆者の経験を共有しました。
SIerやSES企業で働く中で、自身の市場価値に対する不安や将来のキャリアについて悩む人は少なくないと思います。筆者も同じような悩みを抱えながら、データサイエンスの分野に興味を持ち、転職を試みました。しかし、実務経験がない状態での転職は難しく、戦略的にキャリアを変えていく必要があることを痛感しました。
そこで採用したアプローチが「社内転職」でした。社内異動という形でデータサイエンスの実務経験を積み、その後、自社開発企業への転職を実現しました。このプロセスは、単に職種を変えるだけでなく、働く環境を少しずつ適応させることで、不確実性を抑えながらスキルを高めるというメリットがありました。
キャリアチェンジにはさまざまな方法がありますが、一気に環境を変えるのではなく、段階的にスキルを獲得し、適切なタイミングで次のステップへ進むことが重要だと感じています。
本記事が、現在キャリアの選択に悩んでいる方々にとって、何かしらの参考になれば幸いです。