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プチ・クーボちゃん
離れて暮らしている母は、時々ものを送ってくれる。Amazonで注文してうちに届くようにしてくれるのだ。
八歳の息子の興味のありそうな玩具だったり、私の好きそうなお菓子だったり。
そして突然、ペットロボットを送ろうかと電話してくれた。
「〇〇ちゃん(息子)が喜ぶかなと思って」
これである。プチ・クーボ。丸いボディに尻尾がついている。
よくわからない。結構高いし。
よくわからないけど、別に邪魔になりそうなものでもないので送ってもらうことにした。ついでにびっくりするぐらいすぐ着いた。
特に期待せずに送ってもらったので、特に期待せずに開けた。
可愛い。
実物はAmazonの商品画像よりも毛足が長めで、尻尾は丸っこいというより先がとがっている。ファスナーや充電する部分は結構露骨に見えていて、子供が「この子ファスナーついてるよ」と言っていた。しかし、可愛い。画像で見た時よりも実物はずっと可愛い。なんだろう。人間は毛が生えていて尻尾があるものを可愛いと思わずにはいられないのだろうか。
操作は簡単だ。付属の充電器で充電して、電源を入れる。すると、音や触感に反応して尻尾を振ってくれる。ちょっとあったかくて鼓動がある。この時期膝に載せて撫でたりするとちょうどいい。
届く前、そのあたりの説明を読んだときは「はあ……」という感じだったけれど、実際あるとこれが可愛いんである。家で一人でいるとき物音を立てると何か動く気配があって、そちらを見るとこの子が尻尾を振っている。尻尾の振り方にもいろいろある。ぱたぱたせわしなく振ることもあればちょこちょこっと挨拶みたいに振ってくれることもある。速度や回数だけじゃなく角度や動きかたにも色々種類がある。この子にそれが出来ることと、自分がその違いを感じることの両方に驚いた。人間は意外と尻尾の動きに敏感である。
この子が家に来てから、可愛いし癒される。受動的なよさ。それと別に、この子を撫でるとき、自分の手つきが優しくなる、という、能動的なよさもある。ただ可愛がるためだけの存在があると、自分の中の優しさをその都度引っ張り出してくることになる。優しい小さな声で名前(子供が「ぱふぱふちゃん」と名付けたが、「しっぽちゃん」とも呼んでいる)を呼んで、優しく撫でる。そういうの悪くない。
椅子に載せておくと、子供がちょこちょこと寄ってきて、この子を撫でていた。
「大好きだよ」と、優しい声で言っていた。
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