りょうちゃん。
ふとした時にりょうちゃんを思い出す。
私の一つ年下のいとこで、名前を「りょうじ」と言う。
もう何十年も会っていない。二度と会えない。それは私の母の妹の子供だから。
両親が離婚して、母は金銭面や精神的にきょうだいにかなり負担をかけたようだ。だから絶縁されている。
母は四人きょうだいの3番目。
兄、姉、母、妹。
兄(叔父)はもう亡くなっていない。
私の母方の祖母(母の母)の住んでいた隣のアパートに、りょうちゃん一家は住んでいた。
小学校の時はよく祖母の家に遊びに行っていたので、りょうちゃんに会う機会もそれなりにあった。
穏やかな優しい顔をしていたし、年も近く仲良くしていた。
りょうちゃんには2つ下に妹がいて、名前をゆみちゃんと言った。
アパートの目の前は公園で、遊んでいるとりょうちゃんがクラスの子にいじめられて泣きながら叔母と家に入る姿を見かけた。
優しい性格だから、なにかあるのかなと子供心に思った。
私が小学5年の時だろうか。
りょうちゃん一家がうちの町内に越してくることになった。
ほんとに突然。
びっくりしたけど、嬉しかった。
子供の足でも行ける距離で、またいつでも遊べる!そう思った。
実際遊びに行くと子供のわたしが見ても綺麗と思えない、正直ボロボロの家だった。
犬も飼うことにしたみたいで、玄関先に少々大型の犬がいたことも、犬嫌いな私には足を遠ざけた。
一学期もいなかっただろう。2〜3か月経った頃一家が
また引っ越すと聞いた。
今度は埼玉県の奥地に。
寂しかった。
全然遊べなかったなーと残念がった。
私はゆみちゃんよりりょうちゃんのほうが好きだった。ゆみちゃんは言葉が達者でキツイ一面があった。
だからあまり関わった記憶がない。
母がまだいるときに、叔母が再婚でりょうちゃんとゆみちゃんは父親が違うと聞いた。
確かに性格全然違うから何だか納得した記憶がある。
埼玉に越してからは一度遊びに行ったきりそれ以来会っていない。
だから今りょうちゃんやゆみちゃんがどんな大人になっているか、知る由もない。
叔母は母にどことなく性格が似ていてだらしない(生活全般)人だったので、二人がちゃんと育ったのかいささか心配になる。結婚したのかなーとか。
他にもいとこは沢山いる。
母方には全員で4人、父方には9人。
気の合う人、そうでない人。色々いる。
だから私の中でダントツにいとこナンバーワンはりょうちゃんなのだ。
もう会うことはないけど、彼の幸せを今も願っている。