M4 border line feat. 梓川
作詞 タカノシンヤ / KERENMI
作曲 KERENMI
編曲 KERENMI / KOHD
MIXエンジニア 熊坂敏
このアルバムの中では比較的新しくできた曲。
HONDA VESELのタイアップのお話をいただいた時、
先方と打ち合わせをする前に、勝手にイメージしてトラックとメロディに着手した何曲かの中の一つである。
しかし、先方からのリクエストは生音主体の温かみを感じる肌触りのものだったので結果「世界」を新たに作ることとなった。
「TOKYO君がeverything」に通ずるビート感だが、よりメロディと和声はJ-POP寄りに制作した。
Aメロのピアノは、KEYSCAPEのリリースをカットしている。
この進行に対してのテンションの抜き差し、トップノートの置き方、ボイシングの積みが一番効果的に響くところを探した。
メロディは、テンション感からの解決のポイントの絶妙なラインを探ってこの形になった。
Bメロのメロディは、わたしが昔やっていたCANNABISというバンドの「妄想R」のCメロ2:49〜をセルフサンプリングしている。
余談だがたまにわたしが話してきたエピソードで、「亀田誠治さんのアレンジに納得がいかず全部録り直してリリースした」というのはこの妄想R(のちに謝罪している)。
サビの進行はこちらもCANNABISの未発表曲で「ロジカルダンサー」という曲のサビの進行だった。
10代の頃に作った曲で、数少ないファンには人気のある曲だった。
しかし解散してお蔵になってしまったため、2007年に形を変えてFLOWに提供した。
https://open.spotify.com/intl-ja/track/3MLNxtXyG0ZgPDFh1gwFAa?si=b5b097457d3e4245
前半部分はJust the two of us進行だが
後半でモーダルインターチェンジを繰り返す仕組みになっている。
この進行を使っている他の曲を知らないので思い入れのあるものだった。
結果border lineはCANNABIS、というか自分の音楽人生をオマージュした曲になったかもしれない。
メロディとラフなアレンジが出来た時点でKOHDへ投げて、アレンジをキャッチボールしていった。
シンセソロはChaka Khanの「And the Melody Still Lingers On(Night in Tunisia)」におけるHerbie Hancockのソロを目指したが全く別物になり、これはこれで気に入っている。
シンガーの梓川はこの曲の作曲時にサブスクで出会った才能で「パラノイア」を聴いて一発で惚れ込んだ。
何より声が素晴らしいが歌のグルーヴも特筆すべきところだ。
彼は幼少期のピアノの経験で絶対音感があり、
これまでにレコーディングしてきた誰よりもハーモニーがうまかった。
歌詞に関しては、この曲はアルバム制作の比較的終盤であり、収録曲に重めのテーマが多くなってきたのでポジティブな世界を描きたかった。
打ち合わせで梓川の幼少期から現在までの話をリサーチし、わたし自身の考えや共通項などを照合していき、タカノシンヤに相談した。
「グラデーションとかレイヤーみたいな、YESでもNOでもない状況、感情を描きつつ、オチとしてはポジティブに描きたい」
「YES NOどちらでもないこともあるでしょう」というYUKI「JOY」のこの一節は、わたし自身の人生哲学の一つでもある。
この言葉は、浦沢直樹「MASTERキートン」5巻収録の「ノエルの休戦」における「だけど世の中にはイエスでもノーでもないものが在るだろ!」という台詞の影響である。
中学生当時のわたしを撃ち抜いたものだった。
リクエストをすると最低でもフルで3パターンは歌詞を送ってくる(しかもものすごいスピードで)タカノシンヤにはいつも感服している。
何度かのやり取りを経て最終的な歌詞へ。
Full Album「interchange」
2024/11/20Release.
各曲楽曲紹介はこちら。
使用機材・あとがきはこちら。