サイゼリヤのワインと料理のペアリング 2
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はじめに
先日、このようなツイートをしました。
以前、「サイゼリヤの料理とワインのペアリング」というタイトルでnoteを執筆したことがあります。その時はかなり久しぶりの訪問ということもあり、まずは100円のグラスワイン白と赤に合わせて相性の良いメニューを選び、ペアリングを実践してご紹介させていただきました。
その後、ボトルワインリストからもご提案したいとの思いは募るばかりでしたが、そうなると一人で行くわけにはいきません。同行してくださるメンバーが集まるタイミングを心待ちにしていたのですが、ついに今回、その時が来たのです。
ボトルワインリストから最初に何をセレクトするのか
今回は6名での訪問ということで、ボトルワインを数本オーダーして、それぞれに合わせた料理をペアリングするのが狙い。
普通にお客として訪問するのにも関わらず、自身がディレクターを務めるレストランに訪れる時と同じように、自然と真剣な表情に。これはどのお店に食事に行く時も変わりません。どこで食事をしていても「自分ごと」として考えてしまうのは、間違いなく職業病ですが、これがまた我ながら心地いい。
着席すると同時に早速ワインリストを探す。そしてリストを開くと、非常にわかりやすく表記されたワインが並んでいる。しかも予想していた以上にリーズナブルな価格にあらためて驚く。
実はこの日、まずどうしても「ビール」が飲みたかったため、私を含めた希望者のみビールをアペリティフがわりにオーダー。
しかしビールを飲まないメンバーももちろんいるため、ここでゆっくりはしていられません。ソムリエたるもの、いち早く乾杯のワインを決断してオーダーする必要があります。
今回の参加者の皆さんは、ここに来る前に既にスパークリングワインを含めていろいろと試飲をされてきた後。ビールを飲んでいる方もいることを考えれば、トータルのボトル本数はおよそ3本程度という予測を立てました。
その流れから最初は爽やかなドライタイプの白ワインで、なおかつまずはスタンダードラインを知りたいということも含めて、選んだのがこれからご紹介するワインです。
おすすめ白ワインと前菜2品をペアリング
まず選んだのがこのフレッシュフルーティな白ワイン「ベルデッキオ」。
このワインに使用されているブドウ品種「ヴェルディッキオ」は、イタリアのアドリア海側に位置するマルケ州で非常に有名な白ワイン用品種。
中には魚のような形のボトルに入ったものが存在しますが、まさに海の幸との相性が良い爽やかなタイプが一般的スタイル。
こちらも例外ではなく、フレッシュなレモンやライムの香り、若干のハーブ香、そして潮のような海のニュアンスを感じる、とてもみずみずしい白ワインです。
この白ワインに合わせて魚介系のお料理を2品提案したいと考え、もう一品は温製のムール貝の料理をチョイス。
最初の一品でフレッシュ感を楽しんだ後、ややワインの温度が上がり始めたタイミングでこのペアリングは抜群です。
ムール貝の風味がより広がり、ワインの味わいもよりはっきりと感じられ、素晴らしい相性を楽しめる。ガーリックの風味にもよく合います。
赤ワインに合わせた料理は?
続いて赤ワインのセレクトへ。
まずはいつものようにリスト全体を俯瞰する。
こちらも白ワインと同様、まずはエントリーラインのクオリティを体感したいと考え、「キャンティ」に照準を合わせて考えます。
赤ワインでお店価格1,100円というのは人生初。先日、セブンイレブンのキャンティをTwitterでご紹介させていただきましたが、まさにそのコンビニエンスストアの店頭価格と同等の金額でお店でオンリストしているのは脅威的。
そのセブンイレブンペアリングの時にもトマトソース系のパスタを合わせてご紹介致しましたが、今回も基本的な理論は同じ。トマトをベースに使用した料理をメニューの中から探していきます。
そして実現したのがこちらのペアリングです。
こちらも我ながら素晴らしい相性。
キャンティは「クラシコ」の場合は、よりしっかりとした果実のニュアンスと樽熟成由来の香ばしい風味をもつ傾向があるため、肉料理、例えばハンバーグや牛肉のステーキにトマト等を使用したお料理に合わせたいところですが、通常の「キャンティ」は、よりフレッシュなニュアンスがあり、トマトを使用した前菜やパスタと非常に相性がいい。
ブロッコリー等の野菜のフレーヴァーにも通ずる要素があり、こちらともしっかりと同調します。
最後に選んだスパークリングワイン
個人的にはディナーの最後にシャンパーニュをいただくのが大好きで、今回もその流れを皆さんにご提案したいとの思いかあり、最後のしめとしてスパークリングワインをセレクト。
流れ的に少し甘めのものをご用意して、デザート代わりにもしたいこと、そしてここまでに試飲イベントから含めると皆さんのアルコールの摂取量もかなり増えてきていることも考慮し、アルコール8%のこちらのロゼのスパークリングワインを選ぶことにしました。
やはり最後もワインに合わせた料理が欲しいと考え、セレクトしたのがこちらの一品。
ワインに感じる赤系ベリーフルーツのフレーヴァーとほんのりと存在するシナモンの香りが料理と重なり、双方の味わいがさらに引き立つ。フォッカチオとこの低アルコールのランブルスコのソフトなテクスチャーもそろっていて、より心地よく感じます。
ワイン自体、デザート代わりとしても楽しめますが、この小さな一品があることで、ディナーの最後の満足感を、もうワンステージ引き上げてくれます。
最後に
本シリーズの最後のまとめとして発信したのがこちらのツイート。
前回の記事ではグラスワインのペアリングを実践しましたが、今回の我々のように5〜6名ほどで楽しむ場合、このようなボトルワインと料理のペアリングはとてもおすすめです。
料理がもし足りないようでしたら、こちらに「若鶏のグリル」や「ミックスグリル」を追加して赤ワインと合わせるのも良いと思います。(そしてミラノ風ドリアとキャンティのペアリングもおすすめ)
お会計はこれら全てを合わせても、一人あたりで計算すると2,000円にも満たない金額。驚異的な安さに、今回もまたレジの前でしばし呆然と立ち尽くす田邉。
また機会がありましたら、次回もボトルワインリストの中からセレクトをして、それぞれのワインに合わせた料理をオーダーし、コース料理仕立てにして楽しみたいと思います。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。また次回の記事でお会いできるのを楽しみにしています。
ワインディレクター 田邉 公一
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