超コンビニワインペアリング
はじめに
コンビニエンスストアのワインと、その店内で購入できる相性の良いフードとの組み合わせを提案するシリーズ。
レストランのソムリエである私が、ここに着眼するようになったのは、飲食店での酒類提供が禁止となった、あの衝撃的な出来事がきっかけでした。
なぜコンビニエンスストアの商品でワインペアリングをしようと考えたのか
多くの方にとって身近な存在であるコンビニエンスストア。どんなワインや商品があるのか、それぞれの店舗でどういった特色があるのか。あらためて向き合ってみたいと思いました。
ワインの情報を日々更新していく中、日本での販売数が最も大きいゾーンが、500円〜1,000円の価格帯であることを知りました。であればソムリエとして、高価格のアイテムだけでなく、このゾーンのワインにも精通するべき。そう考えたのです。
そして、このプライスゾーンのワインを常時置いているのがコンビニエンスストア。コンビニは限られたスペースの中、数多ある食品や雑誌、飲料の中でも、厳選されたアイテムのみが陳列される激戦の領域。
目的の商品を手に入れるために、日常的にただ何気なく立ち寄りがちなコンビニですが、周囲の全てを見回し、どのようなアイテムが、どのように陳列されているのかをしっかりと分析をすることで、多くの学びを得ることができるのです。(あまりにも見すぎて万引きと勘違いされないように要注意)
今回のシリーズは、私がコンビニエンスストアのワイン陳列棚をレストランのワインセラーと見立て、その中からワインを厳選。そして、食品コーナーの陳列棚から、そのワインに最も合うと考えられる料理を真剣に選び、そこにちょっとしたアレンジを加えることで、レストランのワンシーンさながらのペアリングをどこまで再現できるのかに挑戦するという企画。
「おうち飲み」という言葉がすっかりと定着した昨今。まだまだ不安定な状況が続く中、ご自宅での日々の飲と食を充実させることは、私たちが健全な精神を保ち、健やかに毎日を過ごしていく上で、ますます重要になっていくことでしょう。
これまで書き記した本シリーズ渾身の10作品を、ワイン生産国ごとにまとめ、今あらためてご紹介します。
イタリアワイン編
まず最初はイタリアの白ワインと料理のペアリングから。こちらはまさに、本シリーズの記念すべき第1号の作品として誕生しました。
イタリアのピノ・グリージョ×たことブロッコリー バジルサラダ
セブンイレブンのワインコーナーに数本陳列されたアイテムの中でも、現段階でおそらくあまり知られていない生産者であることを意識。
その中でも、今世界でも人気があり、低価格帯でも美味しいものが見つかりやすいブドウ品種である「ピノ・グリージョ」が目にとまったのです。しかもフルボトルで700円程度。これであればまず多くの方が気軽に手に入れやすい。
あとは料理とのマリアージュです。
地中海を連想するバジル、ヴェネツィアのワインということからヨーロッパでもよく食べられている海の幸であるタコ。そしてグリーンでフレッシュな野菜が一つになったこの一品が、まさにこのワインと相乗するであろうことを確信しました。
さらにレストランでの外食シーンの雰囲気に近づけるため、そしてヘルシーさをアップさせるために、お野菜をカットして盛り付け、アレンジをしました。ワイングラスにも少しこだわることで、より贅沢なひと時をお楽しみいただけるでしょう。
イタリアのアリアニコ×鉄板焼きハンバーグ
続いて今度はファミリーマートへと走り、扉が開くと同時に迷いもなくワインコーナーへ一直線。閉店後の静かなレストランで責任を持って月末棚卸しをするが如く、一本一本のワインのラベルにしっかりと、そして確実に目を通していきます。
「おお!」
ファミリーマートのラインナップにこのワインがあることに驚きを隠せない。南イタリアの黒ブドウ品種の中でも、トップクラスの赤ワインを造ることができる「アリアニコ」。
レストランでもなかなかグラスワインでは目にすることがない、この品種から生まれた赤ワインが、まさかファミリーマートにあるとは。。。これまで全く気がつかなかった自分が情けない。
500mlで998円という、絶妙なギリギリのプライスが付けられていることにも非常に惹きつけられた。そこには「1,000円以下」を目指した企業努力が垣間見られ、おそらく、本当はもう少し高くしたかったのではないかというジレンマが感じられる。その想いも含め、このワインを選ぶ決断を下したのです。
ゆっくりとそのワインに手を伸ばし、ゲストのテーブルへと運ぶ時と同じようにワインを抱え、今度はフードコーナーへ。
Twitterのフォロワー様からコメントのあった「お母さん食堂プレミアム」を探し発見。いくつかのラインナップの中から、ビーフシチューと一瞬迷いつつも手にしたのが、今回の「鉄板焼ハンバーグ」でした。
そして、ワクワクした気持ちで自宅に戻り、早速ワインをテイスティング。
「おぉ、、、」予想した通り、いや、それ以上のクオリティのワイン。やや熟成感と焼いたニュアンスがあることから、キノコのソテーし付け合わせに。きめ細かくも強めのタンニンを意識し、そして純粋にハンバーグとの相性も考慮した上で、目玉焼きを乗せて完成。
そして料理とワインの相性の確認へ。
全て食べ終わった後、気持ちを落ち着けてから、冷静な顔でこのようにツイートをしたのです。
アレンジペアリング 〜パスタ〜
煮詰めたトマトのニュアンス、ハムやベーコン、オリーブオイルとも相性が良いことから、トマトベースのパスタを合わせるのもおすすめの楽しみ方。
こちらはファミリーマートのお料理ではありませんが、家にある材料で作ってみました。
もしたくさん召し上がれるようでしたら、メインのハンバーグの後、このようにパスタをいただき、この後に続くデザートへと、1本のワインでさまざまな相性の良い料理とのペアリングをすることで、自宅でありながら、まるでレストランにいるかのようなとても贅沢なひと時を過ごすことができます。
アレンジペアリング 〜チョコレート〜
上記でご紹介したお料理とのペアリングをお楽しみいただいた後に、もし少しワインが余っているようであれば、ぜひ合わせてほしいのがチョコレート。
カカオの純粋な味わいとビターでスパイシーなニュアンスが、このワインともとてもよく合います。メインディッシュからデザートへの流れをレストランさながらに体験できますので、ぜひお試しください。
チョコレートケーキやモンブラン、クレームブリュレを合わせるのもおすすめです。
ドイツワイン編
次第にフォロワー様からの期待感が増していくのを実感する中、一晩考えた末、翌朝、今度は再びセブンイレブンへと足が向かう。
「おぉ!!」
前回とラインナップが変わっている.....。
レギュラーアイテムは同じであるものの、いくつかのワインは顔ぶれが入れ替わっている。あのピノ・グリージョもあるが、これまでなかった、このドイツのリースリングがとても気になる。むしろこっちを向いているようにすら見える。そしてかつて主流だったやや甘口タイプではどうやらなさそうだ。
このワインの購入をほぼ決心しつつも、もし相性の良い料理がここにないのであれば、今回は別のアイテムをセレクトせざるを得ないと思いながらフードコーナーへ。そのまま歩を進めると、真正面に光輝く「金のウインナー」のパッケージが。
そして、そのままゆっくりと下方へと視点を動かしていくと「コールスローサラダ」が目に止まる。一度深呼吸をし、意識を集中してペアリングのイメージをふくらませた。
ドイツの白ワインとザワークラウト風
そしてこのようにツイート。
コンビニのお料理をベースに、お野菜等を加えてのアレンジペアリングはこれまでにもやってきましたが、二つの商品を組み合わせて一つの料理を完成させるのは初の試み。そこにお野菜をたくさん加えることで、さらに洗練された一皿へと昇華させる。
今回の白ワインは、リーズナブルな価格帯でありながら、品種と国の個性をしっかりと感じる、近年主流となってきたドライなタイプのドイツリースリングで、とてもフードフレンドリーなワイン。機会がございましたらぜひお試しください。
フランスワイン編
南フランスの白ワインとエビマヨ
本シリーズ初のローソンへ。
ローソンでワインを選ぶのは初めてだけに緊張が隠せない。気持ちを落ち着かせつつ、いつもどおりじっくりと棚を見つめ、一つ一つのアイテムを確認していく。そして考えた末に今回セレクトしたのがこのワイン。
*以下Twitterでのコメント
ハーフボトルであることと価格のバランス。まだ一般的にあまり知られていない銘柄であること等を考慮しつつ慎重にセレクト。
そしてそのまま流れに身をまかせ、合わせる料理を探しにフードコーナーへ。
南フランスの白ワインの柔らかくまろやかなニュアンス、海に近いエリアであること、ヴィンテージはまだ若々しくフレッシュ感も伴うことから、クリーミーさのあるシーフード料理である「エビマヨ」を選択。ツイートにあるようにアレンジを加えて完成。
これまで以上にとても簡単でシンプルな料理とワインのペアリングセットが完成。ディナーの最初の一品目としても最適です。
ニュージーランドワイン編
再びセブンイレブンへと走り、もはや通い慣れたワインコーナーへ。
今回はTwitterのフォロワー様よりコメントをいただいたニュージーランドの白ワインを狙い撃ち。
上の棚の一番左にきちんと整列する、あのグリーンのボトル。実は前回イタリアのヴェネトの白ワインと迷ったのがこのワイン「カープーカー ソーヴィニヨン・ブラン」だったのです。
初回だったので「よりリーズナブルで少し珍しいものを」ということを念頭に置いていたため、冒頭でご紹介したワインを選んだのですが、1,000円以下のニュージーランド ソーヴィニヨンはどれほどのクオリティなのかと、気になっていたのが今回のワイン。そこにちょうどコメントをいただいたので、そっと背中を押してもらったような気持ちになりました。
ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブラン×ほぐしサーモン
ということで今回は迷わずこちらのワインをセレクト。そしてこのようにツイートをさせていただきました。
ソーヴィニヨン・ブランとの鉄板のマリアージュとも言える、サーモンを使用した一品を手堅く選択。アレンジとして、きゅうりやトマトのフレッシュな野菜を添えてオリーブオイルで仕上げることで、このワインとの相性を高め、オードブルとして完成させました。
今回はパセリの粉末をトッピングしましたが、ディル等のハーブを添えるのもとてもおすすめです。
アレンジペアリング 〜野菜スティック〜
この写真のように「野菜スティック」と合わせるのもとてもおすすめ。その日のメインディッシュを作りながら、こちらをワインと一緒にキッチンドランカー的にお楽しみいただくのもおすすめ。
アレンジペアリング 〜仔羊〜
今回はさらにもう一品ペアリングをご紹介。
仔羊に関しましては、スーパーでご購入いただく必要があるのですが、こちらの「サフォークラム」は2本で580円程。ワイン、ほぐしサーモン、野菜、仔羊の全ての材料費を合わせても約2,000円程度で、豪華ペアリングディナーセットが完成。
先にご紹介したサーモンとお野菜のお料理に続き、こちらのメインディッシュとワインを合わせていただければ、1本のワインとのペアリングを最大限お楽しみいただけるでしょう。
チリワイン編
チリのシャルドネと銀鮭の塩焼き
さあお次はハードルを一気に上げて、噂のナチュラルローソンへ。
入店後、すみやかにワインコーナーを発見すると、これまでのコンビニエンスストアのワインの概念を覆す、圧巻のラインナップが並ぶ。品揃え豊富なワインショップやレストランのリストから選ぶ時のような、ある種の高揚感が湧き上がる。
このセレクションを見て、今までここに着目をしていなかった自分にまたあらためて反省。ワインディレクターを名乗る以上、ワインを提案する場所はレストランの中だけでなく、日常全ての場面でなければならない。再び気持ちを引き締め直すきっかけとなりました。
そして気を取り直して選んだのが、こちらのワインとお料理。和の雰囲気が漂う料理ですが、チリという産地の共通性を考慮し、シンプルで簡単にできるペアリングが完成。
チリの赤ワインと豚角煮
白ワインが続いたこともあり、今度は赤ワイン狙いでファミリーマートへ。
果たしてワインコーナーの前で、こんなに真剣な表情でしばらくの間立ちすくんでいる人物が、かつてこのお店に訪れたことはあるのだろうか。
高級レストランであってもコンビニエンスストアであってもセレクトする過程とメンタルは変わることはない。
今回も妥協のないワインセレクトができたと自負している。そして、そのワインから逆算して考え、合わせた料理がこちらです。
今回の赤ワインは、800円程(500ml)のとてもリーズナブルな価格帯でありながら、品種と国の個性をしっかりと感じるワイン。特にチリのフラッグシップ品種であるカルムネールがブレンドされていることから、この国にしかないキャラクターが表現されています。
豚の角煮の凝縮した旨味と煮詰めた甘いニュアンス。そして品種個性に同調させるために付け合わせとして選んだ食材が、赤パプリカとナス、そしてパセリ。
パプリカとナスの色素感のある独特のお野菜の風味、粉末パセリのほどよいグリーンフレーヴァーが加わることで、さらにマリアージュの完成度を高めています。
チリの赤ワインとビーフカレー
あらかじめTwitterで「セブンイレブンで探す」ことをつぶやいたところ、フォロワー様よりリクエストコメントをいただきましたので、そちらにしっかりとお応えする形で今回のワインセレクトに至りました。
ワイナリー名まで具体的なリクエストがありましたので、まずはその生産者のワインがあるかどうかを、お店に着くなり即座に確認に向かう。
こちらのワイナリーのワインに関しましては、神戸のホテルレストランのソムリエだった時代(もう16年ほど前になりますが)、よくテイスティングしていた経験がありましたので、そのクオリティとコストパフォーマンスの高さに関しては予測できていました。
ワインコーナーに着くと、すぐにピノ・ノワールとシャルドネを発見しまずはひと安心。直感的にシャルドネを棚からゆっくりと持ち上げてフードコーナーへ。
見たところ相性の良い料理はありそうなのですが、果たしてフォロワー様に新しい発見と美味しさをもたらすかどうかと考えると、どうもしっくりこない。。。
少し考えた後、今度は逆に料理の方から考えてみようと、今の季節にあっていて、先の二つの品種のどちらかに最も相性の良さそうものを、頭の中でエアーペアリングしながら順番に見ていきます。
チリというテロワール、、この季節に食べたくなるものは、、そして自宅にある食材をアレンジとして使い、マリアージュのレベルを高めることができるベストな料理は果たしてどれなのか?
考えた末に選んだのがこちら。
実際に料理とワインのマリアージュをしっかりと確認した後、このようにつぶやいたのです。
牛肉の赤ワイン煮込みとピノ・ノワールとのペアリング理論をベースに考案。ただし、具沢山ではあるものの、カレーであることには変わりません。このスパイス感と甘辛さに対し、ブルゴーニュのピノ・ノワール以上のスパイス感と甘味を持つワインであるということを意識。
チリワインのルーツを辿るとスペインとの強い関係性があることから、辛味や米との相性も良いと考え、さらには、フンボルト海流の冷涼な海風の影響も受けるチリのピノ・ノワールということで、海のニュアンスを表現するためにライスにジャコを少量加えることにしました。
そして最後に、地中海性気候を受けるチリの赤ワインということで、付け合わせには軽くソテーしたズッキーニ等の地中海を連想するお野菜を添えて。ニンジンの色調と甘み、ピーマンの風味も、このワインとのペアリングの完成度をさらに高め、健康面においても留意された料理が完成したのです。
アメリカワイン編
今回のワインは、以前よりSNS等でも拝見することが多く、前々から気になっていたアイテム。
こんなに身近にあるワインにも関わらず、一度もテイスティングしていないというのは、ワインディレクターを名乗る者として健全ではないということで、事前にTwitterで予告をし、皆様からのリアクションとワイン自体の評判を確認した上で、満を持してセブンイレブンへと向かいました。
するとなんと250mlサイズの小さなボトルを発見。レストランのグラスワインで言うとちょうど2杯分のサイズです。ワインペアリングを楽しむ上ではこちらでも充分であり、しかもフォロワー様に対してもよりリーズナブルな価格でのご提案ができるということで、今回はこちらをチョイス。
そして例によって料理の選定へと移ります。
このワインの原料となるブドウのエリアを考えると、海側ではなく山のテロワールであると判断。そしてインターネットで「ヨセミテロード」を検索し、その場所と周辺エリアの風景を確認。
品種はシャルドネ。テクニカルデータ上、こちらのスタンダードキュヴェに関しては、樽のニュアンスが感じられる形跡はない。このワインの香りと味わいから連想をして、食材と調理法をイメージしていく。
内陸地のフレッシュでグリーンな野菜、日照からくるブドウの成熟度とシャルドネのニュートラルな旨味。。。しばらく考えた末、陳列された料理の中から最後に選んだのが、こちらの料理でした。
カリフォルニアの白ワインと鶏むね肉のサラダ
実際に料理とワインのマリアージュをしっかりと確認した後、このようにつぶやいたのです。
我ながら想像したとおりの素晴らしい相性。双方の味わいが、一緒にいただくことでより引き立ちます。
フレッシュ感と旨味の絶妙な均一性。備え付けの「和風ドレッシング」では、ワインとの相性を考えると難しいと考え、棚の上段に並んでいた別売りのドレッシングの中から、最も相性が良いと考えられる、ナッツと小麦を使用したクリーミーさを伴うものをチョイス。最後に粉チーズとパセリの粉末をトッピングして完成。
これらを全て合計しても750円程。多くの方にとって、価格以上の満足感を保証できるメニューが出来上がりました。休日のサラダランチにもぴったりです。
こちらにお野菜を増量することで食べ応えも十分。ぜひ一度お試しください。
日本ワイン編
さあいよいよ今回ご紹介するコンビニワインもラスト10本目を迎えることとなりました。
セブンイレブンを代表する白ワインをご紹介したばかりですが、最後はファミリーマートで手に入れることができる、日本を代表する生産者の白ワインが登場です。
こちらのワインはこのシリーズをスタートして以来、ファミリーマートを訪問するたびに気になっていたアイテム。何度か手に取りながらも、料理とのペアリングが当たり前すぎる組み合わせになるのではないかと懸念して、なかなか踏み切れていなかったのでした。
ところが、Twitterでフォロワー様におすすめのコンビニワインを募ったところ、なんとこのワインの名前が真っ先に挙がったのです。
これはもういくしかない!ということで、ファミリーマートへ猛ダッシュ。あるべき場所に寝かされているそのワインを、ついに手にする時がきました。
そして問題の料理選定へ。
ある一つの商品を選ぶだけであれば容易にセレクトは可能。ただそれでは驚きや発見がない。これまでのように、冷蔵庫にある食材をアレンジで使用することを考慮しながら考えるものの、このワインとのペアリングに関して言えば、それだけでは感動を生み出すことはできない。
そこで考えたのが、陳列された料理どうしを組み合わせて新たな料理を生み出すコラボレーションでした。
日本の白ワインと胡麻だれ とうふそうめん&たけのこ土佐煮
実際に料理とワインのマリアージュをしっかりと確認した後、このようにつぶやいたのです。
料理どうしのコラボレーションに加えて、レモンとパセリの粉末をトッピングし、このワインの持つフレッシュな柑橘フレーヴァーと、ほのかなハーブのニュアンスに寄り添うようにアレンジ。
胡麻だれの香ばしさを伴うまろやかさにシャルドネの要素が、たけのこの土佐煮の旨苦味に甲州の要素がとてもよく合う。冷製料理であることで、よく冷やしたこのワインと温度も同調するマリアージュが完成。
今回も我ながら想像したとおりの素晴らしいマリアージュ。
料理とワインを一緒にいただくことで料理とワインの双方が引き立て合い、箸とグラスを持つ手が止まらない。
アレンジペアリング 〜ワインカクテルと唐揚げ〜
せっかくシャトー メルシャンのワインを購入したということで、何か他にもペアリングできないかと考えているところに思いついたのが、この唐揚げとの組み合わせ。
唐揚げの衣の適度に香ばしいニュアンスと食感、ゆっくりと火が入った鶏肉の旨味。レモンを絞ることで唐揚げ自体の風味を豊かにすると同時にワインのフレーヴァーにも同調。
ワインをソーダで割ることで「スプリッツァー」のスタイルに仕上げ、ワイン版のとてもエレガントなチューハイレモンの出来上がりです。
最後に
決してコンビニエンスストアからのご依頼をいただいたわけではなく、ただ個人的に興味をもったことでスタートしたこちらのシリーズ。
想像していた以上に多くの方々からのご反響をいただき、毎回楽しみながらペアリングを考案し、ご紹介させていただきました。
こうして日々向き合ってみると毎回必ず発見がありますが、想像していた以上に各店のワインのラインナップが充実していることに驚きました。そして同じ系列のコンビニエンスストアでも、店舗によりそのセレクションが大きく違っていることもとても興味深い。(都内ではありませんが、福島県の「セブンイレブン 白河インター店」は、特筆すべきワインセレクションです。)
それらのワインに合わせて、同じコンビニ内でフードを探してみることで、これまた興味深くバリエーション豊富な品揃えであることに気がつきました。
今後も本シリーズに限らず、私の考えるワインと料理の楽しみ方をご紹介させていただきます。よろしければ引き続きお付き合いくださると嬉しいです。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。ではまたお会いできるのを楽しみにしています。
ワインディレクター 田邉 公一