FOODEX JAPANで出会ったフランスの魅力 〜蒸留酒編〜
はじめに
幕張メッセで開催されたビッグイベント「FOODEX JAPAN 2022」に参加させていただき、多くの魅力あふれるアイテムと出会いました。
その模様をTwitterやInstagramでも積極的に発信させていただき、noteでもおすすめのワインを多数後紹介させていただいたのが、こちらの記事です。
「フランス」と言えばワインを連想される方も多いと思いますが、フランスは世界を代表するワイン大国であることはもちろん、世界中の多くの食文化にも影響を与える美食の国。
数々の素晴らしいワインが生まれると共に、魅力あふれる食材が数多く存在し、それぞれの土地の食文化とワインは密接に関係している。さらには、ワインに限らず、その食をより豊かにするためのさまざまな飲み物が存在します。
私自身、今回ブースを回らせていただいてあらためて気付かされたのは、フランスはワイン以外のお酒も素晴らしいということ。
「三大ブランデー」と呼ばれる「コニャック」「アルマニャック」、そして「カルヴァドス」は世界的に有名であり、ソムリエ・ワインエキスパート試験においても必須のチェックポイントですが、今回はその枠を越えた飲み物との出会いがありました。
この機会にぜひご紹介させていただければと思います。
ラムとコニャックをブレンドした蒸留酒
会場に到着してから、まず最初のブースでボルドーワインをいろいろテイスティングさせていただいた後に訪れたのが「オジュ・インターナショナル」のブース。
オジュ社は、1820年にピレネー山脈の中心部に設立されて以来、同じ家族によって経営されています。
オジュグループは、フランスにおけるナチュラル・ミネラルウォーター市場のリーダーとなり、缶入りのミネラルウォーターからセルツァー、ビールに至るまで、世界中の顧客に新製品を改革し提案。
これらの動きに続いて、ワインとスピリッツのトレーディング活動を担う「Les Petits Clos レ プティ クロ」という子会社も立ち上げ、更なるチャレンジを続けています。
ワイン中心の頭で歩いていた私の目に止まったのが、このずらりと並んだ琥珀色のボトルが並ぶブース。
気になって最初にテイスティングをさせていただいたのがこちら。
「ラム70%とコニャック30%」という絶妙なブレンド。
ラムとコニャックは全然違うものと思われる方もいらっしゃると思いますが、例えばブラインドテイスティングの場合、判別するのがなかなか困難なほど、同じ雰囲気を持ったものも存在します。
一瞬とても斬新な組み合わせだと思いましたが、上記のことを考えると、なるほど、と深く納得。「早くテイスティングしてみたい」と渇望しました。
ラム&コニャックのテイスティングコメント
香りは第一印象から豊かに広がり、カラメルや黒糖、アプリコットやピーチコンポートのような甘い香りが広がる。そして香ばしいアーモンドやヘーゼルナッツ、クルミのニュアンス、シナモンやナツメグのような甘苦いスパイスの要素もあり、複雑性を感じる。
ストレートで飲んだとしても、アルコール感を強く感じすぎることなく味わいはまろやか、そして終始なめらかなテクスチャー。口の中で温まると同時に、香りで感じたアロマがゆっくりと広がり、甘味と心地よい苦味、フレーヴァーとのバランスが素晴らしい。
チョコレートやミックスナッツはもちろん、チョコレートのタルト、コーヒーを使用したクレームブリュレ、モンブランのようなデザートと共に素晴らしいペアリングを楽しめる。
ロックスタイルはもちろん、ソーダで割ってカクテルにしても楽しめるでしょう。アレンジとしてライムを絞ってみるのも良さそうです。
「ラムとコニャック」それぞれの個性がバランスよく調和し、それらを同時に味わうことができる贅沢。今後日本のバーやレストランでも広がることを願っています。
印象に残った蒸溜酒の数々
ではその他にも印象に残ったアイテムをいくつかご紹介させていただきます。
フランスはブドウを原料にして造られる蒸留酒であるブランデーが有名ですが、穀物の生産も豊富であり、ウイスキーも造られています。
こちらの「LEFORT」は、スコットランドや日本のウイスキーにも匹敵する素晴らしいクオリティー。
「ハイボール」にして、フランスの郷土料理「パテ・ド・カンパーニュ」と合わせれば、素晴らしいマリアージュを体験できること間違いなしです。
この「Montebello」は、10年という長い年月熟成した農業生産ラム。ラムの中でもこれほど熟成したものはなかなか珍しい。
日本でも有名で個人的に愛飲している「ロン サカパ センテナリオ」という23年熟成のラムがありますが、そのサカパを彷彿させる複雑性、豊潤さを感じる。
上質なチョコレートと合わせてゆっくりと楽しみたい。
そして最後にテイスティングしたのが、この南西フランス バスク地方のフレーヴァー・ジン。
ジンはロンドンのものが昔からカクテルベースとしても有名ですが、現在、日本のものも含めて世界的に人気が上昇している注目のスピリッツ。
フランスのジンは日本では珍しいですが、こちらの「BRANA」はフレーヴァーが加えられたジンでますます珍しい。「ライム」とバスク地方で「ピマン・エスペレット」として有名な「唐辛子」が使用されています。
「ライム」の方は、まさにこのままトニックで割れば実際のライムを使用せずとも調和の取れた「ジントニック」を作ることができ、ロックでそのまま飲んでも自然に「ジンライム」が完成する。さらにフレッシュライムを絞ってみるのも良さそうです。
そして唐辛子の方は「きっとなかなか強烈な味わい」を予想し、辛いものに弱い田邉は、恐る恐る少量を口に運んだのですが、これがまた絶妙な味わい。ジンの良さがしっかりと表現されていて、ほのかな唐辛子のフレーヴァー。ソーダで割って、スパイスのきいたグリルチキンやポークと合わせるのも良さそうです。
こちらも今後日本に入荷される日が楽しみです。
最後に
今回のイベントで出会った魅力的なワインと蒸留酒の数々。前回のワイン編、TwitterやInstagramも合わせると、とてもたくさんのおすすめアイテムを取り上げてきました。
長年ソムリエを務めてきて、そして年々世界中の多くのお酒が日本で楽しめるようになってきた今でも、まだまだ未知の魅力的な飲み物がたくさんあることをあらためて実感。
このように素晴らしい機会をいただき心から感謝すると共に、フランスワインと料理がきっかけでこの世界に入り、育てていただいた者として、これからもフランスの飲と食の魅力を日本にシェアしていける存在でありたいと思っています。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。また次回の記事でお会いできるのを楽しみにしています。
ワインディレクター 田邉 公一
最後までご覧いただき、心より感謝いたします🥂