「ProWine 2024」フランスの魅力再発見 〜蒸留酒・ノンアルコールワイン編〜
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はじめに
東京ビッグサイトで開催されたイベント「ProWine 2024」に参加させていただき、多くの魅力あふれるアイテムと出会いました。
その模様をTwitterやInstagramでも積極的に発信させていただき、noteでもおすすめのワインを多数後紹介させていただいたのが、こちらの記事です。
「フランス」と言えばワインを連想される方も多いと思いますが、フランスは世界を代表するワイン大国であることはもちろん、世界中の多くの食文化にも影響を与える美食の国。
数々の素晴らしいワインが生まれると共に、魅力あふれる食材が数多く存在し、さらにワインのみならず、その食文化をより豊かにするためのさまざまな飲み物が存在することも、世界中の人々に広く知られています。
私自身、今回各ブースを回らせていただいてあらためて気付かされたのは、フランスはワイン以外のお酒も多彩で素晴らしいクオリティをもっているということ。
特に「三大ブランデー」と呼ばれる「コニャック」「アルマニャック」、そして「カルヴァドス」は、世界的に高い知名度を誇っており、ソムリエ・ワインエキスパート試験においても必須のチェックポイントですが、今回はさらにその枠を越えた飲み物との出会いがありました。
長期熟成コニャック
ProWineも最終日の3日目を迎え、いよいよ蒸留酒のブースへ。
「VSOP」は「コント4」に分類され、4年以上貯蔵されてからリリースされます。日本でもBarなどで、この「VSOP」と表記されたコニャックを目にすることが多いのではないでしょうか。
ドライアプリコットや黄桃、カラメルやシナモン、香ばしいアーモンドの香り、ストレートで口に含むとアルコール由来の熱感が感じられるものの、まろやかさと豊かな風味がいっぱいに広がります。
食後にチョコレートのアイスクリームといただくと、双方の味わいが生かされつ新たなフレーヴァーも生まれ、アルコール感も溶け込むことで優しい印象へと変わります。
最後は、ブースを訪れた時からずっと気になっていた「Extra」を試飲。
こちらも「XO」と同様に「コント10」に分類されますが、実際には40年もの長い熟成を経ている超希少酒。20年以上ソムリエを続けてきましたが、ここまで長い熟成を経たコニャックを味わうのは初めての経験。貴重な機会を与えてくださり、心より感謝いたします。
長期熟成「Cognac Extra」のテイスティングコメント
香りはゆっくりと立ち昇り、グラスの中から溢れてくる。ドライアプリコットや干しブドウ、黄桃のコンポートような甘い香りが広がり、香ばしいアーモンドやヘーゼルナッツ、クルミのニュアンス、シナモンやナツメグ、クローヴのような甘苦いスパイスの要素、カラメルや紅茶、リコリス、ジンジャー、クレーム・ブリュレのような香りもあり、複雑性を感じる。
良い意味で実際の度数ほどのアルコールの強さを感じることなく、原料由来の風味が豊かに感じられ、味わいはとてもまろやかで豊潤、なめらかなテクスチャーが心地よく、風味が全身に広がっていきます。熟成からくる香りと味わいの複雑性と調和が素晴らしい。
チョコレートやナッツの盛り合わせはもちろん、チョコレートのタルトやアイスクリーム、コーヒーやカラメルプリンのようなデザートとのペアリングもおすすめ。その他のシチュエーションとして、鴨肉にトリュフオイルで風味づけしたお料理等、トリュフ風味のお肉料理との相性も抜群です。
3種の樽で熟成したフランスのウイスキー
続いては、珍しいフランスのウイスキーをご紹介。
フランスはブドウを原料にして造られる蒸留酒であるブランデーが有名ですが、穀物の生産も豊富であり、ウイスキーも造られています。
「レ・ブリュルリー・モデルヌ」のブースでテイスティングした「パリソン」。
とても興味深いのが、この3種類のウイスキーは熟成に使用した樽の種類が違うということ。コニャック、ラム、バーボンの熟成で使用した樽を使って熟成されており、ウイスキー本来の香味に加え、それぞれのお酒のフレーヴァーもほのかに感じられ、非常に興味深い香味に仕上がっています。
どれも上品で華やかさがあり、風味が豊かで洗練された味わい。まさにエレガントなスタイルのウイスキー。フランス料理店の食後酒としてのラインナップや、オーセンティックなバーでロックで楽しんでいただくのにも最適です。ハイボールにしてもそれぞれのお酒の風味がしっかりと感じられるので、乾杯の一杯や食中酒としても大活躍してくれるでしょう。
ユニークなフランスのジン
「レ・ブリュルリー・モデルヌ」のブースでウイスキーを堪能した後は、そのまま「ジン」のテイスティングへ。
人気のバーボンウイスキー「ブラントン」を彷彿とさせるボトルの形。香りはジン本来のフレーヴァーのみならず、フルーツやスパイスの甘く華やかで独特の癒しを感じるアロマが複雑に絡み合い、これまでに感じたことのない感覚。
酒精強化ワイン「ヴァン・ド・リキュール」の魅力
同ブースで、その他にも「ヴァン・ド・リキュール」をおすすめいただきテイスティング。
ヴァン・ド・リキュールは「酒精強化ワイン」の一つであり醸造段階でブランデーを添加するのが特徴です。
こちらは発酵前のブドウ果汁にコニャックを添加し熟成させた「ピノー・デ・シャラント」。香りにコニャックのアロマが感じられ、味わうとブドウジュースの自然な甘味が感じられます。アルコール度数もブランデーの半分以下ということで、食前から食後まで幅広いシチュエーションで楽しむことができます。
シーフードに相性抜群 ロワール地方のノンアルコールスパークリングワイン
そして最後にご紹介したいのが、このロワール地方のノンアルコールスパークリングワイン。
フランス ロワール地方の白ワインで有名な「ミュスカデ」。そのミュスカデから造られたノンアルコールスパークリングワインを、ProWine Tokyoのフランスパビリオンの「スリーズ カネル」のブースで初めてテイスティングさせていただきました。
この2本は同じ生産者「ロッシュフォール」で、右が通常のミュスカデの白ワインで左がノンアルコールスパークリング。
ノンアルコールであっても柑橘フルーツのフレッシュな風味と爽やかでミネラリーな味わいは健在。生牡蠣をはじめとするシーフードととても良く合いそうです。お寿司の貝類ともペアリングしてみたい。
こちらの「スリーズ・カネル」のマダムにもとてもよくしていただきました。
かつて何度も訪問したフランスの数々のワイナリーでもそうでしたが、自国の産物に自信と誇りを持ち、笑顔で親切にご紹介してくださる姿が印象的で、あらためてフランスという国の素晴らしさを実感することができました。
最後に
今回のイベントで出会った魅力的なワインや蒸留酒の数々。前回の記事とX、Instagramも合わせて、多くのおすすめアイテムをご紹介してきました。
長年ソムリエを務めてきて、そして年々世界中の多くのお酒が日本で楽しめるようになってきた今でも、まだまだ未知の魅力的な飲み物がたくさんあることをあらためて実感。
このように素晴らしい機会をいただき心から感謝すると共に、フランスワインと料理がきっかけでこの世界に入り、育てていただいた者として、これからもフランスの飲と食の幅広い魅力をシェアしていける存在でありたいと思っています。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。また次回の記事でお会いできるのを楽しみにしています。
ワインディレクター 田邉 公一
最後の最後に 今回最も印象に残ったのは?
最後にもう一言だけ。今回ご紹介したランナップの中で、個人的に特に印象に残った1本を挙げたいと思います。
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