法定相続情報証明取得の手続 体験談

身内に不幸があり、遺産分割協議書作成、相続税申告に必要な金融機関の残高証明取得するために、2017年5月から開始した「法定相続情報証明書」が利用できるとのこと。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html

制度開始当初は、この証明書ではダメで戸籍を要求されたなどという話も仄聞しており、仕事として受任していた相続・遺産分割事件では利用したことがありませんでした。

が、2020年10月の時点で調べてみたところ、手続と取る金融機関では全てこれだけで大丈夫そうだったので、物は試しと、自分で取ってみることにしました。同じ手続取る方のためにご参考になればと、記録を残しておきます。

必要書類

法務局のHPに具体的な手続と必要書類などが載っています。

必要な書類はこちら。

1 被相続人(亡くなられた方)の戸籍除謄本〜出生から無くなるまでの連続した戸籍謄本・除籍謄本

2 被相続人の住民票の除票

3 相続人の戸籍謄抄本

4 申出人の氏名・住所を確認することができる公的書類(運転免許証両面コピーなど)

その他、一覧図に相続人の住所を記載する場合は、各相続人の住民票記載事項証明書→一般的に「住民票」と言っているものですが、残高証明取得するだけなら、身分関係だけ分かればよいはずなので、今回はこちらは取っていません。

今回は、被相続人の本籍地も、私も、家族も全て同じであり、かつ、被相続人の最後の住所地も同じだったので、1つの区役所で全て取り寄せできました。

あと、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本って、一つ一つ取っては遡って申請する作業を繰り返さなくてはならないのかと思っていましたが、「生まれてから亡くなるまで」をチェックすれば役所の方で取りそろえてくれるのですね。これは楽ちん(普段の弁護士業務では事務員さんにお任せだったので知りませんでした)。

が、改めて必要書類見ると、これ別々の場所だったら、とんでもなく面倒ですね。

また、自分や被相続人の戸籍だけなら問題無いのですが、弟の戸籍取るには利害関係を説明しなくてはならないので、少し面倒。

一覧図の作成

上記ページからエクセルファイルをダウンロードして作れます。Excel扱えれば簡単ですが、使えない人はどうすんだろう?Web上のフォームから自動的に作成できるようにできればなお便利ですね。

複数ほしい場合も、申請時に準備するのは1部だけで大丈夫です。私は5部もらいたかったので、それだけ印刷して持って行ったら1部だけ受け取り、あとは返却されました。

申出書の作成・提出

申出書はこちら。

あ、でもこれは忘れていたので、窓口で手書きの用紙をもらって書き込みました。

書類の提出〜不動産登記窓口へ!

郵便もできるようですが、九段下の東京法務局に持って行きました。

係がどこかわからず、ビルの案内表示から、あたりをつけて、8階「戸籍課」に行ったところ、ここではなく4階ですよと教えていただきました。

4階に降りると、確かに法定相続情報証明書はこちら、という立て看板はあるのですが、それらしき担当の表示は無し。

窓口はわかったので、行ってみたら、なんと不動産登記の受付と同じ窓口で対応するのでした。これはわからないです。

前記のとおり、申出書を忘れたので、その場で手書きで書いていたところ、証明図の交付は窓口が良いか、それとも郵送が良いかを記入する欄がありました。

一覧図はこちらで作っていくのだから、その場で確認して、30分くらいで認証のゴム印でも押して交付しくれるんじゃないの?と思って聞いたら、いや、審査して1週間くらいを目処にして完成とのこと。

郵送の場合は、同じフロアにある売店でレターパックを購入して渡せばそれで送ってくれるとのことでした。提出した戸籍なども返送してくれるそうです。

ええ!その場でもらえるんじゃないんだ!

費用〜おそらく0円

ここまで手続をして、帰ってきました。現在は完成待ちです。

ところで、この一覧図の写しをもらうのに、費用の請求はされませんでした。

あ、よくあるご質問、今見たら、無料で利用できるとのことです。

メリット・デメリット

メリットは、複数の金融機関同時並行して残高証明書を請求する際に、戸籍謄本だけだと金融機関の数分全て揃えないといけないので、費用を抑えられることですね。

時間はかかるけれど、一つ一つの金融機関に被相続人と自分の関係を示す戸籍を提出し、還付を受けて、また次、というので良いのであれば、そっちの方が楽です。必要書類も少ないし。

デメリットは上記の裏返し。同時並行して残高証明書をもらう必要が無ければ、取り寄せる書類は多いし、手間もかかるので、必要ないかな。

10月23日の申請で、私の受付番号が750番台でした。だからあんまり使われていないのかもね。

で、ここまで書いて思ったのですが、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本をチェック1つで出してくれるんだから、わざわざ法務局行かなくても区役所・市役所で作れるんじゃないのかなぁ。民法の知識は必要だけど、法定相続人だけなら単純なので、AI導入すれば簡単なのではないだろうか。



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