「補完的保護対象者」でどれくらい救われるか、出入国在留管理庁は試算せず、今後も予定なし〜火事場泥棒根性が見え見え
古川法務大臣だけではなく、岸田首相も、ウクライナからの庇護希望者保護を前面に出し、今の法律では不十分なので、法制度の整備が必要、改正するなら一体的見直しが必要などと意見を述べています。
そこで、衆議院議員の本村伸子議員が、いくつかの質問を出入国在留管理庁にして下さいました。ご了解を頂きましたので、以下、その質問と回答を貼り付け、コメントします。
ウクライナ「避難民」に関する法務省の回答
「準難民」と言われているのが昨年の法案の「補完的保護対象者」であることがはっきりしました。これまで、「もし同じなら」という前提で議論していましたが、これでそういう断りは不要になりました。
「補完的保護対象者」になれば現在より保護の範囲が広がる、という触れ込みですが、実際にはどれだけ保護できる人が増えるのか試算しておらず、予定もないとのこと。昨年も同じ質問をしましたが、試算していません。
国の政策なのですから、新しい制度作ってどの程度の効果があるかを予測し、それに応じて予算や人員配置を考えるのは当然です。それなのに「補完的保護対象者」がどの程度になるのか、今より人数が増えるのかどうかすら何も試算していないというのは、やる気がないことの顕著な表れだと思います。
もっと保護できる、というのがなんら裏付けがないことが明らかになりました。
なお、全国難民弁護団連絡会議では、2017年から2018年までに現行法の「人道配慮による在留特別許可」を受けたとして出入国在留管理庁が公表している18事例のうち、もし「補完的保護対象者」という制度だった場合、どれくらい認定されるか試算したところ、なんと、13件は認定されないだろうという驚くべき分析結果が出ています。
現在の法律でも、「定住者」「特定活動」は国会による法律改正ではなく、「告示」というもので様々な類型の在留が認められています。中には、質問6にあるように、3000万円以上の預貯金がある人の保養・観光とか、オリンピック関連とか。
ウクライナからの庇護希望者を迅速に受け入れようと思うのなら、告示を作れば良いだけです。
それなのに、去年廃案になった入管法を「補完的保護対象者」だけではなく、一体として提出した法改正まで必要というのは、「補完的保護対象者」の導入に目的があるのではなく、どさくさに紛れて昨年廃案になった入管法を通したいから、本当の目的は送還停止効の制限など、規制強化を狙っているからであえることは、明らかです。
見え見えな火事場泥棒根性です。
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