【再掲】大村入国管理局飢餓死事件 戦前の治安維持法による予防拘禁よりひどい
以下は2019年10月15日と10月22日に掲載したものを、誤字等修正し、まとめて転載します。
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2019年6月24日に大村入国管理局で亡くなったナイジェリア人男性の件、調査報告書が10月1日に公表されました。
死因は、「飢餓死」。
目を疑います。21世紀、日本で、国の施設内にいたというのに、「飢餓死」。
さらに目を疑ったのが、報告書の概要に書いてあった一文です。
「本人の前科内容等に鑑みれば、仮放免を行うべきであったということはできない。」
これは以下の入管局長による仮放免指示に照らした記述ですので、まず、そのことに触れます。
2018年2月28日仮放免指示
2018年2月28日に出された、法務省入管局長による「被退去強制令書発付者に対する仮放免措置に係る適切な運用と動静監視強化の更なる徹底について」という指示では、「仮放免を許可することが適当とは認められない者」を列挙し、特にⅰからⅳに該当する者については、「重度の傷病等、よほどの事情がない限り、収容を継続する。」としています。
ⅰ 殺人、強盗、人身取引加害、わいせつ、薬物事犯等、社会に不安を与えるような反社会的で重大な罪により罰せられた者
ⅱ 犯罪の常習性が認められる者や再犯のおそれが払拭できない者
ⅲ 社会生活適応困難者(DV加害者や社会規範を守れずトラブルが見込まれる者など)
ⅳ 出入国管理の根幹を揺るがす偽装滞在・不法入国等の関与者で悪質と認められる者
一見すると、こういう人たちを隔離して何が悪いのか、というご意見もあるかもしれませんが、入国管理局による収容は、あくまで強制送還の準備のためのものです。危険人物を隔離するためのものではありません。ですが、この仮放免指示では、堂々と、入管収容を目的外で利用することを宣言しているのです。
戦前の治安維持法による予防拘禁
このような、具体的な犯罪行為をしていないのに、危険性があるというだけで身体拘束するのを「保安処分」といいます。そして、有名なのは戦前の治安維持法による予防拘禁です。
ですが、治安維持法による予防拘禁は
・再犯のおそれが顕著な場合に(治安維持法39条)
・裁判所の命令による(治安維持法39条)
・2年の期限があり、更新も裁判所の許可必要(治安維持法55条)
・上記は全て法律で定められていて、入管局長の指示のような内部文書を根拠にするのではない
という点で、今の入国管理局収容の方がよっぽど酷いですね。
治安維持法の条文は、以下を参照させていただきました。
https://hc6.seikyou.ne.jp/home/okisennokioku-bunkan/okinawasendetakan/tianijiho.htm
治安維持法下、2年を超える予防拘禁は4件だけ 入管収容はその60倍
福島みずほ議員が入管から提供を受けた資料によれば、2019年6月末現在、2年を超える外国人の被収容者は251人です。
他方、治安維持法による予防拘禁は原則2年で裁判所の決定で更新きますが、4年間で更新許可されたのは4件に過ぎません(以下の表参照。元データは荻野富士夫編「治安維持法資料集 第4巻」340頁 新日本出版社 1966年)。
悪名高き治安維持法による予防拘禁の60倍以上の人たちが、入管収容によって2年以上の長期収容をされていることがわかります。
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