再犯のおそれを理由とする仮放免不許可は、明白に自由権規約9条1項が禁止する恣意的拘禁である。
先に、現在の仮放免運用方針は、「再犯のおそれを払拭できない」場合に原則不許可としている点や司法審査がないこと、上限がないこと、その件数から戦前の治安維持法による予防拘禁よりひどい、という記事を書きました。
つい最近、恣意的拘禁を禁止する自由権規約9条1項の解釈指針となる規約人権委員会の一般的意見35を読んでいたら、以下のパラグラフ「15」がありました。これに照らせば、仮放免指示で再犯のおそれが払拭できない程度の人を仮放免許可せず、拘禁し続けるのは恣意的拘禁ということになります。
若干要約して箇条書きにすると
①保安を理由とする拘禁は恣意的な自由の剥奪の重大な危険となる。
②脅威に対する他の効果的な措置が利用可能なら恣意的拘禁となる。
③脅威を与えていること及び代替措置では対処できないことの立証責任は国側にある。
④拘禁が長引くにつれその立証責任は増す。
⑤拘禁が絶対的に必要な期間以上は続かないこと、全体の期間が制限されていること、その他9条の保障を完全に遵守する必要がある。
⑥裁判所やそれと同様の独立性のある機関による定期的な審査が必要
⑦独立した弁護士によるアドバイスを受けられること
⑧最低でも決定の根拠となる証拠の最重要部分が拘禁されている者に開示されること
で、⑦以外は全部ダメじゃないですか!!!
⑦弁護士のアドバイスも、刑事事件の国選弁護人のような、捕まった人に必ず弁護士が助言できる制度があるわけではなく、たまたまアクセスできた人だけが助言を受けられるだけで、全くもって不十分です。
15. 締約国が,刑事訴追上の起訴を意図することなく安全上の抑留(行政上の抑留又は強制収容として知られることもある)を課す限り,委員会は,当該抑留が恣意的な自由の剥奪の重大な危険を生じさせるものだと考える。安全上の抑留は,刑事司法制度を含む脅威に対処する他の効果的な措置が利用可能であろう場合には,通常,恣意的な抑留に該当するであろう。最も例外的な状況下で,現在の直接的かつ緊急の脅威が,その脅威を生じさせたと考えられる者の抑留を正当化する程度 に生じた場合,その者が当該脅威を与えていること及び代替措置では対処できないこ とを示す立証責任は,締約国側にあり,かつ,抑留が長くなるにつれて締約国側の立 証責任もその分増す。締約国はまた,抑留が絶対的に必要な期間以上は続かないこと, 可能性のある抑留の全体の期間が制限されていること及び締約国がすべての事案に おいて第 9 条に規定されている保障を完全に遵守することを示す必要がある。裁判所又は司法府と同様の独立性及び公平性の特性を備えるその他の裁定機関による 速やかかつ定期的な審査は,これらの条件を満たすために必要な保障である。また,独立した法的助言を受けられること(被抑留者によって選任されることが望ましい) 及び最低でも決定の根拠となる証拠の最重要部分が被抑留者に開示されることも必要な保障である。
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