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やっぱり在留特別許可するかどうか決めているのは法務大臣や地方出入国在留管理局長ではないことを入管の資料自体が認めていた。

期間の終期は特別審理官の判定時


在留特別許可の裁判での準備書面を書いていて、私の依頼者たちよりも婚姻期間短いのに在留特別許可出ている、おかしい、不平等だということを書こうとして、入管の公表事例を見ていたら、ここに書いてある婚姻期間などの終期が特別審理官の判定までとなっているのに気づきました。

「1」にこう書いてあります。

(注3)次の2の「在日期間」、「違反期間」及び「婚姻期間」は、特別審理官による判定までの期間です。

最終判断は法務大臣または地方出入国在留管理局長



でも、2024年6月10日施行前の在留特別許可手続きは、下図のとおりです。

特別審理官の判定の後に、法務大臣もしくはその権限委任を受けた地方出入国在留管理局長が在留特別許可をするかどうか判断するのですから、期間を考慮するのであれば、その最終判断時を終期としてカウントすべきです。

実際に決めているのは法務大臣等ではなくて特別審理官

それなのに、特別審理官の判定時を終期としているのは、実質的に最終判断をするのは特別審理官だからなのでしょうか。
ですが、国は在留特別許可の裁判で、決まって以下のようなフレーズを展開し、法務大臣の裁量は極めて広範であるという主張をしてきます。


先だって衆議院選挙で落選した方に限らず、法務大臣となった方が、「国内の治安や善良な風俗の維持、保健衛生の確保、労働市場の安定等の政治、経済、社会等の諸事情、当該外国人の本国との外交関係、我が国の外交政策、国際情勢等の諸般の事情及び前記各事情が将来変化する可能性なども含めて総合的に考慮」できる資質があるとはおよそ信じられないですよね。

従来から、こんな主張はフィクションだと反論していましたが、入管の公表資料から、実際に在留特別許可の判断を決めているのは、法務大臣や地方出入国在留管理局長ではなくて特別審理官であることがわかりました。

期間の終期を特別審理官の判定においている以上、在留特別許可の実質的な最終判断をしている特別審理官。なので、法務大臣ではないのだから、国がここで言うような広範な裁量を認める根拠はなく、そんな理屈は通用しないといえます。

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