第1章 高一の冬 1 女子と私 「コレ虐待じゃね?」 そうぼやいたのは、近くに居て毎日顔も見るけど、別に親しくない人だった。 私は彼女の数歩先をゆっくりと走っている。彼女の声は背中越しだったり向かい風だったりで、あえぐ呼吸の中で小さく音を放っていた。 「ササオカのヤツ、マジありえないんだけど」 彼女の隣で並ぶように走っている女子が答える。濃いぐらいに焼いた肌が暑苦しい。黄色がかったパサパサの金髪が鬱陶しい。下品なメイクに吐き気を覚える。 対するもう一人は肌の色こそ白
オンラインゲーム、やってますか? 私はドラクエ10やFF14を始めとした、様々なオンラインゲームをやってきました。 「頭が悪くなるなぁ」とか、「想像力が低下したなぁ」とか思うことがありながらも、辞められず新しいゲームを始めたりしてしまいます。 今回は、オンラインゲームが与える影響について考えてみます。 ◆オンラインゲームで頭が悪くなる理由3つのポイント ・同じ作業の繰り返し ・基本的に終わりはなく、頭は常に『次の一歩』を考えている ・ハマるとそれ以外のことが手につかなく
2000年ぐらいから「死にたいな」と思い始めてからはや20年。 まだ生きてます、私は。 今では、「死にたい」というよりも「ラクになりたい」と思うようになってきました。 これって、ある種タチ悪くって、「生きてても死んでもいいからラクになりたい」って感じなんですよね。 別に生きることへ諦めがあるわけじゃなくって、だけど希望があるわけじゃなくって、生きたいのに生きられなかった人もいて、そういう人の気持ちや、周りの人の気持ちもわかるけど、どうしても自分は元気がなくって、でも
我輩は猫かもしれない。 家には現在、四匹の猫たちがいる。みんな我輩の家族である。 というか、最初に言っておこう。これはフィクションである。もしかして実話では? と思えるほど各所が地味な話ではあるが、断言しておく。 これはフィクションである。 もちろん、ちょっとした仕掛けも用意しているが、フィクションなのだから当然だ。基本的には、実話では? と思わせるほど地味で現実的でつまらない話である。あまり過度な期待はしないで頂きたい。その辺を信じようと信じまいと一向に構わないの
私には憧れの先輩がいました。 それは高校1年の5月頃の話です。まだ校内に不慣れだった私は、実習室からの帰り道がわからなくなって、廊下でウロウロしていました。 そのとき、「どうしたの?」と声をかけてくれたのが、3年のM先輩だったのです。 3年は本来、新1年生からすると恐怖の対象でしかありません。しかし、先輩はまた違っていて、どちらかと言うと先生に近い、妙な安心感がある大人に見えました。 私はあまり異性慣れしていません。ほとんど接することがない3年ということもあって、会話
その日、私は入学する高校の、教科書や道具を買いに行く日でした。 あいにくの天気で傘を差していましたが、ずっと降っているかというとそうでもなく、降ったり止んだりするうっとうしい天気でした。 学校へは電車に乗って3駅ほどしてからバスに乗り換え、6つめの停留所で降りて10分歩くという道のりです。バスの中は混んでいて、閉じた傘が他の人に当たらないように注意していました。 バスには私と同じように学校へ行く人が乗っていましたが、みんな制服が違うので、ちょっと「ヘンな感じ」と思いまし
私の家の隣には、家族ぐるみの付き合いをしている家族が住んでいました。ひょうきんなおじさんと優しいおばさん、そして私より2つ下の男の子A君が住んでいるお家です。 A君はどちらかというと物静かで、可愛らしいタイプの子でした。同じように内向的な私と気が合うのか、一緒にいることが多かったのです。 私はA君を弟のように扱っていました。小さな子供の話ですから、たまに意地悪をすることもあります。するとA君も男の子なので、すぐに仕返ししてくるというカンケイでした。 しかし子供の頃の2つ
私には幼稚園の頃から幼なじみの男の子がいました。私の住んでいた地域には同世代の女の子がすくなく、同じ学年となると彼と私のふたりだけしかいなかったのです。そんな理由から、ふたりで遊ぶことが多くなりました。 私は喘息持ちだったので、あまり過激な運動はできませんでした。それを知っていた彼は、遊びの内容も私に合わせてくれていました。遊ぶときはもっぱら私の趣味が中心となり、ママゴトや人形遊びなどをして過ごしていました。 走り回る遊びは避けてくれているようでしたし、ちょっとした移動で
彼はウチの会社に訪れる営業の人でした。私より七つ年上で、真面目で清潔さがある人です。すこし優しくて思いやりに溢れ、知性を感じるところにも惹かれていました。 キッカケは、応接室で何度か応対している間にイイカンジになって、お互いの連絡先を交換してデートをする、という普通の流れです。会社に知られると仕事に悪い影響があるかもしれないので、お忍び恋愛でした。 自分の会社に対して、後ろめたい気持ちは多少ありました。しかし、それが恋心に火をつけているようで、いま思い返しても熱心な恋愛を