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【開催報告】テクノロジーが全てを解決するのか(ドローンファンド共同創業者大前創希氏講演会③)

テクノロジー先行に対する懸念


鈴木 僕はテクノロジーが好きで、どんどん進んでいってもらったらいいなと思っています。吉備高原でイノベーションが進むことに対して、どうしてもテクノロジーが先行していくことを懸念している。こういう技術があるからそこからスタートしてしまうということでなく、社会にニーズがあって、それを解決しようとし、"結果として" 技術があるという形が良いと思っているのですが、それについていかがでしょうか

小林 私は、金融業の観点からすると、社会実装の検討と同時にマネタイズ(収益化)させる方策の検討は不可欠です。そのために、まずは実証実験としてPOC(Proof of Concept)の試行錯誤を繰り返すわけです。ドローンの場合、道路が必要ないとかインフラ投資の必要はないという利点が確かにあるわけですが、投資回収を短期化させるビジネスモデルの方向性はどのようなものか、その点をお聞きしたい。

大前 少し質問が積み重なってきていますが、やっぱりテクノロジーファーストの課題感が確かにあるのかなと思っています。が、テクノロジーというものは二分していて、残念ながら理解を示していただける方と理解を示していただけない方がいる。理解を示していただける方はこんな社会になれば素晴らしいとなるし、理解を示していただけない方からすると自分の生活が脅かされ怖いとなってしまう。どちらかというと、私たちは先ず理解を示していただける方に情報を提供し、理解を示していただけない方が怖くない社会に向かって解決するよう努力をしていくことかなと思う。


大前 私はマーケティングについて教えているが、イノベーションがおきるときというのは、イノベーターが来て、だんだん市場ができてきていくが、最後の30%は、どうしてもテクノロジーを使わない人が出てくる。そう考えると、全員に理解を示してもらい使ってもらうのは難しい話だということになります。なので、先ずは自分の生活や人生を変えるかもしれないとワクワクを感じる人を増やしていくことが重要。特に若い世代は、新しいテクノロジーへの抵抗が少ないので、ドローンを使って描く未来にワクワク感を持ってもらえるようにすることが大切だと思います。

杉山 テクノロジーを社会に押し付けるのは傲慢だと思います。ソニーはかつて、技術の優位性に囚われてVHSはだめでベータが良いと傲慢にマーケティングを展開したら負けた。私は、色んな会社に自由に競わせるべきだと思います。選ぶのは我々消費者で、我々がやらなければならないのは、その自由な競争を妨げないことです。企業には一生懸命自由に競争していただいて、我々が選ぶ。結果、ソニーのような大会社であろうとダメなものはダメで、それで良いのではないかと思います。

大前 私は投資家なので、出資をして会社をお手伝いしていくわけですが、一つはベンチャーやスタートアップがどのような資金提供を得て上場するところまで行けるかということになると、試金石になっているのがドローンは飛ぶところまで行ったけれど、これを量産するには大量の資金が必要になるわけで、これを拡散させていく力が必要になってくる。日本でも量産できているチームはゼロなので、先ずは優れた技術を実装することを現場でやっていき、二百台、千台からやっていきながらそれをもっと使っていき、何百万台というドローンが日本の空で飛ぶという前の段階で上場する機会が得られれば良いし、それで拡大していくという方向性を目指していくという形で、先ずは千台くらいが見えてくることがタイミングではないかと思う。しかし、そこに向けて足りないものがドローンには沢山ある。例えばモーターは中国製であったりするので、日本の国内で安く作れる状況を作っていかないと、国際的にも国内においても良い市場は作れない。こういうところにも皆様の協力を頂かなければならないと思っています。

coindesk Japanより https://www.coindeskjapan.com/17245/

テクノロジーが全てを解決するのか

鈴木 私は、イノベーションヒルズという会社でイノベーションを起こすことが目指しているが、ある種「矛盾」のようなものを感じ、自問自答していることがあります。それは、テクノロジーがすべてを解決するのかどうかということ。例えば石器時代のような暮らしをしていて、それが豊かな暮らしだった場合、そこにテクノロジーはいるのか。つまり、技術的なイノベーションを起こすことが地域のために本当になるのかどうかというのが非常に難しいと感じているのですが、そのあたりはどうなのでしょうか。

杉山 それは「幸せ」とは何かを明確にすることで全てがクリアになるのではないでしょうか。求められている「幸せ」の形がある。結果として消費者にとっての「幸せ」をもたらすことができるかが重要です。マーケティングの古典になりますが、ハーバード大学にセオドア・レビットという教授がいました。彼は「近視眼的マーケティング」ということについて警鐘を鳴らした人です。例えば、板に穴をあけたい人がいて、電気ドリルを買いました。その人がほしいのは電気ドリルなのか?そうではなく、「穴」ですよね。だから、電気ドリルに代わるもっと安く便利な新しい手段が出てくれば電気ドリルはなくなってしまうことも考えられます。これは、“吉備中央町から岡山空港まで行きたい”となった時に、何を選ぶのか。車を使うのか、歩くのか、籠を使うのか、走るのか、、、色々なオプションがあり、その中で1番良いとされるものが選ばれる。それが、ドローンになる時代がやってくるのかもしれない。だから、ちょっと聞こえが悪いかもしれないが、イノベーターは徹底的に試行錯誤して良いものを安く提供して、消費者である私達はそれを選ぶ。それでいいのではないでしょうか。

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文責:米村


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