結城真一郎さんの『# 真相をお話しします』を読みました。
この本は、5編からなる短編小説で
すべてミステリー仕立てとなっています。
中でもとくに「あっ」と思ったのが
『惨者面談』です。(タイトルからしてすでに、オドロオドロしいです)
大手進学塾に勤める家庭教師 片桐が、新規顧客を獲得するために予約のあった矢野家に赴き、母親からなんとか契約をとろうと模索します。
ところがなんとなく片桐は、この母親、
そして矢野家全体に違和感をかんじていくのです。
母親が ずっと手に着けているゴム手袋。
家にひとつもない、家族写真。
どこか怯えた様子の、息子。
これらの些細な面が ずしりと
片桐と私たち読者に重しとなって
かぶさってきます。
決定的にいたったオチが素晴らしかったです。
最初の伏線を ものの見事にからめとって
くれた感じでした。
短編なのですぐに読み切れますし
短編だからこそ、このオドロオドロしい感じが 後を引かずに楽しめるのではないかなと
思いました。
ミステリー好きには たまらない
五編でした。
ここまでお読みいただきまして ありがとうございました。