8年付き合って婚約破棄した話④愛しのバレリーナ
18から付き合い、26歳になって
別れたり戻ったりを繰り返しながら
最終的には結婚することを選んだ。
「ゼク◯イ買っていい!?」
彼の気が変わらないうちにと結婚情報雑誌を買って。
彼は式は挙げなくてもいいと言っていたけど
両親やまわりの人への感謝をあらわす大事な日だから絶対やりたい!と押し切った。
地元がお互いに隣の県なので、彼の地元で結婚式を挙げることに。
両家の顔合わせをして、親戚の家をまわって
休みの日はドレス選びでバタバタと過ぎていった。
なかなかプロポーズをしてくれないので
「夜景が見たい!ドライブいこ!」
と誘った。
どうしても、してほしかった。
趣味もやりたい仕事もなくて
結婚にしがみついてただけの
子どもみたいだったけど
あの頃の必死な気持ちを思い出すと
ちょっとだけ心がぎゅっとなる。
よくそこまで必死になれたものだ。
夜景の見える丘で受け取った
カルティエのバレリーナ。
人生で一番大きな決意をした日。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
世間知らずで
ろくに自分のことを知ろうともしなくて
結婚しか考えてなかった人間だけど
この時ばかりは、思い出すと
自分を抱きしめてあげたくなる
何度も売ろうと思ったけど
まだ指輪が手元に残っているのは
未練でも何でもなくて
あの時の自分の全てが詰まっているから
つづく。