2018年秋アニメの中で劇伴が印象に残ったものをおすすめしていく。■SSSS.GRIDMAN■ゾンビランドサガ■RELEASE THE SPYCE
2018年10~12月の間に放送された、秋アニメの中で劇伴が印象に残ったものをおすすめしたい。
実はそれぞれ個別に書こうと思ったけど、まとまらなかったので、ここにまとめて書いておくことにした。
おすすめ度を☆で表現。
SSSS.GRIDMAN ☆☆☆☆☆
音楽:鷺巣詩郎
「無音の美学」「音楽はグリッドマンのためにある」
超人、グリッドマンと怪獣が戦うアニメ。
日常パートに全くといっていいほど音楽が入っていないのが特徴的。
逆に、グリッドマンと怪獣が出てくる非日常パートの音楽は派手で音量が大きい。
オンとオフ、そのコントラストがはっきりとしている。
日常パートはアニメ特有のハイテンションな演技ではなく、セリフ回しがナチュラルだったり、話し声のトーンも落ちついていて、つぶやくようなセリフも多い。
音楽がないおかげで、声のトーン、その反響や環境音の美しさ、カットの切り替えでそれらが移り変わるリズムも堪能できる。
また、怪獣が出てきても音楽がはじまらないことで、他人事のような、何が起こっているのか把握できていない感じになっている。
日常パートに音楽を入れないことで、キーワードの1つである「退屈」も表現している。
あまりにも音楽がなさすぎて、日常パートに音楽が入ってくる場面で違和感を感じることもある。
その日常パートの音楽はマリンバだけ、とかピアノだけ、とかシンプルなもの。合唱など、その場所で流れている”状況内音楽”を使っている場面も多い。
いっぽうで、非日常パートのほとんどの音楽はグリッドマンのためにある。
使われている曲のテーマを想像してみると
・グリッドマンになりそう
・グリッドマンが出てきた!
・グリッドマンが戦う!
・グリッドマンの戦いの流れ変わった!
・グリッドマンが苦戦している!
・グリッドマンが合体!
・グリッドマンが勝つ!
・その余韻
みたいな感じで、怪獣にすらあまり音楽がついてない。
怪獣についている音楽も、恐ろしい、こわいという「感情」よりも、でかいぞ、ズシーンっていう「質感」だったり。
曲調のメインは壮大なオーケストラで、ロックやエレクトロな楽曲で場面に変化をつけている。
おまけ。グリッドマン4話、14:24~の音楽がおもしろく、
今まで使われていた「グリッドマンになりそうな時のテーマ」に不安を煽るストリングスが重ねてあって、もともとマルチトラックで作られたものをパラで使った、というよりは、別のトラックを混ぜているような、インタラクティブミュージックに近い印象を受ける作り方になっている。
おまけ2。鷺巣さんへのインタビューで色々と言及されてました。
ゾンビランドサガ ☆☆☆☆☆
音楽:高梨康治、Funta7
「話や演出、映像との一体感」
演出との一体感がすばらしい。
ここでの音楽は劇伴というよりも挿入歌だけれど。
通常は後付けで音楽を考えるので、できた映像に張り付ける、という作り方になっているんだけれど、ゾンビランドサガは音楽から先に作って、それに映像や声を乗せている場面が多いので、話と演出と映像と音楽の一体感が強い。
その楽曲自体もそれぞれひとひねり加えていて、このアニメでしか生まれなかっただろうな、というものばかり。
さくらとサキ、2人の口論がラップバトルに発展する2話のシーンは無料公開されている。屈指の名シーン。
僕は1話冒頭、いきなりデスボイスではじまる演出で神アニメだと確信しました。
RELEASE THE SPYCE ☆☆☆★★
音楽:佐高陵平
Trapを劇伴に取り入れているのをはじめて聴いたので、新鮮だった。
他にも、オケとエレクトロを組み合わせたアプローチのメリハリがよい。
このアニメは「忍」が要素の1つだが、「和」の音が入っておらず、それがポップさ、モダンさに繋がっている。
ところどころサウンドの薄さを感じたものの、シンプルで効果的なアプローチが多かった。
おわりに
日常系をあまり見てなかったせいか、クリスマス回が出てこなかった印象。他のアニメはどうだったんだろう。
このシリーズ、続けられたら続けたい。