今あえてFilmで写真を撮る
こんにちは、神野拓海です。
先日、新しくカメラを購入しました。
"新しく"であり、"新しい"ではありません。
▼機材紹介
購入したのがこちら、CONTAX S2 (60years ver.)です。
このフィルムカメラの製造は1992年。そう、僕と同い年!
このカメラを選んだ一番の理由はそこにあります。
またもうひとつの理由としては、このカメラが京セラコンタックス唯一のフルメカニカルシャッターを採用していることです。
電子系のパーツが採用されているカメラは故障するとパーツの入手が困難であることを理由に修理不可な場合があるそうです。
このカメラは機械式なので、メンテナンスを繰り返せば永く使い続けることができます。
メーカーは往年のニコンやキャノンではなく、コンタックスを選びました。
その理由は、ぼくが愛してやまないCarl Zeissのオールドレンズを使うことができるからです。
このPlanar 1.4/50レンズは「通称・標準レンズの帝王」と呼ばれ、空気感を写すレンズとして今でも不動の人気を誇ります。
デジタルカメラにマウントアダプターを介してこのレンズを装着し撮影した作例をいくつかご紹介しましょう。
これまではミラーレスデジタル一眼カメラ SONY α7シリーズを初代からずっと使ってきました。
もちろん、これからも大事なお供です。
現在愛用しているα7Ⅲはオートフォーカス性能や高感度耐性等、革新的な性能を持つ優等生です。
Carl Zeissのレンズ・SEL55F18Zと組み合わせて撮影することが多く、抜群の描写力を誇ります。
まつ毛の一本一本まできっちり写し出します、それはもはや肉眼で見る以上の解像感です。
鮮明な写真こそいい写真であり、それを大きなモニターで等倍表示して眺めることが日々の楽しみでした。
▼フィルムとデジタルの違い
フィルムカメラは現代のデジタルカメラと比較すると、
*露出やピントはマニュアル操作が基本
*解像感が乏しい
*フィルムを交換しないとISO感度の変更ができない
*撮ったその場で写真が確認できない
*ランニングコストがかかる 等々…
つまり、圧倒的に不便です。
ではなぜあえて不便なフィルムカメラに手を出したのか。
▼フィルムカメラに手を出した理由
それは、写真一枚一枚に込める想いを強くしたかったからです。
露出を測り、マニュアルでシャッタースピードと絞りを設定し、マニュアルでピントを合わせ、シャッターを切ったあとは手動でシャッターを巻き直す・・・
不便であれば手間がかかります。でもその手間を愛したいのです。
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薔薇のためになくした時間が、
君の薔薇をそんなにも大事なものにしたんだ。
It's the time you spent on your rose that makes your rose so important.
(星の王子さま / サン=テグジュペリ)
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何かのために費やした時間や労力は、費やした分だけその何かを大切なものにします。
一つ一つの作業に手間と思いを込めて撮影したフィルム写真は、たとえピントが甘くても、たとえ解像度が低くても、それを見返したときにはその場の思い出が強く蘇るような写真になると思います。
自分にとっての『いい写真』とは何か?を考え直したときに、その本質に近づくのがフィルムカメラで撮影する写真だと思いました。
このContax S2はメンテナンスを繰り返しながら永く使い続けたいと思っています。
人生における大事なシーンをこのカメラのシャッターに刻み重ね、ゆくゆくは自分の子どもや孫までも引き継いでいく相棒になったらいいな。