義務教育では教えてくれない「見てて飽きない動画」を作る10個のTips
どうもです。
この記事は、ブログJelly! vol.99参加記事です。
さて、動画制作を生業にしているので、作る動画の質には定評があるのですが、時々「動画ってどうやって作ればいいのかわからない」と聞かれることがあります。
世間にはたくさんの一般の人がYouTubeやTikTokに動画をアップしています。それを見たらまあ「どうやって作ればいいのかわからない」より前に「何かカメラで録画して、アップしてみたら?」とお伝えしているのですが、それだと「間延びしてつまらない」とか「素人臭い」とかいうご意見も頂きます。
確かに、学校だと映像の専門学校にでも行かなければ「見やすい動画(映像)の作り方」なんて教えてもらえないですね。少なくとも義務教育でそういう授業はありませんでした。
そこで今日は、僕ら動画制作者がどういうことをに気をつけて動画を撮っているのかを少しお話してみたいと思います。
①伝えたいことと、誰に伝えるかを決める
どんな制作物でも同じですが、伝えたいこと、それを誰に伝えるかを考えます。いわゆるターゲット設定です。それによって動画の中で使う言葉遣いや画面のトーンなども変わってきます。
なので、最初に必ず「伝えたいこと」「誰に伝えるか」を、はっきりさせておきましょう。
②全体の構成は「結・起・承」
TikTokとか最たるものですが、ネットにアップする動画って、短めのものが好まれます。どういう内容をどれぐらいの尺で伝えるかにもよりますが、世間一般では、3〜4分程度の動画が好ましいのではないでしょうか。
これぐらいの尺だと、いわゆる「起承転結」で構成するにはいささか短すぎます。そこで「結・起・承」という考え方を導入します。
難しく考えることはありません。ローカルニュースの1コーナーは、すべてこの手法で作られています。
まず、先に結論から入ります。ローカルニュースなどでは「本日午後3時ごろ、〇〇市□□の路上で、70歳の女性が轢き逃げされるという事件がありました。轢き逃げした車は現在も逃走中です。」という出だしで始まります。これが結(結論)です。
結が「伝えたいこと」ですが、その後「起」と「承」において、より詳しく伝えたい事件の内容を掘り下げて伝えます。
みなさんが動画を作るときもこのテクニックは使えるので、ぜひ今後はローカルニュースを適宜チェックしてみてください。(ちなみに私は毎日昼と夜のローカルニュースを民放とNHKのを見ています。)
③引きの画から寄りの画につなぐ
これもローカルニュースというかテレビの技術ですが、複数の映像をつないで編集する時、冒頭は必ず引きの画から入りましょう。引きとは、カメラをズームアウトした状態(専門用語で言うところの、画角が広い)です。実際の視野よりも広く映るため、その場の状況と情報をたくさん映しこむことができます。
次に、寄りです。寄りはカメラをズームインした状態です。実際の視野よりも大きく映るため、迫力のある画や、伝えたいモノだけをカメラの映像に収めることができます。
寄りの方が迫力があったり印象的な構図を作れたりするので、思わず寄りから映像をスタートさせる人もいますが、これはNGです。いきなり情報量の少ない映像からスタートすると見ている人は混乱してしまいます。
最初は引きの情報量が多く、状況が分かりやすい映像からスタートして、徐々に寄りや印象的なカットを入れていくほうが望ましいです。
④1カットは最大5~7秒
カットというのは、アングルの変わらない一連の映像のことを言います。この1カットが長いと、動画を見ている人は間延びしてしまいます。要は飽きてしまうということですね。
では、1カットはどれぐらいの長さが適切なのかというと、最大で7秒程度です。ただ、最近の若い人はテンポの早い動画を好む傾向があるので、そういう場合は5秒ぐらいに設定することもあります。
ただし、インタビューなど、人がしゃべっている内容をどうしてもカットできない場合は、この限りではありません。
⑤画変わり(えがわり)を作る
画変わりとは、連続するカットがそれぞれ違う構図で撮られたものです。ど動画を見ている人は、同じ映像がずっと続いてしまうと、飽きてきます。そこで、同じ内容の映像が続かないよう、複数のパターンの映像を用意しておき、編集して使用します。
例えばインタビューの場合だと、カメラを2台回しておいて、1台は腰から上、1台はバストショットというように撮り分けるのも良いでしょう。
カメラが1台しか使えない場合でも、適宜映像の寄り引きを作っておいたり、アングルを変えたりすると、カット編集の時に画変わりするように見せることもできるのでオススメです。
⑥インサートを作る
インサートとは、音声はカメラで収録したものを使用しつつ、映像は別のカメラで撮ったものや、静止画・CGなどの映像を使用する手法のことを言います。
例えばAさんとBさんが対談している動画で、Aさんが喋っている時に、Bさんがその話の内容に聞き入る映像を被せるように使うことがあります。これがインサートです。
あるいは、どうしても画変わりを解消できない時に、インサートをうまく使う方法もあります。
静止画の写真やイラストを挿入する。解説の下りで、模式図を入れる。これらを駆使することで、画変わりさせるほど映像の素材がない時でも、画変わりさせることができるようになり、見ている人を飽きさせないようにすることができるようになるのです。
⑦静止画はパンやスローズームさせる
どうしても動画素材がない場合、静止画を使うことも動画制作ではあります。動画の素材が連続している中に静止画がポツーンと入ると違和感が出てきます。
そこで、静止画をただ表示させるだけではなくて、編集ソフト側でパン(平行移動)させてみたり、スローズームさせてみたりすると、擬似的な動画素材として見せることができます。
静止画を使うときはこういう一手間を加えることによって、見ている人の違和感を解消することができます。
⑧画と音を合わせる
これには2つの意味があります。
・ナレーション
・BGM
音の要素には主に、ナレーション、BGMなどがありますが、どちらにしても音が言っていることと、映像で表示させる内容は一致させなくてはなりません。
例えば、ナレーションや出演者の人が中華料理の話をしているのに、映像がフランス料理を映していたらおかしいですよね。
したがって、ナレーションやセリフの言っていることと、映像の内容はマッチしている必要があります。
次にBGMです。楽しい話をしている時は楽しい音楽を、怖い話をしている時は怖いBGMを、不思議な話をしている時は、不思議なBGMを挿入します。
BGMは動画を見ている人の感情のコントロールをしやすい要素です。逆に映像だけだと感情のコントロールは難しい。画から感情が伝えるのは実は大変なことです。そこで、映像にあったBGMをしっかり選曲することが重要です。
逆に、なんでもない映像に楽しいBGMを添えると楽しそうな映像に見えますし、なんでもない映像に怖いBGMを添えると、怖そうに見えてくるので面白いものです。
⑨絵コンテを描こう
さて、ここまで色々なTipsを取り上げてきましたが、これらを総合すると、結局は絵コンテを作ったほうがいいね、ということになります。
もちろん、絵コンテを描かなくてもこれらを実現できるのですが、個人的には絵コンテを描くほうが自分の頭の中も整理されていい感じです。
⑩絵コンテの描き方
まず、ナレーション原稿を書きます。書いてる途中や一旦書き終えた後に、自分で音読することが重要です。耳で聴いてわかりやすい日本語になっているかどうか確かめます。
次に、書いたナレーション原稿に、カット区切りを入れていきます。ナレーション原稿に、赤ペンなどで印を入れます。この印が入れば、映像としてのカットが切り替わるという意味です。
1カットが7秒に収まっているかどうかは、iPhoneなどに搭載のストップウォッチのラップタイム機能を使います。
まず、ストップウォッチをスタートさせます。そしてもう一度自分の書いたナレーション原稿を読み上げます。
読んでるうちに、カットの位置がくると思います。そうすると、ラップボタンを押します。カットの位置が来るたびに、ラップボタンを押すのです。
そうすることによって、カット間の秒数が大体わかります。
この秒数を見て、7秒より長ければカットを分割するか、ナレーション文言を再検討します。
こうすることによって、ナレーションがカットごとに分割されました。
あとはWordやExcelを使って、表組みを作り、1マスごとにカットとナレーション原稿を流し込みます。普通は左に絵コンテ、右にナレーション原稿が来るように配置します。(ちなみに、私はWord派です)
絵コンテの部分はまだ空いている状態ですので、ここに手描きイラストで書き込んでいきます。ナレーションの喋っている内容に合わせた映像を、絵コンテ側に描いていくのです。インサートで模式図を入れたい場合も、ここで書いておきます。
まとめ:あとは撮影編集するだけ! 最初の仕込みが大切です
上記テクニックを使って作った動画を参考までに貼っておきます。
こちらの動画は、ナレーションではなく、出演者の方のセリフから書いていきました。2人の掛け合いということは最初から決まっていたため、聞き手と答え手に分けてセリフを書きました(当て書きというやつですね)
これによって、どういう映像を撮る必要があるのか、その映像に出演する人、人数、小道具の数などがはっきりしてくるため、現場での撮り漏れやミスといったことは最小限に抑えられます。
もっとも、撮影現場では予期しないことが起きるので、あまり絵コンテ通りに進行させすぎるのも問題ですが、とはいえ何も道筋がないまま適当にカメラを回してしまうと後から撮り漏れに気づいてしまうこともあります。
(ちなみにこの動画では他に4本、計5本の動画を撮影しており、絵コンテの撮影計画に沿って撮影しました。撮り漏れはありませんでした。)
ここで紹介したテクニックは、あくまでローカルニュース的な「伝えたい情報を伝える」的な動画で通用するテクニックです。世の中には様々な映像のジャンルがあるので、必ずしもこの通りに制作しなければならないわけではありません。
昨今はネット回線の高速化や、スマホカメラの高度化によって、動画コンテンツが誰でも簡単に作って見せることができるようになりました。
あとは義務教育では習わない動画制作のノウハウを少しだけ抑えることによって、誰でも見やすい、人に伝えやすい動画が作れる時代になってると思います。
ここで紹介したテクニックを使って、ぜひあなたも伝えたいことを動画で伝えてみてはどうでしょうか。
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