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シャトレーゼ ラングドシャアソートメント/ラング・ド・シャ ミュージアム
シャトレーゼ ラングドシャアソートメント 24個入
収集年:2024
購入場所:関越自動車道
形:角型+ロール型
内容量:24個
価格:1,836円(購入当時)
製造地:
販売者:株式会社シャトレーゼ
特徴:このアソートメントは、3種のラングドシャサンドとラングドシャロールを一堂に収めた一品。バター生地の繊細な層に、ホワイト、ミルク、抹茶の3種のチョコレートが挟まれたラングドショコラサンドは、それぞれ異なる風味が楽しめる構成となっている。ラングドシャロールは、サクサクとした食感のラングドシャが上品な甘さのチョコレートと調和し、芳醇なバターの香りを伴う仕上がりである。どちらも素材の特性を最大限に引き出した、贈答にも最適な一品である。
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箱庭の神隠し
第1章: 「霧の向こう」
沙織はふと立ち寄ったシャトレーゼの店舗で、贈り物用にと「ラングドシャアソートメント24個入」を購入した。彩り豊かな箱に収められた焼菓子は、きっちりと整然と並び、どこか懐かしい雰囲気を漂わせていた。子供の頃、母が買ってくれたお菓子を思い出しながら、沙織は包装をそっと撫でた。
その帰り道、車を運転していた沙織は、不意に濃い霧に包まれた。辺りの景色が見えなくなり、次第に道そのものも曖昧になる。頼りない街灯の光を目印に車を進めるうち、いつしか舗装された道を外れ、細い山道に迷い込んでいた。ナビにも表示されないその道を進むと、目の前に古びた木製の看板が現れる。
「箱庭村 – ここより二里」
それは、聞いたこともない地名だった。不安と好奇心が入り混じった沙織は、看板の指し示す方向に車を進めることにした。濃い霧の中、次第に山々が影を潜め、小さな平野が広がっていく。そこには、時代錯誤とも言える古風な日本家屋が並び、まるで昔話の中に迷い込んだかのようだった。
村の入り口で車を停めると、一人の老婆がゆっくりと沙織のもとへ歩み寄ってきた。
「おや、珍しい客人だねぇ。この村には滅多に人は来ないんだが。」
そう言って老婆は沙織を村の中へと案内した。村には古い神社があり、その中央には巨大な杉の木が立っていた。木の根元には小さな祠があり、村人たちが一心不乱に手を合わせているのが見えた。
「この村を守る神様だよ。昔からこの祠を守ることで、私たちはここで平穏に暮らしているんだ。」
老婆の説明に耳を傾けながら、沙織は村人たちの穏やかな表情を眺めた。その場の空気に吸い込まれるように、彼女も手を合わせてみた。目を閉じた瞬間、何か得体の知れない感覚が全身を包み込んだ。
「…あなたは、何を求めに来たのですか?」
耳元で囁くような声が聞こえた。振り返るが、誰もいない。驚きつつも、不思議と恐怖心は湧いてこなかった。沙織は静かに目を開け、祠の奥にある古びた石畳を進むことにした。
第2章: 「失われた時間」
村の奥には、廃墟となった一軒の屋敷があった。その庭先で、一人の青年が竹箒を手に掃除をしていた。沙織が近づくと、彼は顔を上げ、静かに微笑んだ。
「ここは、時が止まった場所なんです。」
青年はそう語り始めた。かつてこの村は山の神の恩恵を受け、豊かな暮らしを営んでいた。しかしある時、外の世界と接触したことで神の怒りを買い、村ごと時の流れから切り離されてしまったという。沙織が聞いたことのない「箱庭村」という地名は、そうして現実の地図から消えたのだ。
青年の話に耳を傾けるうち、沙織の胸に奇妙な懐かしさが湧き上がる。この村と何の縁もないはずなのに、まるで帰るべき場所に戻ってきたかのような感覚だった。
その時、沙織のバッグに入っていた「ラングドシャアソートメント24個入」の箱がふと目に留まった。
「これ、よかったらどうぞ。贈り物用に買ったんですけど…」
沙織が青年に箱を手渡すと、彼は一瞬目を丸くした後、静かに受け取った。そして開けた箱をじっと見つめる。
「…ありがとうございます。この村では、こんな美しいお菓子を見たことがありません。」
青年の言葉に、沙織は少し安堵した。しかし同時に、村全体を包む不思議な時間の流れが、さらに彼女をその場に引き留めるかのように感じられた。
第3章: 「別れの朝」
夜が明けると、霧が晴れ、村全体が黄金色の光に包まれた。沙織は青年や村人たちに別れを告げ、元来た道を戻る決意をした。車に乗り込む前、青年が小さな包みを手渡してきた。それは、昨晩渡したラングドシャアソートメントの一部だった。
「この村に訪れた証として、どうか持っていてください。」
沙織は微笑みながら受け取り、車を発進させた。道を抜けると再び現実の風景が広がり、箱庭村はまるで霧の中に溶けてしまったかのように姿を消していた。
家に戻り、小さな包みを開けると、そこには一枚のラングドシャが入っていた。その味は、どこか懐かしく、そして不思議な感覚を残した。
沙織は微笑みながら思った。あの村が夢だったのか、それとも現実だったのか。その答えは、もう知る術がなかった。
第4章: 「消えない記憶」
数日後、沙織は仕事の合間に書店を訪れた。ふと目に留まった棚には、日本各地の伝説や不思議な話を集めた本が並んでいた。その中の一冊に「箱庭村」と書かれた章を見つける。
「箱庭村…?」
ページをめくると、そこには沙織が訪れた村の情景が描かれていた。古い神社や巨大な杉の木、そして時が止まったという伝説の村。その記述に目を通すうち、沙織はある一節で手を止めた。
「この村に訪れた者は、何かしらの贈り物を残し、そして何かを持ち帰るという。それは、村の神から与えられる祝福であり、同時に別れの印でもある。」
沙織の胸に、一抹の寂しさが広がった。彼女の手元に残った一枚のラングドシャ。それは村からの贈り物であり、あの奇妙な出来事が現実だった証でもあるように思えた。
沙織は静かに微笑み、本を閉じた。その瞬間、甘くほろ苦い記憶が心の中に広がり、彼女はそっとラングドシャを口に運んだ。
第5章: 「新たな訪問者」
それからしばらくして、沙織のもとに一通の手紙が届いた。差出人の名前は記されていないが、封筒には山の風景が描かれ、紙には香ばしい木の香りが染み付いていた。中には簡単な一文が書かれていた。
「再び訪れる時、忘れ物を返しに来てください。」
その文面に、沙織の心は大きく揺れた。忘れ物とは何を指しているのだろうか?箱庭村の体験が夢か現実かもわからない中で、この手紙が意味するところを知りたい気持ちが沙織を駆り立てた。
彼女は意を決して、再び関越自動車道を走り始める。次第に記憶にある霧が立ち込め、あの看板が現れる。「箱庭村 – ここより二里」。再びその道を進むと、景色が緩やかに変わり、かつての村の風景が目の前に広がった。
村の入り口で待っていたのは、前回出会った青年だった。沙織を見るなり、彼は穏やかに微笑み、こう言った。
「お待ちしていました。忘れ物を取りにいらしたのですね。」
青年に導かれるまま、沙織は村の中心にある神社へと向かう。祠の前に立つと、胸の中にあの日と同じ感覚が蘇る。霧が濃くなり、再び囁き声が耳元に届く。
「あなたが持ち帰ったもの、そして私たちが預かったもの。」
その言葉と共に、沙織の目の前に光る玉のような物体が現れた。それは彼女の幼い頃の記憶が詰まった欠片のようだった。村の神が沙織の心に残る大切なものを守り続けていたのだ。
「これは、あなたにとって必要なものです。そして、この村にとっても。」
沙織は玉をそっと手に取ると、胸の中に温かい感情が広がるのを感じた。
第6章: 「忘れ物の意味」
玉を手に取った瞬間、沙織の脳裏に幼少期の記憶が鮮明に蘇った。祖母の家の縁側で遊んでいた日のこと、夏の夕暮れ、祖母が語ってくれた昔話。それは、神様に祈りを捧げることで、村を守り続けるという箱庭村の伝承そのものだった。
「おばあちゃん…私、忘れていたんだね。」
玉の中に映し出されたのは、祖母が大切にしていた古びた絵巻物だった。沙織はその意味を悟った。箱庭村が持つ役割、それは伝承の記憶を託された者が次の世代に繋ぐこと。彼女が戻ってきたのは、自分の中に眠る記憶を蘇らせ、伝え残す使命を果たすためだった。
「ありがとう、沙織さん。」
青年の言葉とともに、村の景色が再び霧に包まれ始めた。玉を握りしめた沙織は、感謝の言葉を胸に刻み、村を後にした。
車に乗り込み振り返ると、箱庭村はもう見えなかった。ただ、彼女の胸には確かに温かな何かが残されていた。
第7章: 「新たな道」
玉を握りしめながら家へと帰った沙織は、それを大切に飾った。祖母との記憶が詰まったその輝きは、心に灯りをともしてくれるようだった。しかし、それから数日が過ぎると、沙織の中に新たな感情が芽生え始めた。
「この玉に込められたものを、どうしたら次の誰かに伝えられるのだろうか。」
祖母が残した物語を自分が継ぎ、さらに誰かに繋げるべきだという使命感が湧いてきた。それは、ただ記憶を抱えているだけでは果たせないことだった。沙織は思い立ち、再び箱庭村のことを調べ始めた。古い伝承を集めた文献を紐解き、少しずつ物語を形にしていった。
やがて彼女は、それを絵本の形にまとめようと決めた。祖母から受け継いだ箱庭村の話をベースに、玉の物語や村の神様のことを子供にも伝わる優しい言葉で綴る作業は、沙織にとってかけがえのない時間となった。
第8章: 「記憶を紡ぐ」
完成した絵本は、小さな出版社から刊行されることとなった。表紙には祖母が語ってくれた杉の木の絵が描かれ、その脇にひっそりと祠が立っている。題名は「霧の中の箱庭」。沙織が心を込めて紡いだ物語は、徐々に読者の間で静かに広がっていった。
ある日、本の感想を伝える手紙が届いた。それは、山村に住む一人の少女からのものだった。彼女は手紙の中で、沙織の本を読み、自分の村にも似たような祠があることを初めて知ったと綴っていた。
「この祠には、私たちの村を守る神様がいるそうです。本を読んで初めて、その存在に気づきました。沙織さんが教えてくれたお話のおかげです。」
手紙を読みながら、沙織はそっと微笑んだ。箱庭村の記憶がまた一つ、新しい場所で息づいている。それを知ることで、彼女の心はさらに満たされていった。
第9章: 「終わらない物語」
その後も、沙織は絵本の執筆を続けた。箱庭村から持ち帰った玉は、彼女の心の中で生きる物語の源泉となった。それは、祖母から受け取ったものでもあり、箱庭村の神様が彼女に託した使命でもあると信じていた。
月日が流れ、沙織が執筆活動を通じて伝えた物語は、多くの人々の記憶に残るものとなった。彼女がふと振り返るとき、そこには箱庭村の霧が広がり、優しい風が彼女を包むように吹いている気がした。
「ありがとう、箱庭村。」
沙織の言葉は、どこか遠い村の祠に静かに届き、霧の中に溶けていった。\n\n箱庭村の物語は、決して終わることなく、誰かの心の中で新たな形を紡いでいく。それは、霧の向こうにある世界が現実でも夢でも関係のない、不思議な力を持つ永遠の物語だった。