世界が泣いてる 〜吉田豪ロングインタビュー〜②

――小日向さんはちゃんと心に訴えかけるようなことを歌える人だから、おもしろ要素はもう消してもいいんじゃないかとか前にも言ったと思うんですけど、ホントにそうなった感じですよね。

小日向 でも、最近このアルバムの曲のみでセトリ組んでライブしてるんですよ。「7月27日発売になるアルバムの宣伝をしていきたいからそこから全部歌います」って言ってやってるんだけど、なんせMCがヘタすぎて世界が全部壊れる(笑)。
――それでいいんですよ。人としてはポンコツで明るい感じが受け入れられてるから、そこは嘘つく必要ないんですよ。しゃべってる感じのおもしろさと、内に秘めた暗い部分が反映された歌はどっちもあっていいし、なんの問題もないです。
小日向 大丈夫ですか? じゃあ今回、歌で出せましたね。
――かなり暗いアルバムになってましたよ。
小日向 小日向由衣史上もっとも暗いアルバムと言っても過言ではないアルバムになったんですけど。このアルバムはいろんな要素が重なってて。『グノーシア』っていうゲームの効果音を聞いたときに、こういう効果音で曲を作りたいと思ったのもきっかけのひとつだし。
――実際どういう音なんですか?
小日向 グワワワワーッてヤツです。
――サッパリわからないです!
小日向 BGMでファーファーファーファーみたいな感じの曲が流れてて、こういうファーっていうヤツで曲を作りたいなと思って。
――編曲家の人にもそういう説明をしたんですか?
小日向 そう、言った! ゲームの音を聴かせて、そのうしろで流れてるファーッてヤツを使ってほしいって言って。
――「ファー」っていうのはコーラス? 鍵盤の音?
小日向 わかんない。ずっとファーッて弾きっぱなしにしてるような音が入ってて。それが1曲目の『世界が泣いてる』の元で、そこから膨らんで。
――そういう雰囲気でアルバム1枚作ろう、と。
小日向 そう! 『世界が泣いてる』っていうタイトルは早い段階でついてて。『世界が泣いてる』ってアルバムを作るぞって先に決めてて。その時期に『進撃の巨人』と『シン・エヴァンゲリヲン』公開もあり。
――そういうものに影響受けやすい人ですからね。
小日向 そう! もともと常日頃から思ってることが歌詞になりやすいタイプなんですけど、それがより考えさせられたから。
――ドラマとかテレビを観てると尋常じゃないぐらい感情移入する人じゃないですか。そういう人がコロナ禍もあり、そして重いアニメを観たことで、より心がそっちに持ってかれた。
小日向 そうなんですよ。それでブワーッてのめり込んで作りました。でも、そういう部分を出せるようになったのが豪さんとのトークイベントとか取材とかで、私の暗い部分の話を聞いてくれて。それまで出すのが怖かったんですよ、私のことは脳天気と思っててほしいんです。そのほうが楽だから……うわどうしよう、泣きそうになってきた。
――大丈夫ですよ、誰も見てないから。
小日向 1回ウーロン茶を飲みます!

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5話まであります。本当にロングです。日記定期購読されている方は、日記から読めます。

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