ブロンプトンで淡路島へ アワいち150km with ブロンプトン
めっきり寒くなってきましたが、紅葉もギリギリ終わっていませんし、まだ秋ですね(断言)。
というわけで、関西へ遠征してきました。日本におけるサイクリストの聖地のひとつ、淡路島です!
淡路島一周のルートは通称「アワいち」と呼ばれる人気のコースで、およそ150km。島の南側に標高差の大きい峠がいくつか集中していますが、それ以外はほぼ平坦なルートを走り続けることができます。一度は行ってみたいと思っていた場所ですが、いろいろあって実現するのが11月末になりました。
まずは夜明けの明石港に向かいます。
本州と淡路島を結ぶ明石海峡大橋は、しまなみ海道などとは違って、自転車で渡ることができません。淡路島に自転車を持ち込むためには、明石港と淡路島の岩屋港を結ぶ「淡路ジェノバライン」を使います。
ジェノバラインの始発は午前6時。寒いうえにまだ暗いにも関わらず、淡路島へ渡るサイクリストの方がちらほらと見受けられました。大人乗船券500円と自転車券220円を支払い、こんな感じで連絡船に車体を結び付けてもらいます。混み合う時期はこのデッキが自転車でいっぱいになるそうです。
明石港から淡路島の岩屋港までは約15分。船上で夜明けを迎え、明るい岩屋港の街並みが迎えてくれます。さぁ上陸上陸ゥ!
今回は淡路島を時計回りで1周します。岩屋港から上陸まもなく、日の出を拝むことができました。気温は冷え込んでいましたが、天気も良く、絶好のサイクリング日和でした。
淡路島は洲本市のある東側のほうがお店やコンビニも多い印象です。サイクリスト向けのトイレも随所に設置されていて、休憩場所には困りません。
途中、 #司馬遼太郎 の小説『菜の花の沖』で有名な、江戸時代の廻船商人・高田屋嘉兵衛の碑が建っていました。嘉兵衛は淡路島の五色町出身とのことです。
『菜の花の沖』は、陸軍の従軍経験から、組織内のいじめや身分制度に批判的な司馬遼太郎らしく、主人公にのしかかる封建制度の重圧を、新しい発想や技術の発展でひっくり返していくところが印象的な小説でした。
嘉兵衛は都志新在家の若衆宿でいじめぬかれてきただけに、炊(かしぎ)にこの種のそぶりをみせるものに対してゆるせず、ときに血相を変えて叱った。
「みな、人ぞ」というのが、こういう場合の嘉兵衛の一つせりふであった。人は世にうまれて愉快にくらしてゆくべきなのに、人が人に対して鬼になるのは許せぬ、というのである。
岩屋港から約33km地点、洲本港です。この空の青! 海(というか河口)の青! 素敵な光景でした。
約43km地点、由良港です。陸橋の上から漁港が一望できます。ここを過ぎると、本格的な峠道がスタートします。
兵庫県道76号線、通称「南淡路水仙ライン」は、山中の水仙群生地を結ぶ閑静な道路で、ここから4本の峠が出現します。軽いペダルでくるくると、無理せず登っていきましょう。写真は1本目、「立川水仙郷」へ向かう峠道です。
平均斜度9%、約8kmの峠道を超えて、立川水仙郷に到着です。ここは今や、観光地でも数少なくなった「秘宝館」が併設されています。その名も「ナゾのパラダイス」。あの探偵!ナイトスクープにも取り上げられたんだとか。
立川水仙郷から淡路島の南端へ道を下ると、海岸沿いに出ます。まだ朝早い時間帯だったこともあってか、このルートが本当に閑静で、走っていて気持ちが良かったです。写真の左手の奥に、記紀神話の「オノゴロ島」のモデルになったとも言われている「沼島」がうっすら見えていますね。
サイクリングイベントで大勢の人と走るのも楽しいですが、ソロ旅行の醍醐味はまさしくこういった寂寞感、ソリチュード感にあるよなあと実感しました。見渡す限り海と空と、あとたまに鹿と猿と、自分しかいないこの非日常感、心に溜まったどす黒い感情が浄化されていく気がします。
そして南淡路2本目の峠が登場。灘大川の登りです。
「立川水仙郷への登りがやられたようだな……」
「ククク……奴は南淡峠四天王の中でも最弱……」
(※著者注:そんなことないです)
「内装3段変速のブロンプトンごときに登られるとは峠の面汚しよ……」
と言わんばかりに、平均斜度約8%で迫ってきます。がんばりました。
休憩する間もなく峠ラッシュ! 3本目は、阿万町から福良港に抜ける峠道です。
写真のように、淡路島は自転車関係の標識も充実していて、登坂の表示も出してくれます。こちらは平均斜度9%ですが、途中大きくS字を描いているので、実際はS字のあたりの斜度がかなりきつかったです。
登りきると、福良港がドーンと広がります。ヒルクライムの楽しみは、坂を登った先にある光景なのかもしれません。
時刻も正午近くなので、福良港で昼食処を探していたら目に入ったのが、こちらの「鼓亭」さん。走行ログに残っていますが、当初は一瞬通り過ぎようとしたのですが、「釜揚げうどん」の表示を見た途端、「アツアツの釜揚げうどん! 矢も楯もたまらず!」という気になってUターンしてしまいました。
アツアツの釜揚げうどんです。2玉分注文したのですが、あっという間に食べてしまいました。麺が本当においしかったです。こちらのお店、NHKのグルメ番組にも取り上げられたことがあるんだそうですよ。
うどんで補給を終えて、大鳴門橋を見に行きます。福良から鳴門岬へ向かう4本目の峠を越えて、「道の駅 うずしお」へ向かいます。ここの道の駅からは鳴門橋が一望できるうえに、「あわじ島バーガー」や「鳴門金時ソフトクリーム」などの名物があって、休憩にもってこいです。坂を下ったところにあるので、休憩後は坂を登り返さないといけないのがちょっぴり難点ですが、その価値があるスポットです!
南淡峠四天王を越えると、大きな峠道はありません。海岸沿いの道路の常で、細かなアップダウンは多いですが、おおむね平坦な道路をマイペースで走ることができます。淡路島西側の「淡路サンセットライン」では、トレインを組んでいるロードバイクの方々をたくさん見かけました。
海岸沿いをめぐっているだけだと、淡路島の見所をスルーしてしまうことが多いので、岩屋港から約125km地点の「多賀の浜」から島の内側に入り、淡路島の一宮、「伊弉諾神宮」にお参りしていきます。日本神話の始まりの島がここ淡路島であることを思うと、なんだか荘厳な気持ちになりました。
そのまま粛々とペダルを回し続け、北淡に入ったあたりで午後4時を回り、夕暮れになりました。ここまでで岩屋港から約148km、日の出とともに走り出して日の入りとともに終盤、いい感じのツーリングです。
約153km地点、明石海峡大橋真下の「道の駅 あわじ」です。本日のゴール岩屋港の目と鼻の先なので、ここでお土産を買っていきます。道の駅もそうですが、サイクリストがこんなに沢山訪れる島なので、もっと地元の人にお金が落ちる仕組みが作られるといいなあ、と思います。自転車向けの補給食を販売するとか、休憩所を作るとか? うーん、いいアイデアがあれば。
とっぷりと日が暮れた午後5時、岩屋港ポートビルに到着です。ここから再び淡路ジェノバラインで明石港へ向かいます。150kmを約10時間半、食事等込みで10時間半(平均時速14.8km)と、相変わらず笑えるくらい遅い速度ですが、好天にも恵まれ、無事にアワいちを終えることができました。
さすがにサイクリストの聖地のひとつに数えられる淡路島、オフシーズンにも関わらず自転車の方の姿も多く、景色や食事にも大満足、楽しいツーリングでした。今度はロングライドイベントなどでもお邪魔してみたいです。
今回の走行ログはこんな感じです。
http://yahoo.jp/_bvWAh
長文記事を読んでくださって、ありがとうございました!