国東半島サイクリングロードをブロンプトンで
祖母の初盆で、郷里の大分県に帰省しました。
相棒とともに飛行機で帰郷します。飛行機輪行の場合、私はこの「Clapton box(ブロンプトン専用ハードケース)」と「T-Bag」を使っています。
このハードケース、とにかく頑丈で、手荒に扱われても中身の自転車に傷がつかない点では優秀です。一番遠いところでアルゼンチンまでブロンプトンを運びましたが、その際も中身は無傷でした。
しかし、大きすぎて取り回しが悪いのと、ケースだけでもクッソ重い(8kg)ことが難点です。ブロンプトンは約12kgあるので、国内線の預入荷物の重量制限(20kg)にひっかかりやすく、ペダルなどを取り外すことでカバーしていました。
国内線ではここまで頑丈なケースは必要ないかもしれません。コイツもお値段高いですし、海外へ輪行する際の安心を買うためのアイテムと言えます。ブロンプトンの輪行問題については、そのうち改めてノートを書きます。
お盆の法要も終わり、郷里のサイクリングに出かけることにしました。今回は大分県の北東部、瀬戸内海に突き出した国東半島を回ってみます。
起点はJR九州の日豊本線、杵築駅です。
国東半島の外周をすべて回ると少々距離が長すぎるため、東側をおおよそ半周した後に「両子山」へヒルクライムし、杵築駅まで降りてくる、というルートをとることにします。ちょうど、自転車レース「ツール・ド・国東」のCルートを逆に回るような形ですね。
国東半島外周の国道は歩道が広く、歩行者ゾーンと自転車ゾーンが区切られているので、とても走りやすいですよ。
杵築市街地を通り抜けると、伊予灘がバーン! と広がります。
背後は国東の山々が広がります。こんなふうに、山と海に挟まれた地形が大分県の風土です。
国道に沿って走るだけでも十分快適なのですが、サイクリングロードもあるらしいと聞いていたので、今回はこちらを選択してみます。
海が近い! 海岸沿いのサイクリングロードとは聞いていましたが、本当に海のキワを走っていく道になっていました。潮の匂いも濃厚です。
しかし……
!?
しばらくサイクリングロードを進むと、森の中へ突入していきました。思わず目を疑ったのでこの写真を撮りましたが、海岸沿いはともかく、この森の中の道は路面状態がとても悪かったです。
1.オフロードだねこれ
2.走れないことはないが……
3.可もなく不可もなく
4.気持ちよく走ることができる
5.是非もう一度走りたい
という5段階評価で路面状態を採点すると、この森の中の道路は、落葉・落枝だらけなうえに路面が濡れていて走りづらく、2ないし1という感じでした。タイヤがシュワルベでよかった……
国道に戻ってくるとホッとします。国東半島周遊サイクリングは、国道沿いの歩道に設けられている自転車ゾーンを走るのが正解なようです。
(実際、一部区間は国道の歩道が国東半島サイクリングロードに指定されています)
海沿いの国道を北上していきます。国東半島の東海岸には(市街地からずいぶん離れていますが)大分空港があり、サイクリング中にも、飛行機が離着陸する様子を見ることができます。
大分空港です。空港内には綺麗な売店、レストラン、トイレがあるため、ここで休憩をとるのもいいかもしれません。
空港からもう少し北上すると、「国東市サイクリングターミナル」があります。こちらはレンタサイクル・宿泊施設・食事処などを完備している施設ですので、ここを起点に国東半島を回るのもよさそうですね。
サイクリングターミナルの北で、国道からサイクリングロードが分岐します。半島を周回する場合は写真右を進むわけですが、今回は両子山を目指すため、写真左方向へ向かっていきます。
海も山もいいですが、国東半島はその歴史も魅力的です。両子寺を始めとする「六郷満山」と呼ばれる寺院群は、奈良時代初期に開山された由緒のあるもので、独特な火祭り「修正鬼会」などが有名です。
そんな国東半島の奥山を目指して、田園風景の中を進んでいきましょう。
黒雲が湧いてきました。腕にポタリと滴が落ちたので、「雨か?」と思ったら自分の額から落ちた汗だったという一人漫才をやらかしつつ、ゆるやかな坂を登っていきます。
GPSデータを見ると、平均斜度は2度ほど。ひたすら上り坂が続いていますが、それほど苦労せず登っていくことができます。
登り始めてから5kmほどで、「行入(ぎょうにゅう)ダム」に到着します。切り立った岩山がカッコいいですね。山岳信仰と密接に結びついていた、古い時代の仏教の香りがします。
このあたりは地名も色々と信仰の名残があります。この「行入(修行を始める)」もそうですが、「成仏(じょうぶつ)」なんて地名もありました。
ダムを越えると、坂がグッと厳しくなります。ダムから両子寺までは、平均斜度が5度ほど。激坂というほどではありませんが、私はビンディングペダルと新BBの恩恵を受けながら、ようやく上りきることができました。
両子寺(ふたごじ)の参道入口です。音読みではなく、ふたご、と読むところに古代仏教アトモスフィアが漂いますね。
山門の手前には仁王像が立っています。苔むした石畳や森の木々は荘厳で、とても清涼感があります。
拝観料200円を支払い、阿弥陀如来像を祀っている護摩堂にお参りしていきます。この先、さらに山道を進むと、数々の奇岩や奥の院を見ることができるのですが、足元がとても滑りやすいので、ビンディングシューズでは無理だと思い、ここから下山することにしました。
興味のある方は是非セカンドシューズを持ち込んで、トレッキングしてみてください。
さあ、帰りはダウンヒルです。心がぴょんぴょんしますね。
来た道が緩やかな登り坂だったので、戻りは緩やかに下り坂が続きます。5~6kmほど下り続けていくので、ほとんどペダルを漕がずにグイグイと距離を稼いでいくことができます。
いつもは私の平均速度は時速15kmあまりなのですが、今回のツーリングでは、この下り坂の恩恵を受けて、6時間の平均時速が22kmに達していました。
市街地から大分空港へ向かう空港道路に併走する、一般道を走って杵築駅へと戻ります。周囲は緑でいっぱいですね。
午後4時半、スタート地点でもあった杵築駅に戻ってきました。輪行して大分市の中心部へ帰ります。
国東半島の国道沿いは走りやすく、また、両子山へのヒルクライムは斜度の緩やかなところが多いため、80km超のコースにしてはあまり苦しくないルートでした。海も山も歴史も味わえる大分県のサイクリングロード、皆さんも是非一度お越し下さい。
郷土の宣伝をしつつ、ここまで読んでくださった方へ感謝を捧げます。
今回のルートです。
http://yahoo.jp/i48Ozy