
譲渡不可能なNFT「Soul Bound Token(SBT)」とは?
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web3 researcherの三井です。
毎日web3についてリサーチする中で、面白いなと思った単語やプロジェクトを一つずつ解説記事にて書いています。
今日は「Soul Bound Token(SBT)」について。
まだ理解度70%くらいだと思いますが、調べていく中でかなりワクワクしたし、これが普及したら、web3の社会実装が圧倒的に進んでいくと確信しました。そんな”SBT”についての定義や凄さを解説していきます。
SBTとは?
「Soul Bound Token(SBT)」を一言で言えば、”譲渡不可能なNFT”です。”Soul(魂)+Bound(縛られた)”なので、魂に縛られたトークン→一度受け取ると譲渡ができないトークン(NFT)です。
言葉自体はまだ新しく、その発端は2022年1月にイーサリアム共同創業者のヴィタリックさんが発表した「Soul Bound」というブログから始まります。
デジタルの世界に所有権を持ち込んだ”NFT”は画期的な技術で、二次流通ができる自由売買こそがNFTの価値の大きな要素であることに間違いはありません。ただ一方で、唯一無二性は担保したいけど、譲渡はして欲しくないというNFTが生まれて来ました。
例えば、大学からの卒業証書・資格・イベントへの参加履歴・DAO等コミュニティーへの貢献履歴などなど、です。その人固有の称号なので、それを売買できてしまうと、大学の学歴をお金で購入できてしまう、といった事態に陥ります。そして、その売買の可能性が残ったままだと、その人が持っているNFTは本当にその人が自分で勝ち取ったものなのか、誰かから購入したものなのか、その判断がつかなかくなってしまいます。
SBTは、それらの問題を解決するための譲渡不可能なNFTです。
そして、SBTには発行元の個人情報を付与して発行ができ、受け取ったSBTは自分のSoulウォレットに刻まれていきます。鑑定書がついたNFT(ちゃんとハーバード大学が出した学位NFTですよという情報がついてるNFT的な)を発行できるイメージです。
おそらく一人一人Soulウォレットを作成し、SBTで発行されたNFTはそこに格納されていくのではないかと思われます。そして、そのSBTのNFTは譲渡ができない仕様になっています。
SBTの凄さとは?
SBTとは譲渡不可能なNFTであり、証明書などの改ざんできない&透明性が高いというNFT技術と親和性は高いけど、”自由売買できてしまう(移動が簡単)”性質は邪魔だなというファイルにピッタリの技術と説明しました。
ここからはSBTは一体何が凄いのか、という所を解説していきます。
結論を言えば、SBTは「分散型社会(DeSoc)」の実現に大きく貢献する可能性を秘めています。
NFTだけでなくweb3が掲げる思想の根本に「分散化(中央が存在しない)」がありますが、現在まだまだその分散化には至っていない状況があります。NFTの販売はOpenSeaで行い、その告知はTwitterで行う。DAOはあるが、その投票権は資金力によってコントロールされる可能性が残っている。
結局はweb2のプラットフォームに依存した形で、web3のプロダクトを使っている状態が現在です。(もちろん、まだ発展の途中であり、最終的に完全な分散型のサービス&DAO運営を目指していく途中だと思いますが。)
これら数多くの課題の中でSBTが解決するのが「個人の与信管理」です。
web3は基本的に匿名の世界です。メタバースが進めば一人複数人格が当たり前になっていきます。DAOで本名も顔も知らない人と働くことが当たり前になるし、NFTは見知らぬクリエイターの作品を購入します。
ただ、誰かわからない人と働いたり、商品を購入するのは怖いですよね。騙されている可能性もあるし、NFTの大きな問題点である偽クリエイター問題(別の人の作品を勝手に出品しちゃう問題=出品者がその作品の本物のクリエイターかわからない)もあります。
なので結局、Twitterのフォロワー数とか、誰にRTされているかとか、支援されているのかを見て、個人の与信管理(信用確認)を行なっています。ただ、これは結局今までのweb2時代の強者が勝ち続ける世界線です。そして、匿名と言いつつ、本名と紐づいて身分証明をしなければいけません。
SBTが社会実装されると、その人のSoulウォレットを見れば、経歴が全てわかるようになります。
どんな学歴を持っていて、どんな資格を持っていて、どんなDAOでどんな貢献をしてきたのか、どのプロジェクトを立ち上げたことがあるのか、全てわかります。そして、それがブロックチェーンで管理されているので改ざんできない信用に足る情報です。自分のSoulウォレットが改ざんできない履歴書になる感じですね。
これによって、完全に本名から、そしてweb2プラットフォームの信用情報から解放されます。
複数人格を作っても、それらを全てSBTで情報を刻んでいけば、それぞれのSoulウォレットをもとに信用が担保されていきます。自分のSoulウォレットを繋ぐだけでお金(仮想通貨)が借りれるようになるDefiプロジェクトが生まれたり、アリババのジーマ信用のようにSoulウォレットの情報をもとに泊まれるホテルが変わるなどのサービスが生まれるかもしれません。返済履歴やサービスの利用履歴も刻まれていけば、さらに自分のSoulウォレットの情報が増えていきます。
なので、SBTはweb3時代の分散型ID(個人の証明)に使われる期待がかけられた、かなり重要な概念と言えます。
先んじて挑戦中の”POAP”
SBTというまだこれから実現する技術についての話をしてきましたが、よりイメージがつきやすいように、一つすでに稼働している具体的なプロジェクトについても紹介します。
SBTという単語は使われていませんが、SBTが解決する課題はweb3全体の課題感なので、他にも多くのプロジェクトが解決に向けて動いています。その中でも””POAP”というプロジェクトが譲渡不可能なNFT・○○の証明書となるNFTに先んじて挑戦しています。
“POAP”を簡単に言えば、”イベント参加証明NFT”です。
○○というイベントに参加しましたよ!というNFTを参加者に簡単に配布できるプロジェクトです。神社仏閣を巡って集める”御朱印”のNFT版と言えば、理解しやすいかもしれません。
ヴィタリックさんの元ブログにもこのPOAPに触れられていました。

これはラフなSBTですよね。イベント参加券は譲渡して欲しくないし、それが積み重なるとその人がどんな人なのか、何に参加しているのかが圧倒的に理解できます。web3界隈のイベントもですが、アーティストや芸人さんのライブに参加したPOAPが残っていれば、web3の世界でも友達になれるかもしれません。将来的にはPOAPによるマッチングサービスとかも生まれそうですね。
POAPについては発行&配布はそこまで難しくないっぽいので、僕自身も主催するイベントで配布していこうと思っています。
まとめ
SBTは今のNFTやweb3の課題の割と真ん中にある”個人の与信管理”を解決でき、譲渡して欲しくないNFTの発行できるプロジェクトです。この実現によって、各種証明書(学位・住民票・賃貸借契約書・業務委託契約書・DAOトークン、etc..)がNFT化され、より分散型社会(DeSoc)の実現に近づきます。
NFTの出品者が本物かわからない問題も、自分のSoul Bound Token(≒信用情報)をNFTに付与することで、その人が本物である証明をつけることができます。なので、クリエイターにとっても非常にありがたい技術です。
そしてなんと、こんな革命的な技術ですが、ヴィタリックさんによれば「2022年中にはできると思うよ」とのことなので、おそらく今年末にはweb3界隈ではかなり話題になっていくと思われます。そして数年かけて社会に実装されていきます。
SBT楽しみですね。
そして個人的に一番思ったのは「Soul Bound(魂に縛られた)」ってネーミングセンス神すぎじゃね!!でした、、。my soulとかカッコいいもん。譲渡不可能な象徴としてSoulを選択して名前にするセンスよ、、。恐るべし、、。
なんとなくの肌感ですが、web3の世界観では”思想”が重視されるので、ネーミングは非常に重要だと思っています。web2時代の非にならないくらい重要だと思っています。そんな中で「Soul Bound」は嫉妬するくらいカッコ良すぎますね。かっこいい&思想を伝えているネーミングだ。
、、、、
まだ調査中の部分もあるので、情報に齟齬があればすみません。引き続きweb3関連の情報をリサーチして記事にしていきますので、よければまた見に来てください!!また、この記事が面白ければシェアしていただけると励みになります。
おわり。
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— mitsui @web3リサーチャー (@koheimitsui_) October 12, 2022
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