旗を立てるではなく、せめて指をさそう
起業において、旗を立てる(=具体的なビジョンを掲げる)ことは、とても大事です。
有名なTEDの動画で「社会的なムーブメントをどう起こすか」みたいなタイトルのものがあります。まず、大勢の中で一人が狂ったように踊り始める。しばらく一人で踊っていると、釣られて二人目が現れ、そいつも狂ったように踊り始める。三人目、四人目、五人目、気がついたらその場にいた全員が、我先にと集まり、全員で踊り始める。
これが「ムーブメント」の作り方で、「人の動き方」らしい。
また、最近「リーダーシップの旅」という本を読んでいます。帯の文を少し拝借。
社長になろうと思って社長になった人はいても、リーダーになろうと思ってリーダーになった人はいない。リーダーは自らの行動の中で、結果としてリーダーになる。はじめからフォロワーがいるわけではなく、「結果としてリーダーになる」プロセスにおいて、フォロワーが現れる。
そして、読み進めていく中で好きな部分をまた拝借。
リーダーシップの旅は、「リード・ザ・セルフ(自らをリードする)」を起点とし、「リード・ザ・ピープル(人々をリードする)」、さらには「リード・ザ・ソサエティ(社会をリードする)」へと段階をふんで変化していく。
リーダーはリーダーシップの旅を歩む中で、フォロワーの共感を呼び起こす。自分の夢が周囲の人たちに伝播し、やがてその夢は彼らの夢となる。周囲のみんなが、リーダーが見る「見えないもの」を見ようとして、自発的に動き始める。
一個前に紹介したTEDの動画と、言いたいことは近しい気がします。
旗を立てること
共通してるのは、どちらも「まず一人目がアクションを起こすことで、全てが動き出す」ということです。ゲーテの言葉で「大きな石を一人で持ち上げるつもりがない人が何人集まってもその石は持ち上がらない」とあるらしいですが、それと同じです。
“おおきなかぶ”を抜こうとした人は、きっと一人でマジで抜こうとしてたんですね。その熱量につられ、人がどんどん集まってきて、大きな共通目標のためのチームができて、結果がでた。
そう考えると、”おおきなかぶ”ってめちゃくちゃ勉強になる逸話かもしれません。「かぶを抜く」という明確で具体的な目標(Vision)があり、綱をみんなで引っ張るぞ!という作戦(経営戦略)があり、一人一人が精一杯頑張ることができる体制(チーム構造)まで出来ている。すげえ。
けどそれも、やっぱり最初の”かぶを抜く”という「旗を立てる」作業がとても大事で、それがないと何も始まりません。
とはいえ、、、
「旗」をかっこよく言い換えると、「具体的で可視化されたビジョン(及びそこまでの戦略)」です。
これ、一人で「旗を立てる」ことは相当難しいと、僕は思っています。具体的な目指す先を、全員の目に見え、理解できる形で示すことは、もうお手上げ状態くらいに難しいです。なので「旗を立てるのは一人でやらなくていいのかも」と最近ちょっと思います。
僕は今、3人で会社をやってます。肩書は僕が代表ですが、みんな同世代なので、能力値的に僕が飛び抜けているわけではないです。となると「”具体的な”旗を立てる」作業はみんなでやった方が効率的だったりします。
僕がなんとなく「あっちに行きたいなあ」「多分こんなことやったら、あんな社会になると思うんだよね」「その社会になったら良くない?」とぼやき、そこから議論はスタートして、具体的なビジネスモデルや戦略に落とし込まれていきます。
その作業が全て終わって「旗を立てる(具体的で可視化されたビジョンと戦略の立案)」が完了します。ここを一人でやるのは、連続起業家とか、経験がある人でないと難しいです。
指をさす
なので僕は「旗を立てる」ではなく「指をさす」ことが起業(ムーブメント)の第一歩であり、一人目の役割なのかな、と最近思ってます。
無限の選択肢がある中、「これから歩く方向はこっち!」と指をさすことで、全てが進んでいきます。その段階ではまだ旗は立ってません。「こっちに進んだら、多分こんな未来に繋がるよ!」という本当にぼんやりとだけ”旗もどき”があります。
そこから戦略が得意な人とか、UXが得意な人とか、ビジネス詳しい人とか、経験がめちゃある人とか、そんな人たちと話していく中で、「どうやら進む先にある旗はこんな形をしていそうだ」と気づきます。そして、それをビジョンという形で言語化し、掲げます。
ただ、一度たてた旗も、歩いていく中で徐々に形を変えていき、更新されていきます。「あ、やっぱり旗の色は赤じゃなくて青だった!」とか「素材が合わないなあ」とか、戦略変更やビジネスモデルの変更が行われていきます。いわゆるピボットですね。
そして、そのピボットの軸となるのが一番最初の「こっちに行きたい!と指をさす(旗の色・素材・形はわからないけど、こっちに進んだら、なんらかの旗があるよ!)」という作業だと僕は思っています。
方角さえ間違えなければ、遠回りはしてもいつかは目的地にたどり着くんです。東京から北海道に向かおうと思ったら、「とりあえず北っしょ!」と思っていれば、電車であろうが、飛行機であろうが、徒歩であろうが、自電車であろうが、きっといつかたどり着きます。
なので僕は(一人目のアクションとして正解かどうかはまだわかりませんが)、これからどんな道に迷い込んでも「指をさす」ことはし続けようと思っています。
具体的な旗はみんなで立てれるけど、方角を決めるのは最初の人しか出来ないと思うので。
自分の備忘録的なnoteですが、何かの参考になれば幸いです。
以上、おわり。
(最後にちょっとおまけがあります)
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