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【小説】世界一の嘘つき 〜去勢 〜 No.1

日本の常夏。

暑さがカンカンと照りつく真夏日。
ビル高層化が進み、鳴り止まぬ工事音。

照り返すコンクリートの光を浴びながら
俺は大学のキャンパスに向かっていた。

時刻は12:00, 昼ごはんの時間。

出席点だけ出して、あとは後ろの方の席で
爆睡かますのが日課の2限を終わらせ、
俺はそそくさと大学を後にする。

しょーがねえだろ。
水曜2限だけ必修入りやがった。
卒業するためだけに毎週来なきゃいけないのが
本当にダルすぎる。

昼から帰ってやる事、
それはそう、

バイトです。。。

掛け持ち4件
・テニスコーチ(週5)
・相席屋(週4、夜勤)
・コンビニ(週1)
・日払いバイト(月2)

元々テニスを習っていて、しかも好きなことで
働けれているのが何より楽しかった。

相席も、男女のいわゆる“駆け引き” みたいなのが見えたり。

コンビニも…まあ週一に適当にヘルプに行ってたので特に感想なし。

日払いは…まじで金ない時のタシ。

正直、この働いたお金で何をしていたか。
確かトータル200万ほど。

あろうことか、これを全て

投資に突っ込んでいるのである。

具体的には「先物投資」。

しかも、その投資は

【MLM商法】

いわゆるマルチ商法の商材、
ようは商品として提案された。

このスクールに通い、先物投資を学ぶことで
利益が出て入会金等もペイできる。

そんな謳い文句だったと思う。

ぶっちゃけ、ほとんど覚えていない。

なぜなら、
「成績1位を取る」
事に執着しているのだ。

・会員数増加1位
・会員内運用益1位
・新リーダー賞

これが度々発表される。

俺はとにかく、褒められたかった。

誰かに褒められればそれを鵜呑みにし
誰かに叱られれば絶対にそれをやらなくなる。

なんというか、ただの子供だ。

ここから、俺の大学生活、
そして人生が崩壊を始めるとは
思ってもいなかった。

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