2次元CADからの脱却
■独立 CG習得と泥沼のWork-Flow
2015年に独立をした際、自腹を切って購入した最初のVectorworksは26万円前後のVectorworks2015-Fundamentalsでした。当時、レンダーワークスは別のパッケージだったので、今より安価で2D-CADとしてはFundamentalsで十分でした。
独立当初、”3Dパースはつくりたい”でも”外注に頼める様な資金的余裕もない”という状態だったので、Shade 3DというCGソフトを購入し短期集中でCGパース制作を習得しました。shade3Dは間接光の計算をするラジオシティを用いてレンダリングするとフォトリアルなCGがつくれ、操作も比較的簡単でした。当時は約3万円のサブスクリプションで1年間ライセンスが買えたこともあり、コスパが高かった。
それからしばらくはVectorworksで2次元の図面を描き、DXF変換してshade 3Dでモデリング行っていました。そして、アングルを変え数カットのレンダリングをしていると丸一日が潰れる。
非常に効率の悪い作業を全て自分一人でやっていました。
そして、打ち合わせで設計変更が起きると。。。
ご想像の通り、膨大な修正作業が自分に返って来ます。
まさに泥沼の作業地獄です。
■BIMを目指して
非効率な修正作業を繰り返しながら、この状況をなんとか打破できないかと考えていた2017年の年末。YouTubeでVectorWorks2018のPVを観て「これだ!」と直感しました。
「図面とCGがリンク出来れば、この泥沼から抜け出せる!」はず!
そして、2018年3月Vectorworks2018-ArchitectモジュールへのアップグレードとVSS契約(VectorWorks Service Select)をして、いざBIMへ!と意気込んんでみたものの。。。
■10ヶ月後の挫折
2018年夏に新しいPCを購入しました。ソフトと合わせて100万円近くの投資になります。(この辺りの話も後々記事にしようと思います。)
2次元での作図と全く違うワークフローに困惑し、図面化すれば線は太すぎる。消えない謎の線が現れ、ズレまくりの上下階。とてもじゃないけど実施設計で使えるような状態ではありませんでした。ただ、CGはそれなりに使えました。モデリング自体は非常に簡単でshade3Dより断然早い。レンダリングもかなり綺麗。
しかし、これを図面化しようとすると上手くいかない。実施設計の最中、作業を進めなくてはいけないので、2次元で図面を描いている状況から抜け出せない。
2019年の正月のこと。(前と何も変わらんやん!)
■背水の陣で臨んだBIM実施設計
「このままでは終われない」と覚悟を決め、自分を追い込む事しました。ある歯科医院の設計者選定コンペで、「3次元CADで設計をしています!」と宣言。自ら退路を絶ちました。多少CGは作りためていたのでアピールするには十分。施主が同年代だったという事もあったのか、無事に設計者として選定して頂けました。
「もう二次元には二度と戻らない!」そう決めてこのプロジェクトの実施設計に挑みました。勉強会やSNSのコミュニティで質問をしまくり、実務者のレクチャーには出来る限り足を運びました。。VectorworksでBIMを実践している人達やA&Aの方々に助けを借りて、なんとか形に出来る様になったVectorworksでのBIM。
本気を出せば2〜3ヶ月である程度のことができる様になりました。私がBIM設計導入に悪戦苦闘をしているのと同じ頃、東京出張で立ち寄った東京カテドラル聖マリア大聖堂で頂いた札にはこう書かれていました。
-「求めなさい。そうすれば与えられる。探しなさい。そうすれば見つかる。門をたたきなさい。そうすれば開かれる。」(マタイ福音書7章7節)-
これからBIMに取り掛かろうと思っている人は、 参加できそうなVectorworksコミュニティを探して飛び込んでみることをお勧めします。「百聞は一見に如かず」きっとあなたに力を貸してくれる仲間に出会えるはずです。
次回の記事でBIMを用いた結果、施主との打ち合わせや実際のwork flowにどんな変化が起こったかについて書いていこうと思います。