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競艇で確実に勝つ方法を研究し20万円をかけてみた話
どうも。Z世代化学メーカー勤務のたまこうです。
会社ではデータを活用した事業課題の発見や戦略立案を行う、いわゆる社内コンサルタントとして働いており、現在社会人歴2年目の23歳です。
今回はあるひょんなきっかけから競艇で確実に勝つ方法を研究し20万円をかけてみた話をシェアいたします。
Ch1 きっかけ
僕は2024年の夏、会社の支援もあってとあるセミナーに参加しました。そこではクリティカルシンキングを学べるだけでなく、参加者は30-50代の層が多いことから、若い僕に大きな刺激になるのではと思ったからです。
実際参加したところ、僕がダントツで最年少でした。
ある日、セミナーで「日常のデータを分析して新たな発見をしよう」という宿題をもらいました。参加者は高齢者の人口増加とか、各産業の規模の拡大みたいなものを調べてみよう、という話をしていました。そして僕はふとこう思いました。
「え、つまんなっ」
僕は社会人歴2年目だからこそ、レンジの上の方々はもっと想像力が豊かで、思慮が深いみたいな僕の期待は幻想だったみたいです。
そうなれば押してダメなら引いてみろということで、「最年少の僕が年上の方々に大きな刺激を与えてやろう」と決めました。
Ch2 目標の設定
まず、年上の方々に大きな刺激を与えられるものは何かを考えた時、やはりそれは万人共通の関心ごとなのかと思いました。
万人の関心ごとって何でしょう、、、、はい。そうです。
「お金稼ぎ」ですね。
といっても、お金の稼ぎ方は株式投資や会社設立など、やり方は様々です。ただし、今回のお題はデータを扱うことなので、データからお金稼ぎにつながる方法を導く必要があります。となると株式投資かギャンブルになってきます。
株式投資、ギャンブルも様々な選択肢があるかと思いますが、僕は結果に影響するパラメーターが一番少ないものを選出することにしました。
話は逸れますが、「高次元の呪い(Curse of Dimensionality)」
ってご存じでしょうか?
これは簡単に言うと、予測に使うパラメーター(条件)の種類が増えるほど、必要なデータ数が爆発的に増えてしまう現象のことです。
例えば、結果に影響を与える要素が 2つ だけのとき、それは 2次元 なので、x-yグラフにデータをプロットできます。たとえば、(1,2)、(2,4)、(3,6) のように点をいくつか打つと、データの傾向が見えてきて、近似線を描くことができます。この近似線があれば、xの値が分かれば、yの値を予測することができます。
では、要素を 3つ に増やした場合はどうでしょうか?今度は 3次元のグラフ(x-y-z) にデータをプロットすることになりますが、2次元のときよりも、より多くのデータを集めないと傾向がつかみにくくなります。そして、これを 4次元、5次元、6次元…… と増やしていくと、空間がどんどん広がるため、データがスカスカになってしまい、少ないデータでは傾向を見つけるのが困難になります。 これが「高次元の呪い」の本質です。
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話を戻して、具体的にどれにするのか。株式投資は為替・政治・経済などパラメーターの数は数知れず。それぞれの理解を深めればパラメーターの数を減らせるかもしれませんが、あくまでこれは宿題です。そんなスケールの大きいことはできません。となるとギャンブル。競馬はジョッキーだけでなく、馬の気分や体調、競馬場の相性、1レース当たりの出走馬の数、天気などパラメーターが多いです。どうしたもんかと悩みながらも思いついたのがボートレースです。競馬が1レース当たり13個の選択肢がある一方、ボートレースは6個のみで、かつ馬ほど乗る船による結果の影響は軽微と思われ、考慮するべきパラメーターが比較的少ないと考えました。
よって、ボートレースでお金を恒久的に稼ぐ方法を見出すことを目標としました。
Ch3 賭け方の決定
ボートレースでお金を稼ごう、といっても、僕はこれまでボートレースどころか、競馬も、パチンコもやったことがありませんでした。なので、まずはボートレースは何か、どのようなかけ方があるのかというところから調べました。
ボートレースは1レース6艇が3周を走り順位を競う競技ですが、必ず押さえておくべき点は
①1号艇の勝率が圧倒的に高いこと
②最初のターンで順位がほとんど決まること
③払い戻しは掛け金総額の7割を山分けするように算出されていること
です。
これらを念頭において、まずは賭け方を決めていくことにしました。
賭け方の検証対象は2連複/2連/3連複/3連単/拡連複(1着から3着までに入る2艇を、順位にかかわらず当てるもの)としました。一番勝つ確率が高い単勝は?と思った方がいるかもしれませんが、③に込められたメッセージを考えてみてください。これは、「安牌なかけ方をしても勝てない」ということです。よって単勝は除きました。
以降はPythonを使ってデータ取得・分析をしていくのですが、僕はこの試みをするまでPythonを触ったことがなく、今回はChatGPTと一緒にコードを書いたので、恥ずかしすぎて見せられません。よってコードは割愛します。
どの賭け方の採算性をを検証するためボートレースの結果をまとめたサイトからデータをPythonで取得、集計しました。結果が以下になります。
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それぞれのかけ方を見るとやはり3連単が一番平均払戻金が大きいですね。加えて、拡連複は圧倒的に採算性が悪いことがわかります。なのでこの段階で拡連複は除外します。
続いて、2連複/2連/3連複/3連単を検証していきますが、平均値は超高額払戻のレースによって吊り上げられているということは注意しなければいけません。なので、払い戻しを算出する対象範囲は構成比率が80%になるまでの範囲の階層、加えて算出方法はそれぞれの階層の加重平均としました。
計算した結果が以下となります。
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こう見ると、高額なリターンが得られると思われた3連単も、ほとんどの場合はリターンが小さいということがわかるかと思います。たしかに加重平均の払戻金も他のかけ方より大きいですが、これに加えてそれぞれのかけ方が何通りあるのかも考慮する必要があるので、今回は簡易的に構成比率が80%になるまでの範囲の階層における加重平均の払戻金をかけ方で割った数値(円/通り)を比較してみました。
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すると、驚くことに、3連単が一番収益性が低いことがわかります。加えて2連単も低くなっていますね。次いで2連複、3連複となっています。以上のことから、かけ方は3連複とすることにしました。
Ch4 パラメーターの決定
次に、考慮するパラメーターを決定します。ただ、その前にどれくらいの種類のパラメーターを許容できるのか、データの数を決定しましょう。半年分のレースデータから、選手一人当たりのレース参加数を見てみると、150-280あたりが多く、加重平均としては136(レース/人)となります。年間で言うと272(レース/人)ですね。
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それでは、272個のデータしかない場合、どれくらいのパラメーターが適切か、Ch2で記載した「高次元の呪い」に基づいて考えると、10²<272<10³となるので、2つしか設定できないということになります。この時僕はこう思いました。
あれ、、、、、無理じゃね?
それでは、データを2年分、3年分のように増やせばいいのでは?と思うかもしれません。しかし、2年前、3年前のデータを見てみると最近の実績と傾向が異なるデータが多く、むしろノイズになってしまう可能性があるため対象データは直近1年分としました。「じゃあ、やっぱ無理じゃん」と思った方々に一言だけ言わせてください。
そんなこと言わないでください!!😢
僕は、突き進みます(白目)。
次に結果に影響する可能性のあるパラメーターを列挙し、対象外にできそうなパラメーターを取り消し線で消しました。
・競艇場(三国・平和島など)・気候(波・風・天気)
・モーター
・コース
・選手
3つか、、、、
先ほどの理論では2つしかパラメーターを設定できないとのことですが、この3つのパラメーターは排除できないくらい結果への影響度が高いです(確認済みですが省略します)。仮に競艇場を除いたとしても、選手それぞれには競艇場の相性もあり、切り分けるとデータの精度が下がってしまうため、今回はこの3つ(競艇場・コース・選手)のパラメーターから賭けようと思います。
Ch5 データ作成・舟券購入
次に賭け方を決めるためのデータ収集をPythonを使って以下のステップで行いました。もちろん、コードは恥ずかしいので見せません。
①レースデータ・払い戻しデータを別々のサイトから収集
②それぞれのデータを加工&マージ
③エクセルに添付
実際できたデータが以下となります。データの持ち方についての批判は受けかねます。自分も自信ないので。払戻金に3連単があるのは、僕も男なので、夢を捨てきれなかったからです。今回のnoteでは3連単に関する記載は省略しますので、無視してください。
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そして、最後にこのデータから各選手・競艇場・コースごとの勝率データを作成して、勝率が高い上位3艇を選出し、3連複の舟券を購入しました。
1点補足ですが、今回の舟券の購入方法は1つのレースを限りなく研究して至極の一手を考える皆さんの方法とは異なり、作成した賭け方に基づいて大量の舟券を購入しています。理由は「Ch8 (補足)大量のレースの舟券を購入した理由」で説明します。
Ch6 結果
Ch5で記載した方法で舟券を購入し、1か月間集計を行ったところ以下の結果となりました。
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、、、、、、どうなんだ!?
決して高い回収率ではありませんが、100%を上回っているのは評価できるのではないでしょうか。
Ch7 まとめ
今回革命的なお金稼ぎ方法を見出すことができなかった主要因としてはやはりデータ量不足と考えています。「高次元の呪い」に基づくと、パラメーターが3個の場合はデータは1,000個以上必要なのに対し、今回は200強くらいのデータしかなかったですからね。
それでも、期待値が100%を上回るかけ方を見出せたこと、(この宿題も寄与したからなのか)参加していたセミナーを最優秀成績で修了できたことは自信につながりました。
また、1か月の週末を献上して研究した結果回収率が103%にしかならなかったという話は飲みの場では1つのネタとして使えることもよかったのかと思っています。
しかし、この話を周りの人にすると時々「時間の無駄じゃん」と言われます。
でも、僕はそう思いません。
たしかに、1か月分の週末をささげて小さな利益にしかつながらなかった点でいえば無駄かもしれません。ただし、僕はこのような
「好奇心と想像力を持って大きな目標を掲げ、楽しみながら試行錯誤する」
ことこそが人間でしかできない、有意義な取り組みと考えています。
今後AIの発展に伴い、我々人間の仕事の幾分かはAIに取って代わられるでしょう。それでは何がAIでは代替できないかと言うと、想像性を求められる仕事と考えています。AIは機械学習モデルなので、過去から解を作ること・いわれたことを実行することは得意ですが、
AIは0から1を見出すことはできないこと、
それができるのは人間だけだと信じています。
そしてそのために我々が備えるべきものは好奇心と想像力と考えています。
ただし、好奇心と想像力は瞬間的に出てくるものではなく、日々の姿勢から形成されるものと考えているので、あくまで今回の研究は僕の好奇心と想像力が豊かになるための1つのプロセスだったんだなーと思っています。
最後に、このnoteを通じて、ボートレースのかけ方について新たな視点を得られたり、何か刺激を得ることができたのであれば僕はこのnoteを書けて
大大大大大満足です!!!
長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました!
(宣伝)
僕は今後も日常で起こるひょんな出来事から好奇心と想像力を膨らまして何かに挑戦したり、哲学的なことを考えたりしたことをシェアしていく所存です。皆様からの応援が励みになりますので、noteへのいいねやコメントなど頂けますと幸いです。
Ch8 (補足)大量のレースの舟券を購入した理由
仏に説法かもしれませんが、端的に言うと、「期待値の法則」と「大数の法則」に基づいて、長期的に安定した結果を得るためです。」
一般的に、ボートレースの舟券購入は1つのレースに焦点を当て、そのレースの展開や選手の能力、水面状況などを詳細に分析して「最も勝率が高いと考えられる一手」を見極める方法が主流です。しかし、1レース単位での予測には運の要素が大きく絡み、短期的な結果には大きなブレが生じます。
一方で、私が採用している方法は、個々のレースの結果に依存するのではなく、「期待値に基づいた統計的な戦略」を活用するものです。
1. 期待値とは何か?
期待値とは、ある行動(この場合は舟券購入)を長期的に繰り返したときに得られる平均的なリターンのことです。例えば、ある賭け方の期待値が1.05(=105%)であれば、長期的に見れば賭けた金額の5%が利益として戻ってくることを意味します。
しかし、期待値がプラスだからといって、1回のレースですぐにその期待値通りの結果が出るとは限りません。 たった1回の賭けでは、偶然の要素が大きく、勝つことも負けることもあります。しかし、これを何百・何千回と繰り返すことで、期待値は理論通りに収束していくのです。
2. 大数の法則とは?
大数の法則とは、「試行回数が増えれば増えるほど、実際の結果は理論値(期待値)に近づいていく」という数学的法則です。
例えば、コインを投げたときに表が出る確率は50%ですが、1回投げた結果が表になるか裏になるかは完全にランダムです。しかし、これを10回、100回、1000回と繰り返していくと、表が出る確率は限りなく50%に収束していきます。
同様に、舟券購入においても、1回のレースの結果は運に大きく左右されるものの、十分な試行回数を重ねることで、期待値に沿った結果が得られる確率が高まります。 だからこそ、私は1レースにこだわらず、長期的な視点で大量の舟券を購入するのです。
3. なぜ1つのレースに集中しないのか?
1レースを極限まで分析しても、そのレースの結果が必ずしも分析通りになるとは限りません。たとえば、
・選手のスタートミス
・予期せぬ風の影響
・他艇との接触や転覆
といった予測不可能な要素が絡むため、どれだけ慎重に選んだ舟券でも短期的には大きくブレる可能性があります。
しかし、統計的な視点から見れば、適切な期待値を持つ賭け方を続けていけば、短期的なブレに関係なく、長期的には利益が期待値通りに収束していくのです。
4. まとめ
私が大量のレースの舟券を購入するのは、短期的な運に左右されず、期待値の法則と大数の法則を活用し、長期的に安定したリターンを得るためです。
個々のレースの勝ち負けに一喜一憂するのではなく、統計的な優位性を活かして、試行回数を増やしながら期待値を現実に近づけることこそが、この戦略の本質なのです。