【通信制高校】N高校ってどんな場所?N高出身の筑波大生が解説

はじめに

 現在、通信制高校の生徒数が急増していることが話題になっています。その中でも、KADOKAWAの運営してるN高校(と姉妹校のS高、R高)はグループ全体で生徒数は三万人に届こうとしています。
 通信制の高校とは言っても、その形態は様々です。週に一回登校する必要がある学校や、今回取り上げるN高のような年に数日の登校で卒業することが可能な学校などがあります。とはいえ、どれも必要な登校日数は全日制の高校に比べて圧倒的に少なく済みます。
 このnoteでは、実際にN高から筑波大学に進学した筆者が、N高はどのような学校なのかについて、主にN高への進学を考えている生徒とその保護者に向けて紹介します。


 N高校の概要

 N高は学校法人角川ドワンゴ学園が2016年に開講した高校で、沖縄県うるま市に本校を置きます。加えて、全国に数多くのキャンパスを設置しており、ある程度の規模の都市に住んでいる人であれば少ない負担でスクーリングが可能です。また、法律による一校あたりの生徒数の制限から、姉妹校のS高を開校し、さらに現在R高校を2025年の開校を目指しています。その生徒数は姉妹校含めた全体で約2.9万人で、日本一学生数の多い高校となっています。
 N高のNは何を表しているのか、疑問に思う方も多いかと思いますが、特に決まった意味はなく、Net、New、Necessaryなど多くの意味を含んでいます。(参照:wikipedia)

学習システムとカリキュラム

通信制学習の特徴

 N高校には、いくつかのコースが存在します。細かい区分はおいておいて、大まかな分類だけ紹介しようと思います。(オンライン通学コースについてはあまり詳しくないので省きます)

ネットコース
 ネットコースは、N高に通うほとんどに人が所属するコースです。私がいたときは年に合計で10日程度、全国にあるキャンパスのいずれかに登校することで単位を取得することができる仕組みでした。しかし、現在は多少変更があるらしいので、詳細はご自身でお調べしていただきたく思います。
 (大まかに言うと、定期テストが必修化されたり、必要な登校日数が変わったなどがあります。定期テストについては、おそらく自宅から受けることができるものだと思いますが、八月三日現在ではテスト会場についての情報は見つけることができませんでした。)
 ネットコースでは、N予備校というサイトで決まった授業をすべて受講した後に単位認定のためのテストを受けることによって進級・卒業をすることができます。このテストはそこまで難しくなく、赤点を取ってしまっても追試をインターネット上で受け、合格することで問題なく単位を取得することができます。

通学コース
 通学コースは、全国にあるキャンパスに毎週決まった日数通うことができるコースです。このできるというのが重要で、あくまで通学コースはネットコース+αなので、通学コースに通っているからと言ってネットコースの卒業要件がなにか必要になくなるなどの優遇措置はなく、ネットコースとまったく同じようにN予備校から授業を受け、単位認定テストを受ける必要があります。
 通学コースには、主に三つのコースがあり、平日に毎日通学する週5コース、月・水・金に通う週3コース、木に通う週1コースがあります。おそらく週3コースに通う人が最も多く、コスパ良く通学コースのメリットを享受できると思います。
 通学コースの特徴は、主に二つあり、一つは友人を作りやすいこと、二つは既存の学校とは違った授業を受けることができることです。友達を作りやすいことについては説明不要だと思うので省きまして、二つ目について説明していきます。
 通学コースにはいくつか特徴的な授業が存在します。まず、プロジェクトN(以下プロN)です。これは、いわゆるPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)というもので、実際にプロジェクトを自分たちで作ることで、社会人に必要なスキルを養うことができるというものです。
 また、N高の通学コースではプログラミングを行う時間も用意されており、TA(ティーチング・アシスタント)の力を借りながら、またN予備校に用意されたプログラミングの授業を受けながら、プログラミングをすることができます。
 その他、特進という受験に特化したコースも選択することが可能で、多様な学習をサポートしているのが通学コースの特徴です。

学習のサポート体制

  N高には、N予備校という、オンラインで授業を受講することができる仕組みが存在します。受験で必要な数学や英語などを始め、プログラミングや、大学で学ぶような量子力学の入門などの講座も受講することができたはずです。
 また、私自身は詳しくはないですが、N塾というものも最近できたらしく、通常の受験に関してもかなり力を入れているという印象です。
 N高の特徴として、成績がかなりゆるくつけられている(遅延なく授業を受講し、追試なしで単位認定されるだけで成績5がもらえます)ため、推薦入試や、海外大学への進学に有利に働くという特徴もあります。

学校生活

 N高では、コミュニケーションツールとしてSlackを導入しており、しかも生徒がチャンネルを自由に作成することができます。この仕組みにより、遠隔地にいる友だちを作ることも可能です。(とはいえ、若干の使いづらさがあるため、通常はTwitter(現X)での交流が盛んです。また、仲良くなった人同士では、Slackでの通話もありますがほとんどがDiscordで交流します)
 N高には部活や同好会が存在しています。部活とは言ってもスポーツ系の部活ではなく、意識が高いものやe-Sportsなどが中心です。例えば、研究部・政治部・起業部などがあります。これらにはかなり力が入れられており、例えば政治部では首相経験者を何人も呼んで講演会を行っています。なお、これらの部活には入部に審査があり、それなりの準備をしないと入ることはできません。(政治部では右派・左派問わず様々な政治家を呼んでいるのが特徴です)

 その他の情報

卒業後の進路
 N高では、ほとんどの人が専門学校に進学していると思います。とはいえ、上述の通り受験へのサポート体制も十分にあるため、目指そうと思えば有名大学への進学も可能です。(しかし、そのような人はほとんどが他の予備校などに通っていると思います)
 進学実績については下記のウェブサイトをご覧いただくのが早いです。

まとめ

 N高は良くも悪くも生徒自身が自由にできる高校です。なにもしなければ高卒の単位を得ただけで終わってしまいます。しかし、やる気のある人には徹底的にサポートする体制が整っています。
 N高を目指している人には様々なタイプがいます。私は、N高に来る人にはポジティブタイプとネガティブタイプが存在すると考えています。ポジティブタイプの人は、なにか具体的な理由があって、N高に魅力を感じて進学した人です。このような人は、N高という環境を十分に利用して輝かしい成果を上げている人が多いと思います。しかし、N高に進学する人のほとんどはなにかしら問題を抱えてN高に進学するネガティブタイプです。
 始め、ネガティブタイプとしてN高に進学した人のなかでも、N高という環境の中でやりたいことを見出し、ポジティブタイプと遜色ない成果を上げている人も多くいます。
 私はN高という環境を十分に活かせなかった、ネガティブタイプの人間ですが、N高でできた友だちはみんなやりたいことに向けて楽しそうにしている人ばかりです。
 ここまで読んでいただきありがとうございました。N高に進学するのをためらっている、もしくは子供をN高に進学させるのをためらっているという人の参考になったのであれば嬉しいです。
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参考資料とリンク