下垂体神経内分泌腫瘍

下垂体腫瘍

下垂体とは「脳の下にぶら下がるようにして存在する小さな内分泌器官」である。by 難病情報センター
ぶら下がった先はトルコ鞍という頭蓋骨の器のような構造に収まって存在している。
下垂体腫瘍、というのは紛らわしいことに下垂体から発生する種々の腫瘍を指すこともあれば、下垂体のある辺りに発生する腫瘍全般を指すこともあれば、下垂体腺腫のことを指すこともある。
トルコ鞍というものをたこ焼きプレートと考えると、下垂体はたこ焼きである。けれどホットプレートから発生したホットプレート腫瘍であっても、慣習的にはそれは下垂体腫瘍、すなわちたこ焼き腫瘍と呼ぶことがあるのだ。
下垂体腫瘍、という単語自体は脳神経外科学会の用語集に載っているので定義はあるのだろうが、その指す意味合いが書いてなかったのでこのページでは下垂体腫瘍が何を指すかについては拘らず、用語について曖昧なところがあった分野なのだと理解しておく。

下垂体

下垂体は上述の位置に存在するホルモン分泌にかかわる臓器である。
生体の分泌には大きく分けて消化液や汗といった、細胞から生体外に分泌を行う外分泌と、細胞から直接血管内(生体内)に分泌を行う内分泌に別れ、下垂体は後者の分泌臓器に該当する。また下垂体も前葉(腺性下垂体)と後葉(神経性下垂体)に分けられるがいずれも外胚葉由来(前葉は口腔外胚葉
、後葉は間脳神経外胚葉で発生は全く別。)の組織である
種々のホルモンを産生する臓器だが、ホルモンそれぞれの説明は割愛する。

下垂体から発生した腺腫だったから下垂体腺腫

非常に単純明快な命名であったのだが、、
WHO 2022の改訂により下垂体神経内分泌腫瘍(pituitary neuroendocrine tumor: PitNET)と名称が変更された。
まず、内分泌細胞を起源とする腫瘍病変は腺腫なのか、という問題。
他科腫瘍において、神経内分泌細胞(ホルモン産生と分泌を行う細胞)から発生した腫瘍については神経内分泌腫瘍と呼称されるようになった。神経内分泌細胞は膵臓や腸管、甲状腺や肺など多数の臓器に存在し、発生臓器は異なれど性質として似たところが存在することから呼称としては統一されてきたようだ。
下垂体腺腫と分類されてきた腫瘍についても同様の性質を持つことから、分類としてはこの呼称への移行が妥当と考えられていた。しかしながら、神経内分泌腫瘍一般としては増殖は穏やかであるとされていたが、下垂体腺腫においては周囲への浸潤性を有する、遠隔転移が存在する、といったやや異なる特徴も有しており分類の仕方については議論があった。
また、腺腫という呼称についてはいわゆる良性腫瘍を想定させる呼び方であるが、上述の通り下垂体腺腫としても浸潤性や遠隔転移といった悪性に相当する挙動を占める例があることから、この呼称の妥当性が論じられていた。
そして今日の名称変更に至ったわけである。

ひとまず導入まで・・・

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