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ビジョナリーとはなにか? と決意表明

2022年4月20日、日本科学未来館にて常設展示 ビジョナリーラボ第3期「セカイは微生物に満ちている」が始まります。

本展示では、身のまわりの微生物と私たちの関係性に焦点を当て、微生物の多様性の低下やそこから生じるリスクを考えながら、微生物との共生社会の可能性を提示していきます。

ビジョナリーラボは『ビジョンの実現のために、 研究者や専門家、そして来館者と共に理想の未来をくわだてるラボ』というコンセプトのもと1年毎に展示の更新を行っている常設展示であり、本展示は第3期にあたります。

展示についての紹介や制作秘話は後ほどnote記事として順次公開していく予定ですが、本記事では「ビジョナリーとは何か」と「展示に対する決意表明」をしていきます。

※ この記事は伊藤光平個人が主観に基づいて感想を記述しているため、当然ながら本展示や企画チームの意見・主張を代表するものではありません。

ビジョナリーってなんだろう

今回、僕はビジョナリー兼監修者という立場で、未来館チームやコラボレーターとともに展示制作を進めました。この「ビジョナリー」という言葉を他人には説明しづらかったので、これまでは「監修者」という言葉を使ってきました。

しかし1年ほど本展示の企画を進めてきて、最近はようやく「ビジョナリー」という言葉がしっくりくるようになり、あえてビジョナリーと言いたいなと感じるようになりました。自分の中でビジョナリーという意味を言語化できて、とても重要なポジションだと気づけたからです。

僕がこの展示企画を通して理解した「ビジョナリー」とは「様々な非合理や矛盾に向き合いながらも、圧倒的な熱量で周囲を巻き込みながらビジョン実現に向かって突き進む人」のことを指すのかなと思っています。

そもそもビジョンとは「将来の見通し」「未来像」「構想」という言葉で説明されますが、それらは、現在の社会に何らかの理由で受け入れられていない価値観であったり、実現されていないモノ・コトだと思います。

だから、どんなビジョンも大小さまざまな矛盾を孕んでいて完璧に合理的に説明し切れるものではなく、その実現には大きな困難さがあり、さまざまな方向からの指摘や批判がつきまとうのだろうなと思います。

そのためビジョンを掲げて行動する人( = ビジョナリー)は、多方面からのフィードバックを受け止めたり、時には受けながしたりして、何らかの形でその全てに向き合う義務が生じるのではないかと思いました。

自分のビジョンを議題にあげる勇気

ビジョンというものは具体的な施策や手法ではなく、価値観として個人のコアな部分と紐づいている性質があると思います。
だからビジョンに対する他人からのどんなフィードバックも、ビジョナリーには、賛否両論関係なくとても心に響く、深く刺さるものになります。

その一方で、誰しも傷つけたくない自分の気持ちや、人に晒したくない気持ちがあると思います。
僕は、自分のこれまでの人生で(たった25年ですが笑)「都市と微生物」という研究テーマには本当に真剣に取り組んできました。少なくても自分はそう思っています。どんなに辛い局面でも、この研究だけは諦められなかったし辞められませんでした。

そうやって真剣に取り組んできた研究から生まれた自分の大切なビジョンを不特定多数にむやみに晒したり、勝手にフィードバックされるというのは正直、かなり怖いんです。

本展示の企画でも、未来館のチームと議論してきた中で何度も感情的になってしまいました。それは自分の大切にしているビジョンを議論のネタにして他人からフィードバックを受けることに慣れていなかったからだと思います。

僕と関わったことがある人はわかる通り、僕は自閉傾向強めのADHD/ASD混合タイプで、他人の気持ちや言葉が全くわからないだけではなく、自分の気持ちを言語化して伝えることがとても苦手だし、そもそも自分の気持ちすらわからない感じで、これまでずっと他人とあまり干渉せずに自分が好きなことだけをやってきました。

だから自分の大切にしているものは、自分の中で大切に温めてゆっくりと育てていければいいとずっと思っていました。

自分の中での展示の位置付け

そんなモヤモヤ感を持ちながら展示を進めていたのですが、未来館チームやコラボーレーターと関わっていく中で、自分のビジョンに理解・共感してもらえていることがわかってきて、少しずつチームの一体感が生まれている気がしてきました

未来館チームは、しっかりと時間をかけて向き合って納得できるまで話してくれて、僕が上手くできなかったビジョンの言語化をサポートしてくれました。
コラボレーターの皆さんは僕のビジョンに心から共感してくれて、展示協力のお願いを二つ返事で受け入れてくれました。そして展示のコンセプトに合致した最高の作品を制作してくれたり、展示をより良くするアドバイスをくれました。
そして何よりBIOTAメンバーが一番ビジョンに共感してくれていて、僕が展示企画でてんやわんやしていたときに、会社のあらゆる業務面で全力でサポートしてくれました。

こういう経験が僕にとって宝になりました。ビジョンは自分だけで温めておくより、人と共有することでさらに進化して実現に近づくんだと気づきました。

だからこそ、僕の中での本展示の位置付けは仲間を増やすための出会いの場だと思っています。ここからさまざまな議論が生まれて少しでも仲間が増えてくれれば嬉しいし、仲間になれなくても「微生物と共生できる都市の可能性」について少しでも考えてくれたならそれだけで嬉しいです。

展示に見に来てくれる人に対する想い

そんな事は言いつつも、やはり日本科学未来館のような大勢が見に来る場所に常設展示として自分のビジョンを長期間晒すことは未だに怖くて不安です。

でも今回は「未来館チームやコラボレーター、(そしてもちろん)BIOTAメンバーと一緒に創ってきたんだ!」という経験・感覚がとても支えになっています。

だから展示を通してビジョンに対して、(建設的であれば)どんなフィードバックも受け止めたいと思うし、僕は展示を見てくれた全ての人に感謝したいと思っています。それが僕が思うビジョナリーの役割だと信じています。

展示は本当に素晴らしいものになっています。僕が一緒にビジョンを実現したいと思う様々な領域のプロフェッショナルたちと創り上げてきました。僕が企画当初に思い描いていた展示を遥かに超える最高な空間になっています。
ぜひ遊びに来てください!


タイトル
ビジョナリーラボ 「セカイは微生物に満ちている」

公開日
2022年4月 20日(水)

開館時間
10:00~17:00(入館券の購入は閉館時間の30 分前まで)

休館日
火曜日(火曜日が祝日の場合は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)

展示エリア
日本科学未来館 3階 常設展示ゾーン「未来をつくる」

入館料
大人630円、18歳以下210円

企画・制作
日本科学未来館

p.s. 
展示に追い込まれすぎてやばくなったときはUVERworldのライブに行ってました。とくにENという曲には、本当に救われました。
TAKUYAくんにぜひ展示に来てほしいです。どなたか関係者ッ〜〜!


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