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週刊牛乳屋新聞#73(中国で国粋主義者になったオッサンの話)

どうも、牛乳屋です。

中国での仕事と生活経験がある私にとって、kennyさんのnote記事は五臓六腑に染みわたる記事で何度もうなずきながら読んでいました。

中華企業の果てしない支払いサイト延期に対しての防御策は、中国企業が製造できないような高付加価値製品を作ることなのかもしれません。

これができれば、100%前金で交渉できることでしょう。しかし、日本企業は、高付加価値製品の開発ではなくむしろ中途半端な価格競争とコモディティ化に向かっているため、中華企業の中で淘汰されるような気がします。在中の日本企業は果たしてどうなることか・・・。

この記事を読んで少し後に、学生時代に中国で出会ったオッサンを思い出しました。今回は、そのオッサンから聞いた話の一部を紹介していきます。

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そのオッサンは食品用化学品メーカーの中国支社に派遣されていました。1990年代から中国で生活をしていた前任者と2-3年時期が重なっており、その方から薫陶を受けて「中国人材」としてのスキルと心構えを身に付けていました。

平日は県人会の飲み会に参加、たまにKTVに行き、週末は知り合いの日本人とゴルフ、といった典型的な日本人駐在員でした。一方でせっかく中国に来たのだから、ということで中国語学習にも励んでおり、部下にも積極的に中国語を使っていたそうです。通訳を介さずに話そうとする姿勢から、取引予定先の販売代理店のラオバンとも仲良くなり、ことあるごとに朋友(心の友よ)と言われ、食事をよくご馳走してくれたそうです。

こうしたことから、オッサンは「中国は社会も成熟しつつあるし、交友関係に基づいた取引もできそうだ。弊社の中国事業も前途洋々だ!ガハハ!」と感じていました。ここまでは順調でした。

販売代理店先とも順調に取引が始まったそうですが、ある時から異変が起きました。「期日なのに売上が入金されていない・・・」。財務スタッフに連絡をさせると、「アメリカの取引先からの入金が止まっている。ドル元のレートが悪いのでもう少し時間がかかりそうだ。ただ、安心しろ、金は問題無い!」と答えたそうです。次も入金が遅れたそうですが、「政府がバックについたプロジェクトが進んでいて、金に心配はない!」と何度も言われたみたいです。結局その販売代理店宛の売掛債権は大半が焦げ付いたそうです。

また、現地仕入先に原材料の仕様書を送ってしっかりと交渉したそうですが、仕入れる度に品質が変わるみたいで、非常いレベルの低い粗悪品が来たこともあったそうです。仕入先に理由を聞くと、「最近は季節の変わり目で気温の変化でこうなったのだろう。これくらいのレベルは誤差の範囲内だ!次はもっと良い材料を提供する」と言い、次も材料としてはポンコツなモノが来たそうです。しかし、日本ではありえない理由にオッサンは唖然としてしまいました。これでは製品として使用できる基準に達しないため、結果的に別ルートを探したそうです。

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「中国社会や文化を理解しようと努力し、中国語を必死になって勉強したのに、時間をかけて友人関係になれたのに、なぜこんな仕打ちをされるのか・・・?(しかもこれで本社に怒られるし、人事査定に響くし)」といった気持ちが積もりに積もって、オッサンは「中国人の行動原理は刹那的であり、自身の利益のためなら他者を裏切ることに抵抗感が無い」との確信が強まっていきました。その結果、たどり着いた先が「中国的なことの否定、日本が優越していることの発見」でした。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いって感じですね。

当時の僕は学生だったので、利害関係が無く様々なことを言われました。「大東亜戦争は正しい戦争だったのだ!」「靖國神社参拝は国民として当然のことである!」といったもはや仕事とも何も関係ないことを言われてきたことを覚えています。オッサンは5~10年の駐在期間を経て日本へ戻りました。今は中国とは繋がりの無い部署にいるそうです。

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一方で、オッサンが接してきた中国人ラオバンや取引先の行動原理は一貫しているのでオッサンを騙す意図はなかったと思われます。そのため、オッサンが勝手に期待して勝手に裏切られたと思っていると言えば、そうなるかもしれません。ただ、友好関係を築いて相手と信頼関係を作った先に「裏切り」を見て、中国そのものに対して強い憎しみを持つオッサンは少なくないのでは?と思っています。ただ、国粋主義者になっても相手は変わりませんし、失った金も時間も戻ってきません。前を向いて進むしかないのです。

自分と異なる相手の行動原理を理解し、相手への解像度を高めることでオッサンは不幸を免れたかもしれません。しかし、それでも同じような結末を迎えたかもしれません。

では、相手と同じ行動原理を取るか・・・?それは今まで生きてきた自分の否定になるような気がします。


お互いがそれぞれの行動原理を理解し、利益を探っていくプロセスはお互いコストと、なんで自分の思う通りにいかないのか!という違和感が伴います。難しいことではあるんですが、強い憎しみが生まれないためにも何とかなってほしいと思っています。


オチが微妙ですいません・・・

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