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週刊牛乳屋新聞#14(中国人と「食」を巡って発生した二つのトラブル)

おはようございます、牛乳屋です。四連休はいかがお過ごしでしょうか?遠くや近くの町へ旅行したり、家でおとなしくしていたりと十人十色の過ごし方があったでしょう。東京は天気が悪かったため、僕は読書をして過ごしていました。自粛生活も最初は精神的に辛かったのですが、この生活スタイルも随分と慣れてきました。

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華村さんが先週の水曜日に投稿した記事は日本人と中国人の間に挟まれて仕事をした方であれば誰でも共感ができるような内容だったと思います。僕も読んでいて「あー、たしかに!」と何度もうなずきました。

自分も中国で起きたことを書きたい!と思いましたので、本日は僕が経験したヒヤリとするトラブルを紹介させていただきます。

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2019年1月初旬、僕は日本人の友人(A君)と上海で合流し、一緒に上杭州へ行きました。杭州訪問の目的は、A君が個人投資家のBさん(杭州出身)からビジネスの神髄を学びたいとの一心からだったような気がします。Bさんは在日歴20年近くの中国人で、2010年代初頭の太陽光発電バブルで一山当て、その資金を元手に東京都内で不動産投資を営んでいる成金です。A君は神戸から上海を結ぶフェリーの船内でBさんと知り合って意気投合し、Bさんが保有するマンションの一室に泊めてくれることから杭州訪問に至りました。

空腹状態はダメ、絶対!

杭州行きの3日前、僕はA君からBさんと杭州駅出口での集合時間が12時半と告げられました。相手は昼食をどうするのか?と聞いたところ、A君は「大丈夫大丈夫!近くにレストランやコンビニがあるはずだから問題ない」との一言。ホントかよ!?と思いましたが、A君とBさんの関係に口を挟まないほうが良いと思い、それ以上は言いませんでした。

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上海虹橋駅を無事に出発し、定刻通りに杭州東駅に到着しました。中国の駅は広く、人が多いので集合は至難の業です。WeChatの位置情報共有を行いつつBさんと集合できたのは13時半頃で、駐車場に停めた車に乗り込んだのはその10分後くらいでした。

Bさんは「遠くからお疲れさん!お腹すいたでしょ、美味いものでも食いに行こう」と言い、我々に選択肢を与えないままレストランへ直行しました。Bさんのオススメのレストランに着いた時間は14時頃、その頃はランチタイムが終了していました。スタッフに注文しても「没有(ありません)」としか言われなかったため、痺れを切らして友人であるラオバン(店長)をWeChatで呼び出しました。ラオバンには「あるものでいいから、早く出して」とだけいい、間髪を入れないと言っていいほど早く、温かい料理がいくつか運ばれてきました。

Bさんは、「なんでこんな遅くなったんだ?いろいろと大変だったのか?」と何度も言っていました。こいつらなんでこんなに昼飯の時間を遅くしやがったんだと思い、イラっとしていたのを感じました。

メンツを潰しそうになった会計

満腹になったところで、Bさんの車で、杭州名物とも言えるアリババ本社を通り過ぎ、西湖に行きました。湖畔を少し歩いた後に、Bさんが友人を紹介したいと言い、車で夕飯会場へ向かいました。

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夕飯のレストランは綺麗とは言えないものの、食事のレベルは非常に高く、すごく満足しました。

Bさんの友人が持ってきた老酒(紹興酒の一種)で酔いが回り、盛り上がっていたところA君が立ち上がって席を外しました。僕がちょうどトイレに行くタイミングで、レジ前を通ろうとしたところ、A君がお会計をしようとしていました。僕は一気に酔いが覚めて「おい、絶対に会計だけはするな」と声を荒げてしまいました。B君は「いや、昼はご馳走になったし、泊まるところも手配してくれたし、車でいろいろ連れまわしてくれたから夜飯代くらいは俺らで出そうぜ」と返しました。「日本でその発想は間違っていない。ただ中国では客人が金出したら、ホストの接待力を否定することになる、そうするとメンツが丸潰れだ。Bさんは金あるし、俺らは図々しく全部おごってもらえばいいんだよ」と言ったところ、Aさんはしゃーねーなという感じで席に戻りました。レジは席から離れていたため、やり取りが目撃されることはありませんでしたが、勘の鋭いBさんは何かが起きたことに気付いた様子でした。

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日本でも中国でもありそうな話ですが、僕は改めて中国の方と付き合う上で非常に大切な二つの前提を再確認できました。

食事は何よりも重要

日本の職場では、「お昼の時間だけれど、終わらせるまで仕事をやってしまおう」、「昼食の時間がもったいないので、そばを流し込もう」と仕事を優先することも少なくありません。それに対して、中国では基本的に仕事よりも食事が優先されることが多いです。「昼食時間が来たので、食事しよう」というスタイルで、昼食時間を犠牲にすることはほとんどありません。大学も同様で、昼の休憩で2時間は確保されています。

また、中国では「ご飯食べた?」が挨拶のように使われることがあります。中国は経済的に貧しく、ご飯を食べることが精一杯だった時代が長かったため、食事を取ることは生きることと繋がっているという意識があることでしょう。axinさんのブログが参考になりますので、ぜひご一読ください!

面子は命より大事

中国人はメンツを非常に重んじると言われています。中国の学校、男女や職場の人間関係等から、2008年の北京オリンピック開催、国を挙げた新型コロナ対策、米中対立、経済政策(特につじつまの合わない統計)…等の様々な事象もメンツの概念を通して理解が深まるものがあると認識しています。

「メンツ=見栄」と思いがちですが、残念ながらメンツは見栄の一言では片付けられません。メンツはプライドでもありますが、もちろんプライドの一言だけでも片付けられません。中国人のメンツについて書くと、大学で1年間講義ができてしまうほど、中国人のメンツは複雑で、なおかつ大切なものです。

『スッキリ中国論』は中国文化や中国人との交流に興味がある方にお勧めで、『中国人のメンツ』は駐在している方や駐在したい方にお勧めです。

中国語が分かる方には、2018年に公開された『余额不足(残高不足)』という映画がオススメです。中国人のお金に関する価値観を面白おかしくまとめた映画で、日本人には理解しにくいメンツ文化を学べます。

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杭州での経験はヒヤヒヤしただけで済みましたが、中国で生活している方々は日本人同僚や上司(特に日本からの駐在員)が中国人のメンツを踏みにじってやらかした話をたくさん知っていることでしょう。僕も天津・北京でいくつか危なっかしい話を聞いたことがあるのですが、様々な事情があり、SNSでは書けません・・・。

ただ、Twitterで出せない話こそ面白く、日本食居酒屋で生ビールを飲みながら話すと良い酒の肴になるんですよね・・・。今年は無理でも、来年は中国の日式居酒屋で飲み会したいな・・・。


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