週刊牛乳屋新聞#75(中国で新しいECは出ない?)
こんにちは!牛乳屋です。10月後半になってくると、11月11日のタオバオのスーパーセールス(ダブルイレブン)が気になるのは私だけではないはずです。百度や今日頭条でダブルイレブンの情報を見かけたので、今日のテーマは中国のECにしようと思います!
ECプラットフォーム勢力は出尽くした!?
私かつて上海に住んでいた2010-11年はショートメッセージといえば、WeChatではなく飛信(フェイシン)、チャットであればWeChatではなくQQ、SNSであれば小紅書やWeChatではなく人人網(中国版facebook)の時代でした。
そして、天津に住んでいた2017-18年はスマホの普及に伴い、前述のサービスは廃れ、いわゆるBATがほぼ全てを網羅する社会になっていました。BAT(百度Baidu、アリババAlibaba、テンセントTencentを総称した中国大手IT企業)が全ての業界で影響力を拡大しつつも、2017年頃から配車アプリ、フードデリバリーや新興EC等が出現し、華々しい成長を遂げていました。特に印象的だったのがピンドゥオドゥオ(共同購入EC)です。
ピンドゥオドゥオ~ピンドゥオドゥオ~🎵という曲が頭の中でヘビロテした(させられた)ことは記憶に新しいかもしれません。
新興企業のサービスが世の中を騒がせ、社会が前に進んでいるような感覚を体感してきました。ところが、2018年くらいから新興企業が出現するよりも、B2B向けのニッチな市場を狙ったEC、生鮮食品のEC、SNS運営企業のEC機能追加といった動向が目立つようになった気がします。EC化のツールはどの業界でも導入できるほど網羅されており、新興企業が入る隙が無いように思えます。
抖音(ドウイン、TikTok中国国内版)でECショップを開設する機能がありますが、ライブコマースは他のECでもできるので、機能として見た時に目新しさはありません。
これからは商品のブランド化?
もはや新しい勢力が参入できないように思える中国市場ですが、わずかながらも動きがみられます。
中華ECで購入した製品の箱を開封した瞬間に壊れていたという体験をされた方もいるのではないでしょうか。ピンドゥオドゥオで購入した製品なんて、安かろう悪かろうの粗悪品ばかりでした。一方で、有名KOL(インフルエンサー)と組んで商品のストーリーやイメージ向上を狙ったブランドの出現が見られます。
最近の中国ECで「国潮」がトレンドとされていますが、中国人の愛国心をくすぐるブランドというよりも、安かろう悪かろうの粗悪品の大海の中でポジションを作るための戦略だと見ています。
安かろう悪かろうの世界から離脱しようと試みる企業も出現しています。今年に入って、子供向け菓子メーカーの「満分牛牛」は世界最大手VCの一角であるセコイアキャピタルから出資を受けて製造・販売に乗り出しています。
中国のECはどうなる??
商品やブランドの洗練に力を入れていくと言われても、アリババやバイトダンスを上場させたVCがD2C分野に注力をしていると言われても、僕にとっては毎日数億~数十億元をボーナス(紅包)としてバラまいていた時代の熱狂と比べると物足りなさを感じてしまいます。
もしかしたら、スマホで提供されるサービスがほぼ網羅されてしまったため、次なるデバイスや通信規格が出現するまでECの再定義がされないのかもしれません。しかし、新しい熱狂の時代はいつ始まるのか?誰が仕掛けるのかはまだまだ分からなそうです。新しい時代の到来を見据えつつも、EC化率がなかなか上がらない日本社会はまだまだ中国ECから学ぶことは多いように思います。
こんな記事を書きながらアリエクで頼んだ商品が2か月経ってもまだキルギスの空港で止まっていることに気付きました。中国EC、全領域を網羅していると思いつつも、サービスはダメですね笑
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