メディアビジネスのマネタイズトレンド - 広告モデルから課金モデルへ
最近感じているメディアビジネスのマネタイズトレンドについて、自分の頭の整理を兼ねて思うところを書いてみる。
メディアのマネタイズは大きく言うと、①企業からお金をもらう(=広告)、②消費者からお金をもらう(=課金・物販等)の2パターンだと思うが、タイトルにもあるように結論から言うと、明らかに広告モデルから課金モデルへの転換が進んでいる。
その理由として、感じることをサクッとまとめてみる。ちなみに一応、自分の業務では広告マネタイズのツールを提供している立場であり、けっこう苦しいトレンドだったりする。笑
ネットコンテンツへ課金する抵抗感が減少
ひと昔前までは、ネットコンテンツへの課金ハードルがかなり高かった。それが、例えば以下のような理由によって課金ハードルが下がってきている。
・各社DXを進め、ネットコンテンツが充実。課金しても良いと思えるコンテンツがオンラインに増加
・SNSの発展&ソーシャルログインが充実。会員登録やログインまでの導線がスムーズに
・アプリの登場により、決済までのステップがスムーズに。現在アプリでは顔認証だけで決済が完了する(以前は会員登録させて、決済情報入れさせて・・というステップだった)
実際に、noteやライブ配信のような投げ銭サービス、そしてサブスクリプションなどのビジネスがかなり盛り上がっている。(直近でもDeNAの「Pococha」の四半期売上60億円というのがかなり話題になった)
プライバシー問題など、広告ビジネスの先行き不透明性
一方で広告マネタイズはプライバシー問題により、逆風にさらされている。ウェブではサードパーティCookieの規制の問題があるし、アプリでは iOS における IDFA 取得の制限の問題が出てきている。
地域的な規制についても既に施行されていて、ヨーロッパのGDPRだったり、カリフォルニアのCCPA等が有名。
これらによって大きく2つの問題、①広告マネタイズの収益性が低下、②マネタイズしようとしても上記のような規制や法律を理解し、対応する工数が増加、が起きている。
結果として、相対的に課金マネタイズへの流れが加速している。
さらに言うと広告マネタイズ vs サブスクリプションで言うと、前者の方がボラティリティが高く、当然サブスクの方が収益は安定する。
コロナで改めて体感したけど、広告ビジネスは景気の動向に左右される。ここ7〜8年くらい、リーマン以降は好景気が続いていたので、このデメリットを感じたことは久々だったけども。
とはいえ広告マネタイズの需要が伸びている分野も
と、ここまで広告に逆風の話ばかりだったけど、部分的に見ると広告マネタイズのトレンドが来ている領域もあって、自分の本業ではそこで何とか成長を維持している。
具体的には例えばゲームアプリの領域。かつてはガチャモデルで大稼ぎした業界ではあるけれど、直近はガチャ規制などにより課金マネタイズが頭打ちに。そこで広告モデルを取り入れる企業がかなり増えている。
とはいえ、この分野にも広告マネタイズの課題があって、未だにゲームアプリは一部の人がとんでもない金額を課金していて、ARPU(Average Revenue Per User = ユーザー当たり収益)がめちゃめちゃ高い。
一方で広告は1日に見られる回数も限られている(例えば、さすがに3分に1回広告が出るとウザい。そしてプレイ時間にも上限がある。となると、1日にユーザーに表示できる広告回数も上限がある)。
要は課金でべらぼうに稼いでいるので、広告収益って小さくない?という議論になることもある。
本業では、いかにこういった中で導入進めてもらえるか格闘中。ただ、今回記載したようなマクロトレンドを抑えた上でのキャリア構築を考えないと長期的にジリ貧になってしまうので、今後の振る舞いを色々と考える。。
最後は話が逸れてしまったけど、今回はこんな感じで以上。