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韓国礼賛 オバちゃんとタバコ

旅行初日から、プサンと大阪はどこか似ていると感じた。ソウルとプサン、東京と大阪の関係みたいに、それぞれ第二の都市ということもあるが、なぜかずっと雰囲気が似ていると思ったのだ。
その理由が今日、なんとなくわかった。

オバちゃんだ。

プサン、そして大阪のオバちゃんにはよくよく通じるところがあるのだ。
まず、プサンのオバちゃんはみんな同じような見た目をしている。なぜかみんな小柄で、ダウンベストにファーがついた派手な服を着て、クルクルのパーマをかけている。
ひと昔前、女子大生のファッションを揶揄して量産型と呼んでいる連中がいたが、プサンのオバちゃんはそんなレベルを超えている。日本の女子大生の方が、はるかに個性豊かだ。オバちゃんはパーマをかけないといけない、ダウンベストにファー付きのコートを着ないといけない、そんな法律があるかと疑いたくなるくらい同じ格好をしている。あとは服にヒョウ柄か、虎の顔が入れば大阪のオバちゃんだ。阪神タイガースの服を着せてもいい。
あと、プサンのオバちゃんは遠慮がない。地下鉄でも大声で話し、ケータイをかけ、列に割り込み、僕らが観光客でもお構いなくハングルで話しかけてくる。喜怒哀楽もはっきりしている。これはどの国でも同じかもしれないが。

そんなプサンのオバちゃん、見ていると不思議と懐かしくて安心した気分になる。
実際のところ、そんなステレオタイプな「大阪のオバちゃん」を目にかかったことはない。それでも、安心するのは僕が関西出身で、ローカルTVで映る商店街、元気すぎるくらいにグイグイくるオバちゃん達を観て育ってきたからだろう。遠く日本を離れても、故郷に触れているという安心感があるのかもしれない。

安心といえばもう一つ。
韓国という国が喫煙者にとっては、最後の楽園のような場所だったのだ。

というのも、僕の地元関西も禁煙の荒波に揉まれている。
去年の年末帰省したら、あちらこちらの灰皿が撤去され、行きつけの店もいつの間にか終日禁煙となり忸怩たる思いをした。もう二度と行くかと心の中で呪った。せっかくの思いで喫煙所を見つけても、タコ部屋のような狭い場所に押し込まれ、落ち着いてタバコを吸うこともできない。言い過ぎかもしれないが、分煙でなく排除という方向に向かっていると感じる人は多いのではないだろうか。吸わない人に迷惑をかけようとこれっぽっちも思ってないのに、居場所がどんどん隅に追いやられているのが納得できない。タバコよりアルコールの方が世の中に迷惑をかけているのだからそっちを先に対応すべきだ。タバコくらい好きに吸わせろってんだ。
後半、ただのグチになってしまった、ごめんなさい。

ともかく、韓国は基本的に室内は禁煙だが、野外は基本的にどこでもタバコが吸える。人混みで歩きタバコといった、よっぽど非常識な吸い方をしない限り咎められることはまずない。タバコを吸う場所を求めて右往左往、そんなことをしなくて済む。
これは本当にありがたくて、僕は初日から韓国が大好きになった。
郷に入れば、僕は喜んで郷に従う。
妻も韓国(の俳優やドラマ)が好きだから、利害が一致している。
また近々、韓国に旅行するかもしれない。

そういえば、韓国のタバコには一つ一つ写真が印刷されている。
海外のタバコでよく見かける、喫煙の害を視覚的に見せつけるやつだ。
大抵は、肺気腫の写真やら咽頭がんの写真、ショッキングなものが多いのだが、韓国のタバコは一味違っていた。

タバコを吸う青年の遺影に、横で泣き叫ぶ母親。

悲しいといえば悲しいのだが、どこかコミカルな仕上がりになっている。
この国は、タバコをやめさせたいのだろうか、それとも笑かせにかかりたいのだろうか。
普段は土産も買わない僕だが、思わずコンビニで買ってしまった。

ああもう読んでくれただけで嬉しいです。 最後まで見てくださってありがとうございました!