半導体 2023年2月
国策新会社の動きも活況
先端半導体を自国で製造できなければ、日本の自動車産業の地位もままならない危機感から、経済産業省が主導する形で、欧米と連携した先端ロジック半導体の開発と製造を目指す「Rapidus」が22年11月に指導した。日本の半導体の復権を目指す政策は過去にもあったが、国内完結にこだわり大きな成果をあげられなかった。今回は、米IBMとの連携にて進め、欧州半導体研究機関imecからも先端技術の研究開発でサポートを受け、西側諸国と一体体制を構築できたのは画期的だ。Rapidusに出資した8社が、利害関係が交錯する懸念はある。規模は追わずとも先端品であれば高い収益を出せるとするが、巨額投資を継続する必要がある半導体産業で大量生産を目指さずに持続可能な企業になれるかも疑問だ。
世界で実用化されていない回路の幅が2ナノメートル以下の先端半導体の技術開発を行い、4年後の2027年をめどに量産化することを目指しています。
こうした先端半導体は、自動運転やAI=人工知能、スマートシティーなど未来の社会に必要不可欠なものとされ、今後、需要は飛躍的に高まると見られています。
ただ、先端半導体の技術開発で日本は大きく出遅れていて、現在、主流となっている回路の幅が5ナノメートルから16ナノメートル程度のスマートフォンやデータセンター向けの半導体の開発は、台湾のTSMCや韓国のサムスン、アメリカのインテルなどが先行しています。
さらに各社は回路の幅をできるだけ細くして性能を高める「微細化」の技術開発にしのぎを削っていて、去年6月にはサムスンが3ナノメートルの半導体の量産を開始したほか、2025年までにはサムスンに加えてTSMCも、2ナノメートルの半導体の実用化を目指す方針を打ち出しています。
こうしたなか世界との差を縮めようとRapidusは、
▽半導体の材料に回路を焼き付ける「露光装置」で世界唯一の技術を持つオランダの「ASML」から専用の装置を導入することや、
▽半導体の回路の幅を細かくする技術を持つアメリカのIT大手、「IBM」とパートナーシップを締結し、共同開発を行うことを決めていました。
さらに海外で働く日本の技術者を呼び戻すなど、先端半導体の量産化に向けた取り組みを着々と進めていて、今回、その拠点となる施設の建設場所が北海道に決まったことになります。
2/27 日米韓台の「チップ4」、2月中旬に半導体供給巡り協議-台湾当局者
(ブルームバーグ): 米国とアジア3カ国・地域の当局者が2月中旬に、世界の半導体サプライチェーンについて協議していたことが分かった。
「チップ4」と呼ばれる半導体供給の枠組みを構成する米国、日本、韓国、台湾の当局者は2月16日にビデオ会議で、半導体の安定供給確保に向けた早期警戒システムについて協議した。協議に詳しい台湾の当局者が26日に明らかにした。
この当局者によれば、この協議では輸出規制に関する話し合いは行われず、企業からの参加者もなかった。台湾はサプライチェーンのさまざまな部分に関する情報を4カ国・地域が可能な限り早期に交換し合うことを提案。台湾と韓国は製造、日本は素材、米国は主要市場としての役割にそれぞれ注力していくと、当局者は付け加えた。
チップ4による協議実施は、台湾の中央通信社と韓国の聯合ニュースも当局者の話として報じた。当局者の名前は明示していない。
2/27 先端半導体の国産化目指す「Rapidus」北海道 千歳に工場建設へ
日本の主要な企業8社が出資し先端半導体の国産化を目指す「Rapidus(ラピダス)」は、2027年をめどとする量産化に向けて北海道千歳市に工場を建設する方針を固め、28日に正式に表明する見通しです。
トヨタ自動車やNTT、ソニーグループなどが出資する「Rapidus」は、自動運転やAI=人工知能など次世代の産業に欠かせないとされる2ナノメートルの先端半導体を4年後の2027年をめどに量産化することを目指しています。
会社では新工場を北海道千歳市にある工業団地内に建設する方針を固めました。
28日に小池淳義社長が北海道を訪れ、鈴木知事などと面会し、新工場の建設を正式に表明する見通しです。
建設予定地の周辺には、半導体の供給先として期待される自動車関連の工場が立地しているほか、新千歳空港へのアクセスも良いことなどから、今回の進出を決めたものとみられます。
会社では4年後までの完成を目指して新工場の建設を進め、最終的な敷地面積を100ヘクタール規模にまで拡張することも検討しているということです。
去年11月に設立されたRapidusは、半導体の回路の幅を細かくする技術を持つアメリカのIT大手「IBM」とパートナーシップを締結し研究開発を進めています。
今回、新工場の建設地が決まったことで、量産化に向けた取り組みが一段と進むことになります。